第54話 一瞬の決着
「な、なんでテメェがここにいやがる…!!」
ダンテは驚いた顔を浮かべ、レオンの方を見る。
「それはこっちのセリフだ…ったく、"勇者団が一度追っ払った"のにまたこの村に戻ってきてるとはな…」
「へっ…この村はなかなか居心地がいいからな…そう簡単には捨てられねぇよ…!だが、なんでテメェらがまた…!」
「通報があったのさ、ガベラ村のカナって人から。ま、通報内容は青龍団についてだったけどな…。まさかお前がいるとは思わなかったよ、ダンテ」
レオンはニヤリと笑みを浮かべると、ダンテを見下ろす。
「レオン、やはりどこにも青龍団は見当たらない。逃げられたようだ。まだ近くにいないか外を確認してくる」
そうレオンに話しかけたのは、白髪のオールバックに白髭を生やしたガタイの良い男だった。男は白馬に跨り、後ろには同じく馬に跨った勇者団の兵士達が二十名ほど待機していた。
「そうですか…。できれば捕らえたいですけど、あんまり深追いはしなくて平気ですよ、セマフさん」
「あぁ、分かってる。ダンテの方は頼んだぞ」
そう言うと、セマフは後ろの兵士達を引き連れ村の外へと向かって行った。
「勇者団…」
「ダンテをあんなに一瞬で…」
「すごい…」
リサ達三人は呆然としながらレオンの方を見つめている。
レオンは三人の方へ振り返ると、ニコッと笑みを浮かべた。
「君たち、よくここまで戦ったね。あとは俺に任せて、君たちは休んでてくれ。後で話し聞くからよろしくね」
そう言うと、レオンはクイっと首を振る。
すると勇者団の兵士達がそれぞれ四人の元に歩み寄り手をかざした。
「今から回復するから、楽にしててね」
兵士達は四人にニコリと微笑みかけた。
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「さ、俺たちも忙しいんでね…とっとと終わらせようか。話はまた後でたっぷり聞かせてもらうから」
「く、くそっ…!!」
ダンテはふらふらと体を揺らしながらその場で立ち上がる。
「へ…へへへ…!いい機会だ…!!テメェもここで殺して…!!」
ダンテがそう口を開いた瞬間だった。
目の前にいたレオンがふっとその場から姿を消す。
「消えた…!?」
突然の事にダンテは驚きの表情を浮かべる。
次の瞬間、ダンテの顔面に勢いよくレオンの拳がぶつかった。
「ぐはぁ…!!」
そのまま、再び幾度もレオンの拳がダンテの顔にぶつかっていく。
そしてレオンが蹴りを放つと、ダンテは横へ蹴り飛ばされ民家の壁にぶつかりそのままうつ伏せに倒れ込んだ。
「なぜ…俺の能力範囲で…ここまで…」
ダンテは朦朧とする意識の中、顔を上げレオンの方を見上げる。
「君の能力は相手の体に"目には見えない闇のオーラを纏わりつかせ体を重くさせる能力"…。俺、光の速さで動けるから体が重くなってもそんなに意味ないんだよね。"紋章の能力値"も君はまだまだ成長途中って感じだし」
「くそ…俺は…こんなところ…で…」
何か言いかけ、ダンテは気を失いその場に顔を伏せた。
「ふぅ、終わった終わった。彼らが兜壊してくれてたおかげで楽にやれたな…。俺の力じゃ兜壊すの大変そうだったし…」
レオンは大きく伸びをするとリサ達の方へと振り返る。
そしてニコッと微笑み、口を開いた。
「とりあえず回復したら話を聞くから君たちは村の広場で待っててくれ。頼んだよ、君たち」
レオンにそう言われ、勇者団の兵士達はコクリと頷く。
「さーて…色々大変なことになってきたぞ…」
レオンはふぅ、とため息を吐き倒れるダンテを見下ろした。
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レオンは気絶するダンテをロープで縛り上げ、勇者団の兵士が運んできた馬車に乗せる。
「こいつの事情聴取は後でやるから、とりあえず目覚ます前に独居房に入れといて」
「はい」
そう返事をすると勇者団の兵士は馬車を走らせ村を出て行った。
「さて、あとは青龍団だけど…」
レオンがそう呟いた時、レオンの右手に白い紋章が光り始めた。
「おっ、連絡だ…」
レオンは反対の手で紋章に触れると、手の甲を耳元にあてがう。
「こちらレオン」
『こちらセマフだ。周囲を捜索したがやはり青龍団の連中は見当たらない。おそらく俺たちに勘づいて先に逃げたんだろう…』
「そうですか…分かりました、とりあえず青龍団は後回しにしましょう。今からさっきの彼らに事情聴取するんで手伝って貰えますか?」
『分かった、今から村に戻る。ダンテは?』
「とりあえず拘束して本部地下の独居房に入れておくよう部下に指示しときました。…奴からは後でたっぷり話を聞かせて貰いますよ」
『ふん、流石は勇者団の拷問担当。イキイキしてるな』
「やめて下さいよ…俺が拷問好きみたいに…。情報を聞き出す為に仕方なくやってるんです」
『そうだったな。とりあえず村に戻る。では』
そこでセマフとの通信は途切れた。
「ふぅ、それじゃあ聞き取り始めますかねぇ…」
レオンは頭を掻きながら村の広場へと向かって行った。
続く。
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