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ドリームワールド ー夢の世界の勇者達ー  作者: はるく
青龍団と赤龍団編
38/89

第38話 氷の男、カルム

「みんな、下がっててくれ。こいつとは一体一でやる」


「へ、平気なの?」


「…正直わからない。けど、もしもの時は頼むぜ」


「…わかったわ。でも気をつけてね」


「あぁ」


アランにそう言われ、リサ達は後ろへと下がる。


「ほう…一体一でやるのか?全員で一斉に来てもいいんだぜ」


「いや…俺一人で戦わせてもらう。行くぜ!」


先に走り出したのはアランだった。

アランは剣を抜き、素早い動きでカルムに近づいて行く。


「くらえ!」


アランの振った剣がカルムに向かって行く。

それをカルムはひらりと軽々避けた。


「ちっ…!」


アランはそのまま何度も剣を振る。

しかし、カルムは意図も容易く剣を避けていった。


「どうした?そんなものか?」


「くそっ…全然あたらねぇ…!」


「次はこっちから行くぞ」


そう言うと、カルムは後ろに飛び下がり地面に手を当てる。


氷柱(ひょうちゅう)!!」


カルムの声と同時に、カルムの足元に青い紋章が現れる。

次の瞬間、その紋章から二本の氷の柱が勢いよく伸び始めた。

氷の柱はアランめがけてどんどんと伸びてゆく。


「くっ…!」


アランはギリギリのところで二本の氷の柱をよけ切り、後ろに下がった。


「ほう…なかなか動けるみたいだ…。だがこれならどうかな…!氷針(ひょうしん)!」


カルムが右手を横に薙ぎ払うと、そこから鋭く尖ったつららが数本、アランの方へ放たれた。


「つらら!?」


アランは横に走り、飛んでくるつららを避けて行く。


カルムは何度も腕を横に振りつららをアランに放つ。

それを、何とかかわしアランはカルムの方へ走り出した。


「今度こそ当てるぜ!」


アランはさらに素早く駆け込み、カルムの懐に潜りこむ。

そして力を込め、思い切り剣を振ったその時だった。

アランの目の前に、突如氷の壁が現れ始める。


「氷の壁!?」


アランの剣は氷の壁にぶつかり、弾かれてしまった。


「うわっ!?」


弾かれた勢いでふらついたアランは咄嗟に前を見る。

すると、そこにはアランより一回りほど大きな氷の壁が悠々と聳え立っていた。


「あの一瞬のうちにこの氷の壁を作り出したのか…?」


そんなことを考えている時だった。


氷手(アイスハンド)


氷の壁の裏からとてつもない勢いで氷が近づいてくる。

氷は地面を伝い、アランの足元まですぐにたどり着いた。


「下から何が来るわよ!!」


リサの声を聞き、アランは咄嗟にジャンプする。

その時だった。

アランの足元の氷から徐々に氷が伸び始め、巨大な氷の手が作り出された。


「何だこれは…!!」


空中にいたアランは抵抗することも出来ず、大きな氷の手に捕まってしまった。


「ぐあっ!?」


氷の手はぎゅっとアランを握りしめる。

氷の冷たさが、アランの体温をどんどんと奪って行く。


「く…そ…冷てぇ…体が…!!」


「アラン!!」


朦朧とし始める意識の中で、レオンはゆっくりと目を開く。

すると、前にあった氷の壁が崩れ手を前に突き出し握っているカルムの姿があった。


「凍てつく氷は体温を奪う。このまま力を込めればお前を握り潰せるし力を込めなくても体温を奪われ時期事切れるだろう。さぁ、今からこの村を出て行き二度とナワバリに入らないと誓えば手を離してやる。どうする?」


そう問いかけるカルムは鋭い眼差しでアランを見つめている。


「アランが…!」


「くそ、なんて強さなんだ…。能力も強いけど何より使いこなすのが上手い…!」


「今まで戦ってきた相手よりも一枚も二枚も上手な感じがするよ…!」


「アランさん…!」


レオナは両手を握りただ呆然とアランの方を見る。


(こんな時、私に力があったら…すぐにアランさんを助けに行けるのに…!)


レオナは無力な自分に嫌気が差していた。

すぐにでもアランを助けに行きたいと思った。

しかしレオナは動けなかった。


「…出て行くもんか…!」


「ほう?」


「絶対に出て行くもんか…!!」


意識朦朧としているアランは力を振り絞り声を出す。


「俺たちは約束したんだ…カナさんや村長さんと…!この村を…守るって…!!」


「…っ!!」


村長の家の窓から様子を見ていたカナは思わず窓から顔を出す。


「俺は…困ってる人を…見捨てるなんて出来ない…!たとえこの命が…無くなるとしても…!!」


アランがそう声を上げた瞬間、アランの紋章と体が輝き始める。


「…!」


それを見たカルムは少し驚いた顔を浮かべニヤリと笑みを浮かべる。


「うおぉぉぉぉお!!!」


アランは体全体に力を入れる。

すると、氷の手に徐々にヒビが入りはじめた。


「見て!氷の手にヒビが…!!」


「すごいぞアラン!行け!!」


「おらぁぁぁあ!!!!」


さらに力を込めた瞬間、アランを握りしめていた氷の手はバリーン!!と大きな音を立てその場にボロボロと崩れ落ちた。そして、アランもその場にばたりと倒れ込んだ。


「やったぁ!氷の手を壊したよ!!」


「アラン…!」


「はぁはぁ…」


何とか氷の手から逃れたが、アランは既にかなり体温を奪われており体を動かすことが出来なかった。


「アラン、動かないのかな…」


「体温を奪われたのね…!抜け出せたのはいいけど、このままじゃどちらにせよやられちゃう…!」


リサはごくりと息を飲み、腰の剣に手をかける。


(いつもアランには守ってもらってばっかり…だからアランが危ない時は私が…!)


リサはいつでも動ける体勢をとり、様子を伺っていた。


「まさかお前がその能力を持っていたとは…驚いた」


カルムは倒れ込むアランに近づきそう呟く。


「の、能力…?」


「この村には何の価値もないと思っていたが…まさかこんなに素晴らしい"宝"が眠っているとはな」


「何…言ってんだ…!」


「お前に用はなかったが今できた。お前にはまだやってもらう事がある。俺たち青龍団のアジトに来てもらおう」


そう言うと、カルムはアランを肩に担ぎ始める。


「ちょ…おい…!」


「あいつ、アランを連れ去るつもり!?」


「どうなってんだ!?」


突然の事に、エルザとベル、レオナは動揺し始める。

そんな中、リサは一人素早くカルムの元へ駆け寄っていた。


「アランを…離しなさい!!」


リサは燃えたぎる剣を抜きカルムを斬りつけようとする。

しかし、カルムはそれをひらりと避け口を開く。


「アジトに戻る」


カルムがそう言った瞬間、カルムの向こう側から糸目の青いカンフー服を身につけた男が飛び出して来た。


「そう言う事で!」


その男はニコリと笑うと、懐から取り出した玉を思い切り地面に叩きつける。

その瞬間、玉から白い煙が噴き出しあたりは一瞬で煙に包まれてしまった。


「きゃっ!?」


突然の事にリサは目を背ける。

そしてすぐに前を向いたが、近くにカルムの姿はない。


「アラン!返事して!!アラン!!」


リサはひたすら前に走り煙から抜け出す。

そして前を見た時、そこには既に青龍団とアランの姿は無くなっていた。


続く。





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