第46話 エルザとダンテ
「それじゃあ私がダンテの前に出るから、二人は図書館に忍び込んでアランを探して!」
「えぇ、分かったわ。…もしやばそうだったらすぐ声を上げるのよ」
「そうだよ、何かあったらすぐ呼んでくれよ」
「うん、分かってる。…それじゃあ行くね」
エルザはその場で立ち上がると、ギロリとダンテを睨みつけ堂々とダンテの方へと歩いていく。
「ダンテ!!」
エルザは声を荒げ、ダンテの名前を呼んだ。
「…あぁ?テメェは…ジャカの生き残りか…!本当に来るとは思わなかったぜ…!」
ダンテはエルザに気づくと、肩をぐるぐると回しエルザの方へ向く。
「ダンテ…私はあんたを許さない!!絶対に…!!」
「はっ、テメェに許してもらう事なんざ一つもねぇよ…。前回は殺し損ねたが今回は確実に殺すぜ…!!」
「やれるもんならやってみなよ…!お父さんや村の人達の仇…私が絶対とってやる!!」
そう叫ぶと、エルザは体を曲げ地面に手をつける。
「行くよ!魔蛇達!」
その声と同時に地面に現れた白い紋章から二匹の白蛇達が飛び出していく。
「無駄だぜ!ブラウンハーバーの時みてぇに一瞬で終わらせてやるよ!」
魔蛇達は勢いよくダンテの方へと向かっていく。しかし、前と同じように魔蛇達はダンテの近くで動きを止めてしまった。
(あの能力、本当に厄介…。ダンテのそばに近づけないし、魔蛇達も攻撃できない…。一体どうすれば…)
そんなことを考えている時だった。
「面白いもん見せてやるぜ」
そうダンテは呟く。
「面白い…もの…?」
エルザは警戒しながらダンテの方を見つめる。
すると、ダンテは止まっている魔蛇達に向け手のひらを向けた。
「超爆破の印!」
「なっ…!?」
その言葉を聞き、エルザは驚いた顔を浮かべる。
その瞬間、ダンテの手から大きな爆発が起こり魔蛇達は爆発に飲み込まれてしまった。
「ま、まさか…なんで…なんでダンテが超爆破の印を…!?」
エルザは驚いた顔のままただ呆然とダンテの方を見つめる。
砂煙が晴れると、そこには手を突き出したまま立ち尽くすダンテの姿があった。
「…どうだ、面白いだろ?」
ダンテは手を下ろしエルザの方へ顔を向ける。
「超爆破の印は…ダンパさんかダンパさんから教わった弟子達しか扱い方を知らないはず…なんで…なんでダンテがそれを…!」
「教えてもらったのさ、そのダンパに」
「教えてもらった…?」
「あぁ、教えてもらった。他の仲間達もな」
「まさか…ダンパさんがあんた達なんかに教えるわけ…!」
「…まー最初は抵抗されたな。だから少し痛い目見てもらった。そしたらベラベラと扱い方を教えてくれたぜ」
「痛い目…?ダンテ…本当にダンパさんに手を出したの…!?」
エルザは拳をぎゅっと強く握りしめてダンテを睨みつける。
「前も言ったが、情報を聞き出すには苦痛を与えるのが一番だからよ。黙って教えてくれりゃあ手は出さなかったんだけどなぁ…。ま、安心しろ、まだダンパは生かしてある。ま、もうのたれ死んでるかもしれねぇけどな!ハッハッハ!!」
「…さない…」
「あ?」
「ゆるさない…!絶対…殺す!!」
エルザは怒りの顔を浮かべ、素早くダンテの方へ走り出す。
「無駄無駄!!どうやっても俺に攻撃は当たらんねぇよ!!」
案の定、エルザの体はダンテの前で動かなくなってしまった。
「体が…!!くそっ!くそっ!くそっ!!!」
あまりの怒りに、エルザは声を荒げる。
「あんまりギャーギャー騒ぐなよ…耳障りだ!!」
ダンテは動きの止まったエルザに向け、勢いよく拳を放った。
ダンテの拳はエルザの顔面に当たり、エルザは勢いよく後ろへ吹き飛んだ。
「ぐっ…!!」
エルザは民家の壁にぶつかり、そのまま座り込んでしまった。
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(や、やばいぞ…!エルザがやられちゃいそうだ…!)
(まずいわね…完全にペースをダンテに握られてる…!このままじゃ時間を稼ぐどころじゃ無いわ…!!)
瓦礫の影から、リサとベルは心配そうにエルザ達の方を見つめていた。
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(はぁ…はぁ…私…かなり熱くなってたな…。ダンテは憎い…憎いけど…今は…アランの事を優先しなくちゃ…。どの道私じゃダンテに勝てない…今は…今は冷静になって時間を稼がなくっちゃ…!!)
エルザはふぅ、と一息つき感情を落ち着かせる。
そしてフラフラと立ち上がり、改めてダンテの方を睨みつけた。
「ほう、まだやる気か…?いいぜ、相手してやる…!」
(奴は生物の動きを止められる…だけど、物まで止められるかはまだ分からない…試してみるしかないかな…)
エルザは息を整えると辺りを見渡す。
(アレで…!)
すると、エルザは突然素早く走り出した。
そして地面に落ちていた手のひらほどの尖った石を拾い思い切りダンテに投げつけた。
「はっ、そんな物でどうなるってんだ?」
石は勢いよくダンテに向かっていく。
目の前に石が来た時、ダンテは首を横に曲げ軽く石を避けた。
(避けた…!もしかしたら生物以外は止められないのかも…!)
エルザはそのままの勢いで走り続け、同じような石を拾っては何度もダンテに投げつけていく。
「おいおい、頭おかしくなったのか!?石なんざ俺の鎧には…!」
「よく見てみな、ただの石じゃないよ!」
エルザの言葉を聞きダンテはふと、飛んでくる石に目を向ける。
すると全ての石には白い紋章が浮かび上がっていた。
「爆破の印…!ただの石ころにも付与出来るとは…!!」
「これが師匠との修行の成果だよ!爆破の印!!」
エルザの声と同時に、石達は一斉に爆発する。
ドォン!ドォン!と言う爆音と共に辺りは砂煙き包まれた。
「はぁ、はぁ…」
エルザは息を整えながらリサ達の方へ振り返る。
(今ならいけるよ!急いで!)
その意味を汲み取ったのか、リサとベルはコクリと頷き図書館へと駆け込んでいく。
しかし、煙はどんどんと晴れているようだった。
(まずい、煙が晴れそう…爆破の印は結構体力使うんだけど…仕方ないか!)
エルザはさらに石を拾いダンテの方へ投げつけていく。
「まだまだ行くよ!爆破の印!!」
投げられた石はどんどんと爆発していく。
新たに舞い上がった砂煙の中、リサとベルが図書館に入るのが見えた。
(頼んだよ…二人とも!)
エルザは二人を見送り、ダンテの方へ顔を向けた。
煙がどんどん晴れていく。
その中には、ただただ立ち尽くすダンテの姿があった。
「嘘でしょ…あの数の爆発を喰らって鎧すら壊れてない…!?」
ダンテの鎧には爆発による汚れや焦げなどはあるものの、致命的なダメージは与えられていないようだった。
「ハッハッハ!なかなかいい爆発だったぜ。だが…そんなんじゃあこの黒耀鉄の鎧は壊せないぜ!!」
そう声を荒げ、ダンテは素早くエルザの方へと駆け出す。
「まず…!」
エルザはその場から離れようと体を動かすが、あまりの速さに直ぐにダンテの能力の範囲に入ってしまった。
「お返しだぜ…爆破の印!!」
ダンテの手のひらがエルザに向けられる。
そして、ダンテの手のひらから大きな爆発が起こりエルザを包み込んだ。
「ドォン!!」
ジャカの村に爆発音が響き渡る。
エルザは爆発に巻き込まれ、ボロボロになりながら後ろに倒れ込む。
「う、うぅ…」
「お前には色々と聞きたいこともあるしな…殺さずに手加減してやったよ。さぁ、色々と話、聞かせてもらうぜ」
ダンテはそう言いながらエルザの方へと近づいていく。
そして、倒れ込むエルザに手を伸ばした。
続く。
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