第41話 ジャカの村へ
ジェリド達の馬に乗り、リサ達はジャカの村へと向かっていた。
「ねぇ、ジェリド…さん?」
リサは馬の前に乗るジェリドに話しかける。
「ジェリドでいいぜ、堅苦しいのは嫌いだしよ」
「そう…ジェリド、あなた達はどうして青龍団を追ってるの?」
「…なんでって聞かれるとあれだが…俺たちの住んでるこの辺りを荒らしてる奴らが許せなくてな。幼馴染のロックスと途中で知り合ったハオを仲間に誘って奴らを追ってるんだ。…ま、ハオには他の理由があるみたいだがな」
「他の理由?」
「あぁ。青龍団に兄貴がいるらしくてな、その兄貴…どうやらハオ以外の家族を殺しちまったらしいんだ」
「家族を…?」
「あぁ。詳しい事情は知らねぇが、その真相解明と復讐も兼ねてるらしいぜ」
「…いろんな事情があるのね」
「まぁな。…で、お前たちは何で青龍団と揉めてたんだ?」
「えっと…私たち、勇者団に入るために旅をしてたの。それでたまたまガベラ村に寄ったら青龍団に金品を奪われてるって聞いて…」
「なるほど、それで青龍団に喧嘩売ったのか…。ま、無謀だったな」
「………」
「カルムは並大抵の能力者よりも全然強い。下手したら勇者団の連中よりもな」
「…確かに強かったわ」
「だろ?…幹部の連中も強敵揃いだ。これからの戦いはそうとう厳しくなる。気をつけろよ」
「…わかったわ」
「よし。そろそろジャカノ村に着くはずだ…ん?」
遠くにジャカの村の影が見えて来た時だった。
平原の真ん中に、誰かが立っているのが見えた。
「あれは…ハオ!」
「あぁ…!ジェリド、ここは僕にやらせてもらうよ」
そう言うと、ハオは馬を止め飛び降りる。
「君、馬は扱える?」
「うん、平気だけど…どうしたの?」
「敵さ。ここは僕が戦うから君たちは先に行っててくれ」
「おう、任せたぜ」
そう言うと、ジェリド達は馬を走らせる。
そして、立っている人の横を素早く駆け抜けて行った。
「あれは…前にみた…!」
「あれがハオの兄貴だ。奴はハオに任せておこう。…だがここに奴がいるということは、俺たちの存在がバレてるかもしれねぇな…厄介になりそうだ…!」
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馬から降りたハオはゆっくりと立っていた人の前に歩いて行く。
「やっと見つけたよ…兄貴」
「…まさかここまで追ってくるとは思ってなかったぜ、ハオよ」
平原に立っていたのは青い中華服の男、ダンだった。
「兄貴…何で家族を殺したりしたんだ!何の恨みがあって…!!」
「恨み?そんなもんねぇよ。ただ退屈だっただけだ、サイの国での生活が」
「退屈…?それだけの理由で…?」
「人を殺すことに理由がいるのか?」
そう言うと、ダンはニヤリと邪悪な笑みを浮かべる。
「…クズが。あんたと血が繋がってると思うだけで反吐が出る」
「へ、そうかよ。…俺を殺しに来たんだろ?とっとと始めようぜ?殺し合い」
「…あぁ、今までの苦しみ…あんたに全てぶつけてやる」
「来いよ…お前と戦うの楽しみにしてたんだからよ」
二人は睨み合う。
そして、同時に動き出した。ダンとハオの拳がぶつかり合う。
その瞬間、辺りにに激しい衝撃が走った。
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「ここがジャカの村だ。おーい、お前ら!ここで馬止めるぞ!!」
ジャカの村の入り口近くで馬を降り、ジェリド達は集まる。
「どうだ?お前の住んでた頃と比べて」
「村が襲われてからとそんなに変わってはいなそうだけど…」
「そうか…ん?」
ジェリド達が話していると、誰かが村の中から歩いてくるのが見えた。
「あいつは…」
歩いて来たのは、美しい銀髪に上は白、下は黒の袴を見に纏った赤い蛇目の男だった。
「何だあの格好…」
ベルは不思議そうに男を見つめる。
男はある程度まで近づいてくると、立ち止まりジェリド達を睨みつけた。
「あなた達だね…?ダンの言ってた赤龍団って言うのは…僕はクジャナ。よろしくね」
男はそう言うと、両手を横に伸ばす。
すると、両手の先がどんどんと形を変え白く赤い目の蛇に変化し始めた。
「手が蛇に…!?」
「あれはまさか…蛇人族か…!?」
ジェリドは少し驚いた表情を浮かべる。
「蛇人族って…?」
「昔…人間に紋章の力を与えた女神に仕えていた言われてる民族だ。赤い蛇目が特徴で、その名の通り蛇と人間の中間の様な民族…。すでに滅んだと言われていたがまだ生き残りがいたとは…」
ロックスはごくりと唾を飲み男を見る。
「僕たちのこと知ってるんだね…。もう知ってる人なんていないと思ってたよ」
銀髪の男クジャナはニヤリと笑みを浮かべる。
「…ジェリド、お前ら、先に行け。ここは俺が引き受ける」
「…分かった、頼むぜ」
ジェリドはその言葉を聞くと、あっさりとクジャナの横を走り抜けていく。
「お前たちも早く行け。仲間を助けたいんだろ」
「あ、ありがとう!気をつけて!」
そう促され、リサ達も横を走り抜けた。
ジェリド達がいなくなり、周囲には静寂が訪れる。
「僕さ、人間を恨んでるんだよね」
突然の言葉に、ロックスは耳を傾ける。
「ほぅ?」
「僕たち蛇人族はさ、女神様に仕えていた民族だ。だけど、女神様が眠りについてからはただの蛇人間に成り下がった。それを良いことに人間たちは蛇人族を虐殺したんだよ。女神様から授かった紋章の力を使って…。分かるかな?この辛さ…この苛立ち…この恨み…」
増していく言葉の凄みに、ロックスは少し冷や汗をかく。
「そんな恨みを持っていた時、声をかけてくれたのがカルムさんだったんだ…彼は僕に居場所をくれた。人間に復讐するための場所をね…。だから僕はこの青龍団を守る…そして人間に復讐する…。苦しみの中で死んでいった仲間達のために…!!」
クジャナは両手を前に出す。
ロックスは先頭の体制を取り、クジャナの方を見た。
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「ふーやっと着いたなぁ…」
勇者団三番隊、ガルドアを乗せた船はブラウンハーバーへと到着していた。
「ったく、表向きは華やかな街に見せかけて奴隷なんか扱ってるとはなぁ…。よし、とりあえず第四支部の支部長のところに行くぜ!」
ガルドアは三番隊の兵達を引き連れ、第四支部へと向かっていった。
続く。
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