第40話 赤龍団現る
「リサ!!」
村の出口で呆然と立つリサの元に、ベル、エルザ、レオナの四人が駆け寄ってくる。
「アランは?カルムの奴に担がれてたみたいだけど…」
「連れ去られちゃったわ…。私が無力なばっかりに…!」
リサは剣を戻しぎゅっと拳を握る。
「リサのせいじゃない!第一俺たちなんて動くこともできなかったし…」
「そうだよ!悲観的にならないで、まずアランがどこに行ったのか探さないと!」
「そうです!みんなで力を合わせれば見つけられます!」
「みんな…そうね、くよくよしてても始まらないわよね。…でも、青龍団の奴らは一体どこに行ったのかしら。それが分からないことには…」
四人が頭を悩ませていると、村長の家から飛び出したカナが駆け寄って来た。
「みんな!!」
「カナさん!」
「みんな大丈夫?アラン君が戦ってたみたいだけど…」
「それが…アランが連れ去られちゃったんです」
「えっ!?アラン君が!?一体どうして…?」
「理由は分からないんですけど…どこに連れ去られたのかも分からなくてどうしようかと…」
皆で頭を悩ませている時だった。
村の外から、馬の足音が近づいてくる。
「馬の足音…?」
五人が村の外に出た時だった。
そこには、三頭の馬がおりそれぞれ人が乗っているようだった。
「さっきの村の人の情報だと…おそらくこの村だな」
「どうやらここはまだ氷漬けにはされてないみたいだね…」
「人もいるようだしな。少し話を聞こう」
そう言うと、三人は馬を降りリサ達の方へ歩いてくる。
「うっす、少し話いいですか?」
軽い挨拶で話しかけて来たのはベージュ色の長袖と腰部に赤い布を巻いた黒いズボンを身につけた、赤いボサボサとした髪型の男だった。
「え、えぇ…あなた方は?」
「あぁ、こりゃ失敬。俺たち、"赤龍団"って名乗ってる者で…」
「赤龍団…!?」
「青龍団じゃなくて…?」
「ん?あんたら青龍団のこと知ってんのか?」
「え、えぇ。さっきこの村に来て、仲間がカルムって男と戦って…」
「ほー、カルムと戦ったのか…なかなか威勢のある奴がいたもんだ。それで?」
「負けちゃったんだけど、そのあと青龍団に連れ去られちゃったんだ!」
「青龍団に連れ去られただと…?なんでだ?」
「それが…理由は分からないんです」
「そうか…どう思う?ハオ」
赤い髪の男に問いかけられたのは、黒く長い髪をポニーテールの様に纏め、黒いカンフー服に身を包んだどこか中性的な男だった。
「うーん…何でその人が連れ去られちゃったのかは分かんないけど…連れ去ったなら一旦奴らの拠点に戻ったんじゃないかな?」
「お前はどう思う?ロックス」
次に問いかけられたのは、ボサボサとした長めの茶髪で、濃い緑色のノースリーブのロングベストに迷彩柄のズボン、そして黒いブーツを身につけたガタイのいい男だった。
「おれもハオの意見に同意だな。目的は何であれ連れ去ったってんなら、一旦拠点には戻ってるだろうよ。ま、判断はジェリドに任せるぜ」
「そうか…確か奴らの拠点は…"ジャカの村"にあったよな?」
「えっ!?」
その言葉を聞き、リサ達は大きな声を上げる。
「ん?」
「今…今、ジャカの村って言った!?」
「あ、あぁ…言ったが?」
エルザに詰め寄られ、ジェリドは少し驚いた表情を浮かべる。
「青龍団…私の村を拠点にしてるなんて…!」
エルザは怒りの表情を浮かべぎゅっと拳を握る。
「なんだ?お前ジャカの村の出身か?」
「そうだけど…」
「そうか…確かダンテの野郎が襲ったって聞いたが…」
「えっ!?ダンテのこと知ってるの!?」
「あぁ、奴ら…暗黒騎士団の連中はここら一体でも悪さし放題だからな…。それに、これはまだ事実かは分からねぇんだが青龍団と裏で繋がってるって噂もある」
「暗黒騎士団と青龍団が繋がってる!?」
「あぁ、青龍団が拠点にしてるジャカの村に暗黒騎士団達が入っていくのを見たって情報があってな。まだ不確かだが、可能性は高い」
「ジャカの村に暗黒騎士団…」
唇を噛み締めるエルザの顔を見て、リサはどこかやるせない気持ちに襲われる。話を変えようと、リサはジェリドに質問することにした。
「…それで、あなた達は一体どういう組織なんですか?」
「えっと…組織っつうか俺たち3人しかいないんだが…最近ここら辺で悪さばかりしてる青龍団を壊滅させてやろうって事で作ったのが赤龍団だ。青龍団に対抗してな」
「なるほど…それじゃああなた達も青龍団を追ってるんですね?」
「そう言うことになるな。…っと、とりあえず有益な情報は得たしジャカの村に行ってみるか。暗黒騎士団がいるとなると厄介だが…」
「だね…激しい戦闘は避けられなさそうだよ」
「ま、いいんじゃねぇか?最近パッとする戦いは無かったしよ」
「ま、そうだな…。で、どうする?あんたらも行くか?」
「え?」
突然の誘いに、四人は驚いた表情を浮かべる。
「仲間が連れ去られたんだろ?助けに行かねぇのか?」
「ちょっとジェリド…無理に誘うのは良くないよ。なんなら、僕たちがジャカに行ってその人を見つけたら連れ帰ってくるよ?」
「………」
ジェリド達の問いかけに、四人は見つめ合う。
「もちろん行くわよね?」
「うん、アランもそうだし、ジャカの村の様子も気になるし…」
「俺も行くよ。…レオナ、お前はここで留守番頼めるか?」
ベルはレオナの頭に手を置き優しく問いかける。
「で、でも私も…!」
そこまで言いかけた所で、レオナは俯き黙り込んだ。
(でも…なんの能力も取り柄もない私が着いて行っても邪魔になっちゃうだけだよね…)
レオナは悔しさにぎゅっと手を握りる。
そんな時、ベルが口を開いた。
「いいかい?レオナ。俺たちが留守にする間、カナさんと一緒にこの村を守ってくれ。これは、お前にしか出来ない仕事だ。そしてとっても大事な仕事だ。…分かるよね?」
その言葉を聞き、レオナはコクリと頷く。
「よし、いい子だ。俺たちが必ずアランを助けてくるから、その間、この村は頼んだぞ!…カナさん、申し訳ないですがお願い出来ますか?」
「えぇ、もちろんよ!レオナちゃん、私と一緒にこの村を守りましょうね」
優しい笑顔を浮かべるカナを見て、レオナは嬉しそうにニコッと笑顔を返した。
「…よし、ジェリドって言ったよね。行こう!ジャカの村に!」
「オーケー、連れて行ってやろう。だが…おそらく戦闘は避けられない。覚悟はいいか?」
「もちろん!」
「出来てるわよ!」
「出来てるぜ!」
「よし、それじゃあそれぞれ馬の後ろに乗ってくれ」
ジェリド達に促され、リサはジェリドの後ろ、エルザはハオの後ろ、そしてベルはロックスの後ろにそれぞれまたがる。
「よし、ジャカの村に向けて全速前進だぜ!!」
こうして、赤龍団と共にリサ達はジャカの村へと向かうのだった。
続く
投稿は不定期で行います。
※特に物語には関係ありませんが、ジェリドの服装説明を少し変更しました。




