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ドリームワールド ー夢の世界の勇者達ー  作者: はるく
青龍団と赤龍団編
47/89

第47話 アラン、復活

「今のうちよ!」


辺りに爆発の砂煙が舞う中、リサとベルは素早く図書館の中に入り込む。ふと振り返ると、エルザはリサ達の方を見つめニコッと笑顔を浮かべた。


(エルザ…気をつけてね!)


リサとベルは図書館の中へ入った。


ーーーーーーーー


「ここが図書館…」


そこは天井の高い木造の建物で、中には大きな本棚がずらりと並んでいた。正面には吹き抜けの二階があり、二階にもたくさんの本棚が並んでいた。


「へー…結構おっきいんだな…。本もいっぱいあるし…」


ベルは物珍しそうに目を輝かせ本棚の本を見つめている。


「世界地図にいろんな図鑑…なんかワクワクするなぁ…!」


本棚の本を見つめている時、ふと一冊の古びた本が目に入る。


「これは…」


ベルはどこか不思議に思いその本を取り出す。

するとその本の左下には『ゼラ・レイド』と掠れた文字で書かれていた。


「ゼラ…レイド…?人の名前かな?」


ベルは試しに本を開いてみる。

すると、その本には武器を手に戦う人々の絵がびっしりと描かれていた。


「戦争の絵…かな」


さらにページを捲ると、白いドアの前に座る一人の男の絵。

さらに次のページにはその白いドアから大量の人間が押し寄せてきている、どこか不気味な絵が描かれていた。


「なんだこれ…文字も書いてあるけどよく読めないし…」


そんなことを考えている時だった。


「こら!何してるのよ!今はそんなことしてる場合じゃないでしょ!!」


リサはそう声を荒げ、ベルから本を取り上げる。


「あぁ…!…そうだった!早くアランを見つけないとね!」


「もう、しっかりしてよね…。ほらベル、あれ見て…」


リサは本を棚に戻すと図書館の奥の方を指差す。


「あ、あれは…!」


リサの指差す先にあったのは、紛れもなく地下へ降りるための階段だった。


「恐らくあれがエルザの言ってた地下への階段ね…!アランがいるとしたら多分あそこよ!」


「だね…よし、行こう!」


二人は駆け足で階段へ向かっていく。

その時だった。


「ひゅー、まさか中にまで入ってくるとはなぁ!」


その声は真上から聞こえる。

次の瞬間、図書館の二階から何か大きな塊が降ってきた。


「上よ!避けて!!」


「うわぁ!?」


リサとベルは咄嗟に後ろに下がる。

大きな塊はドン!と大きな音を立て二人の前に落下した。


「なっ…!お前は…!!」


「よぉ、また会ったな…奴隷さんよぉ…」


二人の目の前に現れたのは勇者団第四支部にいた男、ナックルだった。


「こいつは…?」


「こいつは勇者団第四支部のナックルだよ。逃げた俺たちを追いかけてきた奴だ…!」


「第四支部…!やっぱり暗黒騎士団とズブズブだったわけね…!」


ナックルは肩をぐるぐると回しニヤリと不敵な笑みを浮かべる。


「ダンテを上手いことかわして入ってきたみたいだな…そこは褒めてやるよ。だが、お前らはここで終わりだぜ…!」


ナックルがそう言った瞬間、ナックルの腕は黒く色を変えていく。


「色が変わった…?」


「奴の能力は自分の体を硬化させる能力なんだ。結構厄介だよ…」


「体を硬化…剣じゃ相性悪そうね…」


リサとベルはナックルを睨みつける。

三人は睨み合い、図書館に少しの間静寂が訪れる。

その静寂を破り口を開いたのはベルだった。


「リサ、ここは俺が引き止める。君はさっきみたいにタイミングを見計らって地下へ向かってくれ!」


「で、でも…」


「大丈夫、俺の能力で地下への入り口は塞げる…ちょっとの足止めにはなるだろうけど、今はそのちょっとでも大事だ」


「ベル…分かったわ、様子を見て私は一気に地下へ行く。足止め、頼んだわよ」


「あぁ、任せてくれよ。さぁ、行くよ…!!」


ベルは改めてナックルの方を見ると、勢いよく剣を振る。

すると、ベルの剣はまるで木の根っこのように変化し勢いよくナックルの方へと伸びていく。


「はっ!無駄だ!」


ナックルは硬化させた腕を振り、木の根を横へ弾き飛ばした。


「くっ…これじゃ効かないか…!」


「こっちからも行くぜ…!」


ナックルはベルの方へ走り出すと、硬化させた腕をベルに向け振りかざす。


「うわっ!?」


ベルは後ろにジャンプしなんとか腕を避ける。

目標を失った腕は床にぶつかり、木の床はぐしゃりと折れてしまった。


(古い木の床とはいえ一撃であそこまで…一発でも攻撃を喰らったらヤバそうだな…)


ベルは着地すると、改めて剣を構える。


「まだまだ行くぞ!」


ベルはナックルの方へ走り込むと、何度も剣を振っていく。


「ははは!そんな剣じゃあ俺の硬度には勝てないぜ!!」


しかし、ナックルは余裕な表情でベルの剣を腕で弾き返していく。


(普通の攻撃じゃダメだよな…なら…!)


ベルは一度後ろに戻ると、剣を地面に刺す。


「リサ、今から俺が蔓で奴の足を止める。君はその間に地下に行ってくれ!あんまり止められないかもしれないから急いでね…!」 


「…分かったわ、頼んだわよ!」


「あぁ、いくぞ!」


ベルの足元に緑色の紋章が現れる。


「蔓の舞!!」


ベルがそう声を上げた瞬間、緑色の紋章から何本かの植物の蔓が伸び始める。太く長い蔓は勢いよくナックルの方へむかっていく。


「植物の蔓か…面倒だな…」


ナックルは体を動かし向かってくる蔓を避けていく。

しかし徐々に体勢が崩れ、ナックルの左足に蔓がギュッと巻き付いた。


「ちっ…!」


「捕えた…今だ!」


「えぇ!」


リサは待ってましたと言わんばかりに階段目指して駆け抜けていく。


「くそっ…!行かせてたまるか!!」


ナックルは蔓に巻かれた左足に思い切り力を込める。

すると、ブチブチと蔓が徐々にちぎれ始めた。


(なんて力だよ…!あの太い蔓が切られそうだ…!!)


「急げ!!リサ!!」


「分かってるわよ!!」


リサはさらにスピードを上げ、階段の前にたどり着いた。

その瞬間だった。


「行かせるかぁぁあ!!!」


ブチっ!とナックルは足に絡まった蔓をちぎり捨てる。

そして、リサの元へと駆け込むと腕を振り上げた。


「まずはお前からだ!小娘よぉ!!」


(まずい、避けきれない…!)


リサはギュッと目を瞑る。

その時だった。ガキン!!と大きな音が図書館に響く。

リサがゆっくり目を開けると、目の前には太い木の根が生えナックルの拳を防いでくれていた。


「はぁ、はぁ、間に合った…リサ!!」


「えぇ!ありがとね!!」


リサは振り返ると、地下への階段を下っていく。


「待ちやがれ!!」


ナックルは根を避け、階段を下ろうとする。


「させるか!緑壁(グリーンウォール)!!」


ベルは階段に近づき地面に剣を刺す。

すると、階段の降り口に太い植物が生え始め、完全に階段を塞いでしまった。


「植物の…壁だと…!?…貴様ぁ…!!」


ナックルは怒りの形相でベルを睨む。

しかしすぐに下を向き腕を振り上げた。


「道がないなら…ぶっ壊すだけだ!!」


「やっぱり…!!」


ナックルは思い切り床を殴りつける。

すると、床は壊れナックルの体はそのまま下の階へと落ちていった。


「リサ…大丈夫かな…?」


ベルはナックルの開けた穴から下を覗き込み、心配そうな顔を浮かべていた。


ーーーーーーーー


リサが階段へ降りると、階段の入り口が植物の壁に覆われ始めた。


(分断は上手くできたみたいね…でも、直ぐに床を壊して追いかけてくるはず…!)


リサは段を飛ばし急いで地下へ降りる。

するとそこには青いバンダナを身につけた三人の男と大きな機械。

そして、十字架に磔られ項垂れるアランの姿があった。


「し、侵入者だ!!」


「やれ!!」


青いバンダナの男たちは剣を抜きリサの方へ向かってくる。


「邪魔しないで!!」


リサは地面に剣を刺す。

すると、炎の渦が男たちを包み込み、男たちはその場に倒れ込んだ。


「アランの繋がれてる十字架はこの機械に繋がってるのかしら…」


リサは剣を鞘に戻すと、大きな機械へ目をやる。

その機械には二つのレバーがあり、左のレバーにはエネルギー吸収、右のレバーにはエネルギー注入と文字が書かれていた。


「これ…どっちを引けば…」


そんなことを考えている時だった。

天井から大きな音が聞こえる。

次の瞬間、天井は崩れ上の階からナックルが地下へと降ってきたのだった。


「ナックル…!来たわね…!!」


リサは急いで機械に目をやる。


(エネルギー吸収か注入…見た感じアランは意識を失ってる…ってことは…きっとエネルギーを奪われてるはず!なら注入よ!あってて!!神様!!)


リサはエネルギー注入と書かれたレバーを勢いよく下に下げる。

すると、アランの体の上の円盤から黄色い不思議なエネルギーがアランの体へと注入されていく。


「これでよし…っ!?」


リサが振り返った瞬間。

目の前に、ナックルの硬化した腕が迫ってきていた。

ナックルの腕はリサの腹部にめり込み、リサは降りてきた階段の方へと殴り飛ばされてしまった。


「ぐあっ…!!」


あまりの激痛に、リサはお腹を押さえ血を吐く。

そんな中、アランの体にどんどんとエネルギーが注入されていく。


「余計なことしやがって…!今止めれば間に合うか…!」


ナックルがレバーを引こうと手を伸ばした時だった。

今まで項垂れていたアランが突然顔を上げハッと目を開く。


「うぅ…うぁぁぁぁあ!!!!!」


エネルギーを注入された事による物なのか、アランは体をガタガタと動かし叫び声を上げる。


「アラン!!」


リサは顔を上げ、アランの方を見る。


「まずい…!!」


ナックルがレバーに触れた瞬間、上の階からナックルに向け木の根が飛んでくる。

木の根はナックルの体にぶつかり、油断していたナックルは吹き飛ばされ地下室の壁にぶつかった。


「くそ、邪魔ばかり…!!」


ナックルはアランの方を見てハッと顔色を変える。


「うぅ…うぁぁぁぁぁあ!!!!」


アランはさらに激しく体を動かし暴れ出す。

その時だった。

アランの体が黄色い光に包まれ始める。

あまりの眩しさに、リサ、ベル、ナックルの三人は目を背ける。

そして再びアランの方へ顔を向けると、アランの体は黄色いオーラに包まれていた。


「はぁ、はぁ、何だこれ…力が…みなぎる…!!」


アランは両手に思い切り力を加える。

すると、両手を繋いでいた鎖が一瞬で千切れアランは十字架から解放された。


「すげぇ…なんだかどんどん力が湧いてくる…!」


アランは自分の体を見回し、ニコッと笑顔を浮かべる。

そして、あたりを見渡しやっとリサとベルの存在に気づいたようだった。


「あっ!リサ!ベル!お前たちが助けてくれたのか!?」


「もう、気づくの遅すぎよ!!」


「アラン、久しぶりだな!!」


三人は安堵したのか笑顔を浮かべる。

それとは裏腹に、ナックルの顔はどんどんと怒りに満ち始めていた。


「貴様ら…許さんぞ!!ここで皆殺しにしてやる!!」


「…っ!ナックルがくる…!」


ベルは穴から下の階へ降りると、剣を構えナックルの方へ向く。

そんなベルの前に腕を出し、アランは前に出る。


「アラン…?」


「ここは俺にやらせてくれ…今なら直ぐ倒せる気がする」


「舐めやがって…!今直ぐ殺してやるぜ…!!」


ナックルは戦闘の態勢をとる。

その時だった。

ふっとアランはその場から姿を消す。


「消えた…!?」


「アランが…!」


あまりの速さに、全員がアランを見失いあたりを見渡す。


「ここだよ!」


アランが現れたのは、ナックルの懐の中だった。


「なっ…!!」


ナックルは咄嗟に腹部を硬化させる。

しかし、アランの拳はその硬化を貫き思い切りナックルの腹部へと突き刺さった。


「ぐはぁ!!?」


ナックルは吹き飛ばされ、勢いよく地下室の壁にぶつかった。


「ぐっ…なんて…威力だ…!!」


そう言いながら、ナックルはフラフラと立ち上がる。

その瞬間だった。

追い打ちをかけるように、アランの足がナックルの後頭部を捉える。


「がはぁ…!」


ナックルはそのまま顔を地面に叩きつけられ、その場で動かなくなった。


「す、すごい…あのナックルを一瞬で…」


「ほ、本当に…あれはアラン…なの…?」


ベルとリサは驚いた顔でアランの方を見つめていた。


ーーーーーーーー


「リサ、ベル!」


アランは軽い足取りでリサ達の方へ駆け寄っていく。


「大丈夫か?」


「私達は大丈夫…でも、上でエルザがダンテと戦ってるのよ!」


「だ、ダンテ!?ダンテがここにいるのか!?」


「えぇ、早く戻らないと…!!」


「そうか、なら…」


そう呟くと、アランは天井に空いた穴の下に立ち両足に力を込める。


「何する気よ…!」


「俺は先に行くよ、それじゃあ!」


そう言った瞬間、アランは勢いよくその場から飛び上がる。

そして、図書館の天井を貫き外へ飛び出した。


「うわぁ!?すごいジャンプ力…!!」


「アランの能力って一体なんなのかしら…。って、それどころじゃない!私たちもエルザのところへ戻るわよ!」


「あ、あぁ!…っと、これ、アランのだよな…!」


ベルは地下室の壁に立てかけてあった剣を手に取りリサの方へ駆け寄る。そして二人は階段を駆け上がり、図書館の外へと向かった。


ーーーーーーーー


(エルザとダンテは…いた…っ!!)


アランは下を見渡しダンテ達を見つける。

するとそこには、ダンテの足元でボロボロになり倒れ込むエルザの姿があった。


「エルザ…!」


アランは顔を下に向け、勢いよくダンテの方へと降りていく。

それに気づいたダンテは上を向き舌打ちをした。


「なっ!?…ちっ!こいつは囮だったのか…!!まさか中に侵入されていたとはなぁ…!!」


「ダンテ!!!!」


「来いよ!!お前もこいつと同じように叩きのめしてやるぜ!!!」


アランがダンテに近づいた時、ダンテの能力によりやはり体が止まってしまった。


「くそ…!!」


「はっ、俺の能力の前じゃあどんな生き物も動きを止める。たこれじゃあただの的だな!」 


そう嘲笑いながらダンテはアランの方へ近づいていく。


「ダンテ…ダンテ…!!お前だけは…絶対ゆるさねぇ!!!絶対に…!!!!」


アランは振り上げた右腕に思い切り力を込める。

怒りの思い全てをエネルギーに変えて。

すると、アランの右手が徐々に動き始める。


「うぉぉぉぉぉお!!!!!」


アランはさらに力を込める。

その時だった。

アランの体は動き出し、勢いよくダンテの顔面を殴りつけた。 


「何…!?」


「おらぁ!!!!」


殴れたダンテは立ったまま後ろへと飛ばされ、顔を後ろに逸らしたまま動きを止める。


「はぁはぁ…これは、エルザの仇の一発だ!!」


続く。









投稿は不定期で行います。

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