第58話 アルハリア城下町へ
次の日の朝。
アラン達はカナ達と共に朝食を食べていた。
「いやー、朝ごはんまで申し訳ありません…」
「いいのいいの!気なんか使わないでいっぱい食べていって!」
テーブルには豪華な朝食が並べてあり、アランとベルは涎を垂らしながら朝食を見つめていた。
「さ、準備できたし食べましょ!」
「やった!いただきまーす!!」
「いただきます!!」
「全く、朝から食い意地張ってるわね…」
「ですね…」
そんな二人の様子をリサとレオナはやれやれと見つめていた。
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「すみませーん!誰かいらっしゃいますかー!?」
朝食を食べていると、家の外から声が聞こえてきた。
「あら誰かしら…ちょっと見てくるわね」
そう言うと、カナは立ち上がり家の外へ出た。
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外に出ると、村の中央に人影が見えた。
(あれは…勇者団のマント…?)
勇者団のマントを身につけたその男はカナに気づくと駆け足でカナの方へ駆け寄ってきた。
「いやー、どうも…私"勇者団二番隊"の兵士でして…」
「勇者団の…?」
「えぇ。私の所属する二番隊の隊長、レオンさんから青龍団の行方が掴めるまでジャカ周辺の村の警護を命令されまして…。村の周辺に勇者団の兵士を配置し警護する、という形なんですが一応村の方に許可を頂くべきだと思いましてご挨拶に…」
「そうだったんですか…許可なんてそんな!戦争なんかで忙しいでしょうに…大丈夫なんですか?」
「えぇ、獣人族との戦争もやっとこさひと段落着いた所ですから…。それに、皆さんが困っているのにも関わらず青龍団を対処出来ずにいた我々のせめてもの償いの様なものです。こんな事で償えるとは思ってはおりませんが…」
勇者団の兵士は俯きながらそう呟く。
そんな兵士の姿を見て、カナはニコッと笑みを浮かべ兵士の肩に手を置いた。
「そんなに気を落とさないで下さい。青龍団の件で勇者団が悪いなんて思ってる人はほとんどいません!だって勇者団は私たちを守るために獣人族との戦争に行ってくれてた訳ですよね…。ただでさえ人手不足な世の中で私たちまで守れ!なんてわがまま言わないですよ!それに、元を辿れば悪いのは青龍団ですし…」
その言葉を聞き、兵士は顔を上げる。
「…そう言って頂いて助かります。本当は戦争しながらでも国民を守るのが勇者団の使命なんですが…最近は人手不足が厳しくて戦争ともなると国内に回す手がない…。このままではまずいと我々も分かってはいるんですがね…」
(そっか…勇者団って悪者が出たらすぐに倒してくれる完璧なヒーローみたいなもんだって昔は思ってたけど、現実は色々問題抱えてるんだな…)
村長の家を出て遠くから会話を聞いていたアランは少し複雑な心境を抱いていた。
(…でも、だからこそ俺は勇者団に入らなくちゃいけない。勇者団に入って困ってる人を一人でも多く助けたい。俺のこの手で…!!)
アランはぎゅっと手を握り立ち上がる。
「ん?アランどうしたの?」
横に座っていたリサは不思議そうにアランを見上げた。
「旅の目的…勇者団入団はもう目の前だ!よーし、いっぱい食って絶対勇者団に入ってやるぞ!!」
アランはニコリと笑みを浮かべそう叫んだ。
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「って事で、勇者団の二番隊の兵士さん達がこの村を警護してくれることになりました!青龍団の行方が掴めるまでみたいだけど…」
「二番隊の人達が守ってくれるならもう心配無用ですね!」
「勇者団の人手は大丈夫そうなんですか?」
「えぇ、やっと獣人族との戦争にひと段落ついたみたいで…。でも、この間に私たちも自分達で村を守れるように力をつけないとね…いつまでも勇者団の人達に頼りっぱなしって訳にはいかないだろうから…」
「なかなか難しいとは思いますけど…私たちも出来ることは協力します!泊めてもらったお礼もあるし!」
「そーだね、何かあったらすぐ連絡して下さい!」
「何があればすぐ戻って来て力貸しますから!」
ニコニコと眩しい笑顔を浮かべるアラン達を見て、カナは同じようにニコリと笑みを浮かべた。
「…うん!期待してるわよ、未来の勇者達!!」
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「…城下町はこの平原をひたすらまっすぐ行けば着くはずよ。そんなに遠くないから、夕方くらいには着くと思うわ」
「ありがとうございます。カナさん、色々とお世話になりました!勇者団に入ってまた必ず会いに来ます!」
「えぇ、待ってるわよ!」
「それじゃあいこうか、目的地は目の前だ!!」
アラン達はガベラ村の人々に見送られながら平原を進んで行った。
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"勇者団第四支部"…。
「セマフさん、来てくれたんすね!」
「あぁ、村に帰るついでさ。それで…囚人移送の準備はできているか?」
「もちろんですよ、準備万端です」
「よし、それでは只今より第四支部の囚人達を新設されたアルハリア東刑務所へ移送する!移送の指揮は三番隊副隊長、クーゼに一任する!頼んだぞ、クーゼ。くれぐれも脱走などされんようにな」
クーゼと呼ばれる黒髪でキリッとした眉毛のいかにも真面目そうな男は敬礼すると第四支部の建物を出て行った。
「大丈夫ですかねぇ…何も起こらなきゃいいんですけど…」
「…まぁクーゼなら大丈夫だろう。奴は生真面目で優秀な男だ」
「ちょっと扱いづらいっすけどね…あ、そうだ!セマフさんに合わせたい人が…」
「俺に合わせたい人…?誰だ?」
「入って来て下さい!!」
ガルドアの声と同時に部屋の扉が開く。
入って来たのは黒いローブを見に纏った不思議な男だった。
「久しぶりですね、セマフさん。相変わらずできる人だ…」
「…っ!?まさかその声は…!!」
「えぇ…お久しぶりです」
そう言うと、男はローブを外しセマフの方へ顔を向ける。
「まさか…まさか…!!」
セマフは驚いた顔を浮かべ、男の顔をじっと見つめた。
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"アルハリア城地下封印の間"…。
「いやー、やっと帰って来れたよ…。お久、クリス」
レオンはクリスに向けニコッと笑みを浮かべる。
「そんな時間経ってないでしょう…。それより、ダンテ捕まえたんですね」
「あぁ、とある少年たちのおかげでね…。さて…時間も無いし早速取り調べと行きますかね…」
「封印の間…使うのなんだか久しぶりですね」
「そうだっけか?…ま、ここは"紋章持ちの奴を尋問"する時しか使わないからねぇ。クリスにも手伝ってもらうよ」
「はいはい…俺、こういうのあんまり好きじゃないんだけどな…」
「しょうがないだろ、これも仕事のうち。さ、始めようか…色々教えてもらうよ、ダンテ君…!」
レオンは椅子に縛り付けられたダンテの方を見ると、ニヤリと不適な笑みを浮かべる。
その顔を見て、ダンテはゴクリと息を呑んだ。
続く。
投稿は不定期で行います。




