第37話 青龍団現る
アラン達がガベラ村に来てから何事もなく時間は過ぎ、あれから三日ほど経っていた。その間、アラン達は村人の手伝いをしながら青龍団がくるのを待ち続けていた。
「今日も来なかったな…」
「そうね…ま、このまま来ないのが一番いいんだけどね…」
「そうだね…まぁ今日も手伝いで疲れたしもう寝よーよ!」
「そうしようよ、俺眠くなっちゃってさ…」
「もう、お兄ちゃんはすぐ眠くなるんだから…」
「あはは!レオナちゃんはしっかりしてるな。いい妹さんじゃん!」
「えー?そう?結構口うるさいぞ?」
「誰が口うるさいよ!!」
そんなたわいもない会話をしながら、アラン達は眠りについた。
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翌朝。
「…だ!…ぞ!!」
家の外から何か声が聞こえてくる。
その声でアランは目を覚ました。
「なんだぁ…?なんの騒ぎだ…?」
アランは大きく伸びをするとベッドから降りる。
そんな時、部屋の扉がバン!と勢いよく開いた。
「アラン!ベル!ついに来たわ、青龍団よ!!」
慌てた表情で入ってきたのはリサだった。
「何!?やっと来たのか!!おい、ベル、青龍団だ!!行くぞ!!」
「へぇ…?青龍団…?あ、ちょっと…!」
アランは自分の剣を背中にかけ、手にベルとベルの剣を握り駆け足で部屋を出た。
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「あれは…!」
家の外に出ると、村の広場に何人かの人影が見えた。
よく見ると、そこにはカナと村長、そして青いバンダナに青いタンクトップ、そしてダボっとした黒いズボンを身につけた柄の悪そうな男たちが二人立っていた。
「ほらほら、来てやったぞ!早く金目の物だしな!!」
青いバンダナの男は大きな声をあげる。
「もう許してください…!この村にはもうお金になる様なものなんて無いんです!どうか…どうか!」
カナは頭を下げてバンダナの男達に謝罪する。
すると、青いバンダナの男達は顔を合わせニヤッと不敵な笑みを浮かべる。
「そうかそうか…それじゃあ仕方ねぇな…。この村ももう用済みだ。カルムさんに氷漬けにしてもらおう」
「っ!?」
「氷漬け…!?」
「あぁそうさ。俺たち青龍団のルールでな、用が無くなったいらねぇ村は氷漬けにしちまうって決まってんだ。だから金目の物が出せねぇならここも氷漬けさ」
「そ、それだけは…それだけはお許しを…!」
村長はバンダナの男に頭を下げる。
「だったら金目の物持って来いって言ってんだ!!」
そう声を上げた瞬間、バンダナの男は勢いよく村長に向けて蹴りを放つ。
「うぅ…」
蹴られた村長は後ろに倒れ込み、腰に手を当てる
「お父さん!」
カナは村長に駆け寄り、青いバンダナの男達を睨みつける。
「あぁ?なんだその目は。文句あるなら戦ってみろよ。ま、お前らみたいなゴミどもじゃあ俺たちには勝てないだろうがな。あはは!!」
「くっ…」
青いバンダナの男達の罵倒を受け、カナは涙を流す。
(うぅ…悔しいのに何もできない…言い返せない…!私たちは弱いままなの…?このまま氷漬けにされちゃうの…!?)
カナは涙を拭き顔をあげる。
その瞬間だった。
「お前ら…許さねぇ!!」
突然アランが勢いよく駆け込んできたのだった。
「あ、アラン君…!?」
「な、なんだお前は…!」
アランは勢いに任せ青いバンダナの男に拳を放つ。
「ぐはぁ!?」
突然の事に何も抵抗出来ず、青いバンダナの男の一人は顔に拳を受けその場に倒れ込んだ。
「な、なんだテメェは!?」
もう一人の青いバンダナの男は慌てて腰につけた剣を抜きアランの方を見る。
「俺は許せない…お前たちみたいに弱い人間を力で捩じ伏せる様な下衆野郎がな!!」
「おい、やめっ…!」
アランは同じく勢いよく拳を振るい、もう一人の青いバンダナの男も殴りつけた。
「ぐあっ…!」
青いバンダナの男は少し吹っ飛びうつ伏せに倒れた。
「く…くそ…調子に乗りやがって…!!だがどちらにせよ…この村は終わりさ…!もうすぐここに…カルムさんが来るからなぁ…!!」
そう声を絞り出し、青いバンダナの男は気絶した。
「カルム…そいつが氷の能力者だったな…」
「アラーン!」
呼ばれた方を見ると、リサ達がアランの方へと駆け寄って来ていた。
「もう、いきなり走り出したと思えば…!」
「いきなりあいつら殴るんだもん、びっくりしたよ…」
「最高に気持ちよかったぞ、よくやったアラン!」
「か、かっこよかったです…」
「ご、ごめんごめん…あいつらが許せなくて考えなしに走ってっちゃった…」
「アラン、今は良かったけどその癖直した方がいいわよ。考えなしにつっこんでっちゃ危ないから」
「わ、悪い…」
アランは少し下を向き頭をさすった。
「アラン君…ありがとう!」
立ち上がったカナはアランに向かい頭を下げる。
「い、いや、いいんです!俺たちが引き受けた事だし、それにこんな状況でただ見てるなんて出来ませんから」
「…君、本当に優しくてまっすぐなんだね。かっこいいわよ!」
「え、えへへ…そうですかね?」
「何照れてんのよ…」
「うふふ…そうだ、私村長を家に連れて行くわ…。確かこいつらカルムが来る…とか言ってたわよね…とりあえずみんなも気をつけて」
「はい、村長をお願いします」
「えぇ!」
そう言うと、カナは村長に手を貸し家へと戻っていった。
「カルムか…そいつが村を凍らせてる元凶なんだろ?…俺たちで勝てるのか?」
ベルは少し不安そうにアランに聞く。
「大丈夫さ、俺たちが力を合わせれば勝てるって。勝ってこの村に平和を取り戻すんだ!」
「…ま、やってみなくちゃわからないしね」
「そうそう。そんな不安がってても何も始まらないよ」
「…それもそうだな、それじゃあ…って、みんな、あれ!」
ベルは慌てた顔で村の入り口を指さす。
「なんだあいつは…?」
村の入り口からこちらへとゆっくり歩いてくる男。
その男は青いローブを身につけた白髪の青年だった。
鋭い目つきはまるで獲物を狩る時の獣の様に鋭くアラン達を睨みつけている。
「あれがカルム…なのか?」
「なんか…怖そうね…」
「ありゃ只者じゃないな…かなりの強敵だぞ…」
青いローブの男はアラン達の前に止まると、アランの顔をじっと睨みつける。
「………」
少し睨み合った後、カルムはゆっくりと口を開いた。
「そいつらを運んで治療してやれ」
「はい」
カルムの声を聞き、後ろにいた青いバンダナの男達は倒れていた男達を連れて村を出て行った。
「お前たちに恨みはないが…ここは俺たち青龍団の縄張りだ。今すぐ出て行ってもらえるか?」
その声を聞き、アラン達はごくりと息を呑む。
「嫌だって言ったら…?」
「その時は…」
カルムの体から白い冷気が漂い始める。
すると、カルムの右手は徐々に氷に包まれ始めた。
「この村ごと氷漬けになってもらう」
「…そんなの嫌だね、氷漬けになるのも、この村を見捨てて出て行くのも!」
「そうか…なら俺を倒すといい。俺を倒せれば、この村は青龍団のナワバリでは無くなる」
「…やってやるぜ」
「いいだろう…かかって来い」
アランとカルムは見つめ合った。
続く。
投稿は不定期で行います。




