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ドリームワールド ー夢の世界の勇者達ー  作者: はるく
アルハリア城下町編
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第84話 ベルvsロックス

「さぁ、やるか…」


ロックスはポキポキと手を鳴らしベルの方を見る。


「あぁ、よろしく頼むよ…!」


ベルはふぅー…と深く深呼吸するとリサから受け取った竹刀を構える。


「さぁ、来い!こっちはいつでもいいぜ…!」


「行くぞ…!!」


ベルは素早く床を蹴りロックスの方へと距離を詰める。

そして、竹刀を振り上げた。


(とりあえず、どんなもんか受けてみるか…!!)


ロックスはニヤリと笑みを浮かべると両腕をクロスさせる。


「あれは…防御の構えか?」


「ロックス、攻撃を受けるつもりね…!」


「相手の実力を図るためにまず攻撃を受ける…あいつの悪い癖だな。今は組み手だからいいが、もしこれが本気の戦いだったら初見殺しの力も山のようにあるってのに…」


「まぁまぁ。ロックスの能力は防御力も高いから…それに、あれはロックスなりのこだわりなんだよ」


「こだわりねぇ…ま、防御力が高いのは事実だし実際あいつは強い。心配はいらねーだろうけど、実戦ではやめてほしいところだぜ…」


ジェリドは苦笑いを浮かべながらそう呟いた。


ーーーーーーーー


(腕を…俺の攻撃を受けるつもりなのか…?くそ、なんだか舐められてる気がするけど…そっちがその気なら俺も本気で行くぞ…!!)


ベルは竹刀を持つ手をギュッと握り力を込める。


「いくぞ…!」


「来い…お前の力、見せてみろ!!」


「おらぁぁあ!!!」


ベルが本気の力を込めて振り下ろした竹刀がロックスの腕に直撃する。


「…っ!!」


その瞬間、道場内にバシッ!!!と大きな音が響き渡った。


(ほぉ…なかなかの一発だ…!このジーンと来る衝撃…いいじゃねぇか…!!)


ロックスはニヤリと笑みを浮かべると、ベルの方へ顔を上げる。


「…!!」


あまりの眼光の鋭さに、ベルは若干怯みを見せ一度後ろへ下がった。


「…なかなかいい一発だったぜ。久しぶりに気持ちいい一発を受けた…」


「そ、そう…それならよかったけど…」 


(な、なんか嬉しそうだ…)


嬉しそうに笑みを浮かべるロックスをみてベルは少し引き気味にそう答えた。


「さぁーて…大体お前の力が分かったところで…俺も攻撃させてもらうとするか!!」


そう言うと、ロックスは両手のひらをグッと握り締め体に力を込め始める。


「うおぉぉぉぉ…!!!」


低い唸り声と共に、ロックスの腕はメキメキと音を立て筋肉が盛り上がり始めた。


(な、なんて気合だ…前にいるだけで圧倒されそうな…。それにあの筋肉…能力って訳じゃないよな…あんな腕で攻撃されたらタダじゃ済まなそうだぞ…!)


ベルはゴクリと息を飲みロックスの方を見つめている。

ロックスは体から力を抜くと、右の拳を左の手のひらに勢いよくぶつけた。


「さぁ、俺の力…見せてやるぜ!!」


そう声を上げると、ロックスはベルの方へと走り出す。


「…!!」


ベルは少し焦りを見せながらも、いつでも体を動かせるように構えを取った。

ベルの前まで辿り着いたロックスは右腕を後ろへ引く。そして力いっぱい握った拳をベルに向けて放った。


「うわぁ!?」


ベルは顔面に向かってきた素早く、力強い拳をギリギリのところで避ける。

その瞬間、空気を伝わり激しい衝撃がベルの頬にぶつかった。


(ただのパンチでこの衝撃…!当たったら絶対死ぬ…!!)


ベルは崩れかけた体勢を何とか立て直し、ロックスの方へ竹刀を振る。

「バシッ!!」と音を立て、竹刀がぶつかったのはロックスの左腕だった。


「防がれた…!」


「その崩れた体勢から攻撃を繰り出すとは中々やるな…だが…!」


ロックスは放った右腕と右足を素早く後ろに引き、改めて攻撃の姿勢を取る。


(まずい!このままだと確実にパンチが直撃しちゃうぞ…!こうなったら、一か八か無理をするしかない…!!)


引かれたロックスの右腕に再び力が込められていく。


「さぁ、今度は外さないぜ…」


ロックスはそう呟くと同時に、右拳をベルの方へと放った。


(来た…!落ち着いて…俺ならできる…!!)


その瞬間、ベルは竹刀を引きくるりと下に向ける。


「竹刀を下に…!」


「ベル、一体何を…!?」


「はぁぁぁあ!!!」


そして、竹刀を思い切り床に突き刺した。


「竹刀を床に…!?」


「まずいわ、ロックスの拳が…!!」


ロックスの拳がベルの目の前まで迫ってくる。

それを目視したベルは竹刀を刺した勢いのまま力強く地面を蹴り上げた。


「なに…!?」


「べ、ベルが…!!」


「飛び上がった…!?」


「ほぉ、竹刀を軸に飛び上がるとは…!!」


「でも竹刀が…!」


ベルが飛び上がった瞬間、竹刀はバキッ!と大きな音を上げる。

よく見ると、ベルの持つ竹刀は負荷に耐えきれず割れてしまい、折れかかっていた。

ベルの体はぐるりと前に回転しながらロックスの真上を通過する。


(で、できた!!まさか本当に上手くいくなんて、人間の可能性って凄いな…ってそれどころじゃなかった!!竹刀は…まだ完全に折れてはいないな…なら、このまま!!)


ロックスの真上にいたベルの体はぐるりと一周回り、頭が上に向いていく。

そしてロックスの少し上を通り過ぎたその瞬間、ベルは何とか体を動かし竹刀を勢いよく振り下ろした。


「バシッ!!!」


再び道場に大きな音が響き渡る。

ベルはそのままの勢いで更に回転し、背中から地面に墜落した。


ビターン!!!


「い、痛ってー!!!」


背中を強く打ち付けたベルは背中を押さえながら悶える。そこへ、半分に折れた竹刀が降ってきた。

痛みを抑えながら振り返ると、後頭部を押さえるロックスとぱちぱちと拍手をしながら歩いてくるレオンの姿が目に入った。


「うう…結局どうなったんだっけ…今の一瞬の記憶がないよ…」


痛みに耐えながら戸惑うベルのもとにレオンが近づいてくる。


「いやー、中々無茶するね…。でもおめでとう、勝者は君だ!竹刀を使って飛び上がるなんて…追い詰められた人間ってのはすごいね!」


「お、俺…勝ったんですか…?」


「うん、ロックス君の後頭部に一発、綺麗に入った。文句無しに君の勝利だ!」


「しょ、勝利…!や、やった!アラン、リサ!俺やったよ!!」


ベルは嬉しそうに笑顔を浮かべながらアランたちの方へと向かっていく。


「やったなベル!!お前、空飛べたんだな!!」


「あなたがあんなに運動神経良かったなんて知らなかったわ!」


「お、俺もびっくりしてるよ…!まさか飛び上がれるなんて思ってなかったから…!」


そんな話をしていると、後頭部を押さえたロックスがベル達の方へ近づいてきた。


「ちっ、悔しいが…俺の完敗だ。まさかそこから逆転されるとは俺もまだまだだな…。いい勉強になった。ありがとうな」


「こ、こちらこそいい経験になったよ。ありがとう!」


ベルとロックスはギュッと手を握り合うと笑みを浮かべた。


(ロックス君の素のパワーにも驚いたけどまさかベル君があそこまで動けるとは…。本人は気づいていないようだけどあれは気合でどうこうできるレベルじゃない。もっと"生まれ持った潜在的"な…。まぁ何にせよ、彼も磨けばもっと光るだろう。今後に期待だな…)


「二人共お疲れ様。それじゃあ最後は…アラン君にジェリド君、準備はいいかな?」


「あぁ、もう待ちきれないくらいワクワクしてるぜ…。さっさと始めよーや」


「今までの組手見てたらテンション上がって来ちゃいましたよ。早く始めましょう!」


「はいはい、それじゃあ最後の組手始めるよ。組み手…開始!!」


ーーーーーーーー


「はーい、城塞都市アルハリアへの"立入許可証"が欲しい方はこちらの書類をご記入下さーい!!」


アルハリア城下町北地区…。

そこにある二階建ての大きな建物、"勇者団城下町支部"にある男の姿があった。


「通話の印…クリスからか。こちらイリヤ、どうした?クリス」


『イリヤ、いい情報を手に入れた。…いや、どっちかって言うと悪い情報か…』


「何それ…。で、情報って?」


『尋問中のダンテから"ルイース"が抜き取った情報なんだけどさ…』


「ルイース…"口づけをするとその相手が持つ記憶を読み取れる"っていう変わった能力を持つ君の部下だよね…」


『ま、"直近数日"のでさらに"本人が強く覚えている記憶"に限るみたいだけど…』


「それで、内容は?」


『どうやらダンテが"暗黒騎士団団長"の"ゼイル"と会話している記憶が読み取れたらしい』


「なんだって…?かなり重要な情報じゃないか」


『あぁ。そしてその会話の内容なんけど…どうやらゼイルが"アルハリア城下町へ来ている"って内容だったそうだよ』


「な、なんだって…!?ゼイルがここに来ているっていうのか…!?」


『目的までは分からなかったそうだけど、ゼイルがいるのはほぼ確実らしい…。こりゃ厄介な事になったぞ…!』


「確かレオンさんは今天魔流拿捕の作戦を立てていたはず…そこにあの暗黒騎士団の団長であるゼイルまでいるとなると相当厄介だし危険だね…。ちなみにゼイルが城下町のどこにいるかは分かるのかい?」


『詳しくは分からないけど、ダンテとゼイルの会話から考えるとどうやらどこかのバーに潜伏している可能性が高いらしい』


「バーか…とりあえず私はレオンさんに連絡を取ってみるよ。クリスは引き続きダンテの尋問をよろしく」


『分かった。何か分かったらまた連絡するよ。…くれぐれも気をつけてくれよ』


「あぁ、分かってるよ。それじゃあ…」


(これはかなりヤバいことになったぞ…!)


イリヤは冷や汗をかきながら通話の印を呼び起こした。


続く。

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