第52話 ダンテの本気
「いくよ!!」
そう声を上げるとエルザは先程同様石を手に持ちダンテの方へと投げつける。
「またそれか?…今度はこっちからも行くぜ!!」
「爆破の印!!」
エルザの声と同時に石が爆発を起こす。
その瞬間、ダンテは素早く移動し爆発から抜け出した。
「なっ…!」
「今度こそ起き上がれねぇようにしっかり痛めつけてやるぜ…ジャカの生き残り!!」
ダンテは一気にエルザの方へと駆け込み、一瞬で距離を詰める。
「早い…!」
エルザはなんとか逃げようと体を動かすが、先程のダメージがまだ残っており上手く逃げる体勢を取れなかった。
「エルザ!!」
アランは咄嗟に動き出しダンテの方へと向かっていく。
しかし、ダンテに近づいたところで体が動かなくなってしまった。
「くそ…くそっ!!さっきみたいに動いてくれ!!!」
アランはなんとか体を動かそうと全身に力を込める。
しかし、アランの体はその場から動かない。
その間にダンテはエルザの懐に素早く入り込んだ。
「体が…!!」
エルザは動きを止め、ダンテの方を見る。
すると、ダンテはエルザの方へと手のひらを向けた。
「行くぜ、超爆破の印…!!」
ダンテがそう呟いた瞬間、ダンテの手のひらから火花が散り始める。
「くっ…!!」
エルザは歯を食いしばりぎゅっと目を閉じた。
「動け…!!動け…!!!動け!!!!」
アランが全ての力を込めそう叫んだ瞬間だった。
アランの体を纏う光が突然強まり始め、重かった体が軽やかにに動き始めた。
「体が…!!」
不思議に思いながらもアランはすぐにダンテを睨みつけ、勢いよく地面を蹴る。
「さぁ、終わりだ!!」
ダンテの手から大きな火花が飛び散った瞬間だった。
「させるかよ!!!」
ダンテの横から勢いよくアランが飛び込んできた。
「なっ…!?」
「アラン!?」
あまりに突然の事にダンテは動きを止めアランの方へと顔を向ける。すると、すでにアランの拳が目の前まで迫ってきていた。
「なぜ動け…!!」
そう言おうとした瞬間、アランの拳が再びダンテの兜に勢いよくぶつかった。
「くらえ!!」
ダンテはそのまま横へと殴り飛ばされ、民家の壁へと思い切りぶつかった。
「す、凄い!ダンテに一髪かましたぞ!!」
「アラン…!凄いわ…!!でも、何で動けるの…!?」
図書館の前で戦闘を見ていたリサとベルは驚きながら声を上げた。
「すごい!!何で動けるの!?」
突然の事に状況が掴めないまま、エルザもアランの方を見て驚いた顔を浮かべる。
「俺も…なんだかよく分からない…動け動けって全身に力を込めたら突然動き始めたんだ…」
「凄いよ!あのダンテに二回も攻撃するなんて!!」
「あぁ…俺もびっくりしてる…いっ…!!」
エルザと話していると、いきなりアランが右手を押さえ苦悶の表情を浮かべる。
「どうしたの…?って、すごい怪我してるじゃん!!」
エルザは血だらけのアランの右手を掴むと上に持ち上げる。
「イテテ!!もうちょい優しく扱ってくれ!!」
「あ、ご、ごめん!…ダンテの鎧を素手で殴ったらそりゃそんな怪我もするよ…!!大丈夫…じゃないよね…?」
「まぁ痛い。痛いけど…ダンテに苦しめられてきた人たちに比べればこんなのなんでもないよ」
「アラン…」
「でも、おそらく攻撃できるのはあと一回か二回ってとこかな…それ以上は…厳しい。だから、そこで必ず決める。サポート、よろしく頼んだぜ」
「…うん、任せてよ!全力でサポートするから!!」
二人はコクリと頷くとダンテの飛ばされた方へと目を向ける。
辺りに舞っていた砂煙が晴れ、その中で人影が動くのが見えた。
「…やってくれたなぁ」
そう呟き、ダンテはゆっくりとその場で立ち上がる。
煙が晴れ、ダンテの顔を見た二人は驚きの顔を浮かべた。
「アラン、あれ…!」
「あれが…ダンテ…!!」
立ち上がったダンテの顔の鎧は完全に砕け地面に落ちる。
そして現れたのは、黒い髪を後ろへかき上げた男の顔だった。
顔の右頬には黒い剣にぐるぐると体を巻いた不思議な蛇の模様が描かれており、頭からは赤い血が滴っていた。
「まさか俺の能力範囲内であそこまで動けるとは…末恐ろしい能力だ…"神獣"ってのは…!」
ダンテはゆっくりと足を動かしアラン達の方へと歩いていく。
「それに…まさか黒耀鉄の兜まで壊されちまうとは思って無かったぜ…俺は完全にお前の事を甘く見ていたようだ…アラン!!」
ダンテはアラン達から少し離れた場所に立ち止まると体に力を込め始める。
「お前ら相手に本気を出すとは思っても見なかったが…見せてやるぜ、俺の"本気の闇の力"を…!!」
そう呟いた瞬間、ダンテの体に黒いオーラが纏われ始めた。
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「あの黒いオーラ…なんて禍々しいんだ…!」
あまりのオーラの禍々しさに、遠くから見ていたベルも恐怖を感じていた。
「二人とも大丈夫かしら…早く治して手を貸しに行かないと…いっ…!」
リサは体を動かそうとするが、先程の怪我がまだ治っていないようだった。
「まだ無理しちゃだめだよ!もし何かあったら俺が行くから、君は怪我の治療に専念してくれ!」
「…分かったわ。二人とも…気をつけて…!!」
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「すごい威圧だ…どこか恐怖すら感じる…」
あまりのダンテの威圧に、アランはゴクリと唾を飲む。
「アランみたいにオーラを纏い始めた…同じ状態…なのかな…?」
エルザも冷や汗を垂らしながらダンテの方を見つめる。
「かもな…でも、もしかしたら…今のダンテは俺の力を一歩も二歩も上回ってるかもしれない…!!」
「行くぜ…光の神獣…!!お前の力、もっと見せてみろ!!!」
ダンテはニヤリと笑みを浮かべるとそう声を上げた。
続く。
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