第79話 緊張
「それじゃあロックスくん、頼むよ」
レオンはそう言うと、改めて藁人形を置こうとする。
「おっと、待ってくれ。俺の能力は岩石を操るもの…ここで使ったら道場の床が壊れちまう。外、出ても良いか?」
「そうか…それなら一応外へ出よう」
レオンに連れられ、ロックス達一同は道場の外へ出た。
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「さ、ここなら思う存分力を発揮できるだろう?」
レオンは道場の外へ出ると、改めて藁人形を設置する。
「あぁ、すまない。それじゃあ行くぞ…!」
そう言うと、ロックスはその場にしゃがみ両手を地面につける。その瞬間、ロックスの足下に白い紋章が現れた。
「行くぜ…石柱!!」
ロックスの声と同時に、地面がボコボコと盛り上がりはじめる。次の瞬間、大きな岩の柱が二本、勢いよく地面から飛び出した。
「おぉ…!」
それを見て、レオンは声をこぼす。
飛び出した岩の柱は左右から勢いよく藁人形にぶつかり、グシャっと藁人形を潰してしまった。
「すごい…岩の柱をまるで体の一部みたいに操ってる…!」
「能力を自分の物にしてるって感じだ…すごいよ…!」
「…こんなもんだな」
ロックスが地面から手を離すと、岩の柱はボロボロと粉状に崩れ落ちた。
「…素晴らしい!岩の柱をあそこまで正確に動かせるのはおそらく大変な修行あっての事だろう。君も合格!ぜひその正確な能力捌きで我々に力を貸してくれ」
「へ、なかなか修行は大変だったからな…認めてもらえて嬉しいぜ。まかせな!力になれるよう、俺も努力するからよ」
「うん、頼んだ!…よし、それじゃあ次はベル君!行ってみようか!」
「は、はい!!」
ベルは名前を呼ばれ、緊張しながら前へ出る。
(俺…最後かよ…!くそ…でもやるしかない…レオンさんに認めて貰うためにはなんとか能力を発揮しなきゃ…!)
アランは緊張で高鳴る胸を落ち着け、ギュッと拳を握りしめる。そんなアランをチラッと視界に入れたレオンは、再び怪しげな笑みを浮かべた。
「す、すいません、俺の能力も地面由来の物なのでこのまま外でやってもいいですか?」
「うん、いいよ。それじゃあ…」
レオンは再び、新たな藁人形を設置する。
「さぁ、君の力見せてくれ」
「は、はい!よーし…いくぞ…!!」
ベルはふぅー…と深い深呼吸をすると、背中から抜いた剣を勢いよく地面に突き刺す。
その瞬間、地面に緑色の紋章が現れた。
「緑色の紋章…草の能力か」
「剣を刺したって事は、武器紋章だな…」
そんなベルの様子を、ジェリド達は冷静に分析しながら見つめている。
「さぁ、行ってくれ…」
ベルが地面に剣を刺してから数秒が経過する。
次の瞬間、藁人形の真下の地面から、何かが勢いよく飛び出した。
「あれは…」
「植物の根っこか…?」
「しかもかなり太いね…!」
地面から飛び出した植物の根はそのまま藁人形に纏わりつきギュウ!と締め上げる。
そのまま締め上げられ続けた藁人形はバキバキ!と大きな音を立て、ボロボロと崩れ落ちた。
「ほぅ…!武器を植物の根に変えて操る能力か…面白い!」
ベルが力を抜くと、根っこは再び地面に戻って行く。
ふぅと一息つくと、ベルは剣を引き抜いた。
「…いやー、なかなか面白い能力だね!武器を根に変える能力か…攻撃意外にもかなり応用が効きそうだ。合格!その特殊な力で是非、我々の力になってくれ!」
「…は、はい!」
(よかった〜!緊張で死にそうだった…)
ベルはふぅ、と胸を撫で下ろしアランの横へ戻ってくる。
「あとはアランだけだね…アラン?」
「全身に力をこめて…感情を昂らせて…ブツブツ…」
「あ、アラン…」
ブツブツと独り言を呟き続けているアランを見て、ベルは苦笑いを浮かべた。
「よーし、それじゃあ最後…アラン君!」
「は、はい!!」
(やれる…俺ならやれるさ…!今までだっていざって時は力を出せたんだ…今回も大丈夫だ、きっと!!)
アランは一息ついてから、前に出た。
続く




