第55話 勇者団"一番隊"
アラン達四人は勇者団の兵士達に連れられ、村の広場へと移動してきた。気を失っているアランからは光が消え、いつもの状態に戻っていた。
「勇者団…カナさん達が通報してくれてたのね…」
「みたいだね…そのおかげで助かったよ…」
「うん…それにしてもカッコよかったなぁ…!!アランにも見せてあげたかったよ!!」
ベルは目をキラキラと輝かせ、満面の笑みでそう話す。
そんな時だった。
「んん…」
先程まで気を失っていたアランがうなり声を上げる。
そしてゆっくりと目を開き、体を起こした。
「あれ…?ここは…そうだ!ダンテ!ダンテは!?」
アランは咄嗟に立ち上がると、キョロキョロと辺りを見渡す。
「イテテ…!」
しかし、まだ傷が治りきっておらずアランはその場にしゃがみ込んだ。
「ほら、まだ傷が治りきってないんだから大人しくね!」
そう言いながらアランの肩に手を当てたのは勇者団のマントに身を包んだ茶髪の女性だった。
「え…!?勇者団!?なんで勇者団の兵士さんがここに!?」
アランは状況が掴めないまま慌てふためいている。
そんなアランの様子を三人は笑いながら見つめていた。
「あ、三人とも!無事だったんだな!!ダンテは?ダンテはどこだ?なんで勇者団がここに?」
アラン状況の整理をする為、三人に質問を投げかける。
「ダンテは倒したわよ、勇者団のレオンさんが。カナさん達が念の為勇者団に通報してくれてたみたいだわ」
「レオンさん!?レオンさんがいるのか!?」
「あぁ、ダンテとの戦い、カッコよかったぞ!一瞬でダンテを倒しちゃったんだから!」
「くっそー、俺も見たかったよ!」
アランは悔しそうな顔でそう叫ぶ。
その顔を見て、ベルはニヤニヤと笑顔を浮かべていた。
「…でも、カナさん達のおかげで助かったな…。俺たちだけじゃ恐らくダンテには勝ててなかったと思うし…」
アランはギュッと拳を握りしめ俯く。
そんなアランの様子を見て、エルザが口を開いた。
「…でも、アランもカッコよかったよ!なんかさっきまで体光ってたし!」
「確かに…すごい光ってたわよね…あれ、なんだったの?」
「俺にも詳しくは分からないけど…エネルギーが体に戻ってきた時、急に体に力が漲ってきて…」
「あれも紋章の能力なのかな….?」
「多分…そうだと思う。…そう言えば、カルムは俺の紋章をみて神獣がどうのとか言ってたな…俺をここへ連れてきたのも神獣の力ってのが目的地みたいだったし…」
「神獣…?」
「神獣の力って何?」
「俺も詳しくは分からないんだけど…昔の戦争のとき、それぞれの属性の紋章持ち達を率いてた存在らしい。カルムはそう言ってた」
「紋章持ちを率いてた存在…」
「それ、結構すごいんじゃないの?」
「すごいよ!要するに、アランは光の紋章持ちを率いてた人の力を受け継いでるって事でしょ?ロマンあるなぁ!」
エルザは目を輝かせ、アランの手の紋章を見つめる。
「ま、とりあえずまたレオンさん達が来るみたいだからその時一緒に聞いてみましょ!レオンさんならきっと何か知ってるはずよ!」
「そうだな!」
四人はジャカの村の広場でレオンを待つことにした。
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「あ、これアランの剣!」
「お、ありがとな!ベル!」
アランはベルから剣を受け取ると、すぐに背中にかける。
「やっぱこれがないと落ち着かないな…」
そんな会話をしている時だった。
「いやー、お待たせ!」
そう言いながら広場へ歩いてきたのは勇者団二番隊隊長、レオンだった。
「あ、レオンさんだ!」
アランはレオン見ると、目を輝かせ声を上げる。
「やぁ、君達。また会ったね!…まさかこんな所で再開するとは思わなかったよ」
「レオンさん、さっきは助けて頂いてありがとうございました」
「あ、ありがとうございました!」
「ありがとうございました」
リサは深々と頭を下げレオンに感謝の言葉を述べる。
それに続きベルとエルザも頭を下げた。
「いいんだよ、これが俺たち勇者団の仕事だから。…さ、回復したてでまだ疲れてるとは思うけど…また少し話を聞かせてもらえるかな?」
「はい、もちろんです」
「よし、それじゃあまずなんで青龍団と揉めてたのかって所から聞かせてもらおうかな」
「はい、それは…」
レオンの質問に答え、アラン達は今まであった出来事をレオンに話した。
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「なるほど…最初はガベラ村を襲いに青龍団がやって来て奴らと戦ったと…。そしてアラン君の能力を見てカルムはアラン君を連れ去ったんだね」
「えぇ、確か神獣の力がどうのって…」
「神獣の力か…奴らは神獣の力を何に使うつもりだったんだ…?」
「カルムはカルム自身が神獣化するために俺の力を使うって言ってたような…」
「カルムが神獣に…?そうか…水の神獣は奴だったのか…!こりゃまた厄介だな…」
「あの…神獣の力って具体的にどんなものなんですか?」
リサは不思議そうにレオンに問いかける。
「まぁ俺も全て知ってるって訳では無いけど…神獣の力は過去の戦争の時それぞれの属性の紋章持ち達を率いていた長たちの力だって言われてる。その名の通り神獣の力が解放されると能力者は獣のように姿を変え最強の力を得られる…なんて言われてるよ」
「獣のように姿を…」
「最強の力…」
「だからもしアラン君が力を開放できてその力を操れれば相当強くなれるって事だね…」
「神獣の力を…解放…」
アランは改めて自分の手の甲の紋章を見つめる。
「…さてさて、話が逸れちゃったね。とりあえず、今は話を聞かせてくれ。君達は四人だけでここへ乗り込んできたのかい?」
「いえ、赤龍団って人達と一緒に来たんです」
「赤龍団…?聞いた事ないな…」
「なんでも好き勝手やっている青龍団を倒すために作られた組織みたいで…」
「へー、そんな勇気ある人達がいるんだね…」
「あ、噂をすればあれジェリド達じゃないか!?」
ベルの指差す方を見ると、白馬に跨るセマフを先頭に勇者団の兵士達が村は戻って来ていた。その馬の背後にはジェリド達三人の姿があった。
「おっ、セマフさん達が帰って来たみたいだね…あの後ろに乗ってるのが赤龍団か」
セマフ達は広場の端に馬を止めると、ジェリド達を担ぎアラン達の方へと歩いてきた。
「レオン、今戻った。この少年達は村で動けなくなっていた。赤龍団という組織の者たちらしいが…」
「あぁ、今ちょうどこっちのアラン君達から話を聞いた所です」
セマフに担がれるジェリドは顔を上げるとアランの方へ目を向けた。
「お前がアランか?無事助かったみたいだな…仲間たちによく感謝した方がいいぜ!」
「あぁ…」
「そっか、アランは初対面だったわね!彼は赤龍団のジェリド!そしてあっちの…血まみれなのがハオ!そしてあっちがロックスよ!みんなアランを助けるのを手伝ってくれたのよ!」
「そうだったのか…ありがとう、三人とも!!」
「へ…なんだか照れるけど俺たちも青龍団を倒すって目的があったからな、そのついでさ。…結局奴らには逃げられちまったけどよ」
「そっか…強いのね、青龍団」
「あぁ…」
ジェリドは俯きギュッと拳を握る。
「まぁとりあえず治療が先だ。降ろすぞ」
セマフ達がジェリド達を降ろすと勇者団の兵士達が素早く駆け寄り回復の印をジェリド達にかざす。
「君達からも回復したら少し話を聞かせてもらうよ」
「あぁ、わかった」
「それで…」
「ん?」
「あちらの方は…?」
「あぁ、紹介が遅れたね…彼はセマフ。勇者団の一番隊隊長だ」
「え…?えーーーーー!!!?一番隊のセマフさん!!!?」
「よろしく頼む、アラン君」
ニコリと微笑むと、セマフはアランの方へ手を差し出した。
続く。




