第71話 アルハリア城下町へ
「はぁ…」
平原を進むアランは肩を落としため息を吐く。
「まだ引きづってるの?そんな落ち込んでてもエルザは帰ってこないわよ!」
リサは呆れた顔でやれやれと首を振った。
「分かってるけどさ…。エルザがいなくなったらなんだか寂しいよ…」
再びため息を吐くアランを見て、ベルは明るい調子で声をかける。
「まぁまぁ、元気出して!アルハリア城下に行けばレオンさんと一緒に仕事できるんだから!」
「あぁ…そうだな…寂しいけど、いつまでも引きずってちゃダメだよな…!よーし!とっととアルハリア城下に行ってレオンさんの役に立つぞー!!」
そう声をあげると、アランは平原を駆け出していく。
「全く…テンション下がったり上がったり忙しい奴ね…」
「あはは、アランってほんと面白いな…よーし、アラン待ってくれー!!」
ニコニコと笑顔を浮かべながら、ベルもアランの後を追い平原を駆け出した。
「全く…元気のよろしい事で…」
「本当ですね…」
リサとレオナはそんな二人を苦笑いを浮かべ見つめていた。
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それからひたすら平原を歩いていくと、遠くに大きな壁のような物が見えてきた。
「ん?何か見えてきたぞ…」
「あれは…壁だよ!奥にはもっと大きい壁もある…!!」
「おそらくあそこがアルハリア城下ね…と、いうことは奥に見える大きい壁が城塞都市アルハリアよ!」
「本当か!?日も暮れてきたし、ラストスパート急ぐぞ!!」
「よし、行こう!!」
「あ、ちょっと!待ってよ!!」
「待ってくださーい!」
四人は夕日に染まる平原を走り抜けて行った。
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「へー、でっかい壁だ…!」
先ほど見えた壁の下に辿り着くと、そこには中へ入るための大きな入り口があった。
入り口の門を潜り抜けると、そこには沢山の石作りの民家やお店が並ぶ巨大な城下町が広がっていた。
「うわー…すっげぇ…!」
「建物も人もいっぱいね…」
「俺、こんなに沢山人が集まってるの初めてみた…」
「私も…」
四人は見たこともない巨大な街並みに呆然と立ち尽くす。
そんな時、正面から見慣れた顔の男が歩いて来るのが見えた。
「おーい!こっちこっち!!」
人混みの中で手を振るのは、紛れもなく勇者団二番隊のレオンだった。
「あ、レオンさんだ!」
「すげぇ、あのレオンさんが俺たちに手を振ってくれてる…!!」
「ほらほら、ぼさっとしてないで早く行くわよ!待たせたら失礼でしょうが!」
アラン達はレオンを見てざわめく街の人々を避け、レオンの元へと駆け寄った。
「やぁ、また会ったね。…ここだと目立つから人の少ないところへ行こう。俺の行きつけのお店、紹介するよ」
レオンに導かれ、アラン達はまっすぐ続く大通りを逸れ人気の少ない路地に入った。
「この街は城塞都市アルハリアの玄関口みたいな物でね、"円状"に作られてて、中央の広場を堺に"四つの区画"に分かれてる。それで、さっきの大通りをまっすぐ進むと城塞都市アルハリアへの入り口があるよ」
「そっか…あの先が城塞都市なんだな…!」
「それにしても、ここって路地道が多いんですね…」
「ここは沢山の人が住んでて建物も多いからこういう路地が多くなってるんだ。こういう路地って人が少ないのは良いんだけど、問題も起こりやすくてね…勇者団としては少し困ってるんだよ…」
「へー、そうなんですね…」
「確かに、こういう路地って悪い事するには持ってこいの場所だもんな…」
「そう言う事。…っと、着いたよ!俺の行きつけのバー"ペテルギウス"!名前は厳ついけど、ご飯もお酒もかなり美味しい!マスターもいい人だしね。とりあえずこの中で話をしようか。今後の事やら天魔流の事についてね」
レオンに案内され、バーの中へと入った。
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レオンはバーに入ると笑顔を浮かべ手を挙げる。
すると、カウンターにいた短い茶髪に髭を生やしたがっしりとした体格の中年の男が嬉しそうにレオンの方へ顔を向けた。
「やぁ、ガイアムさん。お久しぶりです」
「おぉ、誰かと思えばレオンじゃないか!…今日はお仲間連れかい?」
「まぁそんなとこですかね。…悪いんだけど、またちょっと重要な話があって、お店貸切に出来ませんか?」
「おう、いいぜ!たまたま客もいないしな。奥の席使っていいぜ」
「いつも助かります。また今度二番隊の連中連れて来るんで」
「おう、待ってるぜ!んじゃ、一度店閉めるぞ」
そう言うと、ガイアムは店の扉にかけてあった看板をcloseと書かれた側へと裏返した。
「あのマスター、ガイアムさんっていう人なんだけど実は勇者団OBなんだ。実質、俺の先輩だね」
「え、そうなんですか!?」
「確かにガッチリした体つきはしてるかも…」
「うんうん、そう言われると威厳も感じる…」
「あはは、確かにそうだね。…もし勇者団に入団したら学ぶだろうけど、ガイアムさんは一昔前にあった"世界規模の戦争"の時に大きな怪我を負ってしまってね…早めに現役を引退しちゃったんだ。それで、今はバーのマスターをやってるってわけ」
「世界規模の戦争…」
「そんな物があったのか…」
「ま、君たちが知らないのも無理は無いよ。ちょうど君たちが"生まれる直前から直後"くらいの出来事だし、結構大変だったから自分から話したがる人は少ないしね…。また機会があれば詳しく話すよ。それか、君たちが勇者団に入ったらその時にね。…よし、じゃそっちの席で話そうか」
「はい!…なんだか、初めてレオンさんに会った時を思い出すな!」
「そうね…前にクロッカスで会った時も似たような感じで話したものね」
「前にも会ってたなんて、二人ともすごいな!な、レオナ!」
「うん、勇者団の隊長さんと知り合いなんて凄いね!」
「あはは、なんだか懐かしいなぁ…。まさかこんなに早く君たちと一緒に仕事をする事になるとは俺も思って無かったけど…それほど君たちの実力を買ってるって事だからね。ダンテや青龍団とあそこまで戦える人材は勇者団の中でも少ないし」
「そう言われるとなんだか照れるな…」
「そうね…」
「よし、じゃあそこ座って!早速だけど、作戦会議を始めよう。時間も限られてる事だしね」
「はい!」
こうして、アラン達はついに目的地である城塞都市アルハリアの玄関口、アルハリア城下街に辿り着いたのだった。
続く。
投稿は不定期で行います。




