第35話 ガベラ村へ
「うーん…」
アランは大きく伸びをしてゆっくりと体を起こす。
あくびをしながら隣のベッドを見ると、ベルは涎を垂らしながら大きないびきをかいていた。
「はぁーふ…まだ朝の6時か…」
アランはベッドから降りると、カーテンを勢いよく開ける。
すると、窓から眩しい光が差し込んできた。
眩しい光で霞む目を擦りながらアランはベランダに続く扉を開け外へ出た。
「ふぅ…この先に、勇者団の本拠地があるのか…。ずっと憧れてた場所が…なんだかワクワクするなぁ…」
目の前に広がる新たな景色を眺めながら、アランは拳をぎゅっと力強く握る。
「そうね、私もなんだかワクワクするわ」
「え?」
突然聞こえた声に、アランは驚きながらも柵から身を乗り出し横を見る。
すると、隣の部屋のベランダにはリサの姿があった。
「リサ…起きてたのか」
「えぇ、私はあなたと違っていつも早起きだからね」
「は、はは…そうだったな…」
「ええそうよ。…もうすぐね、あなたの憧れてた勇者団のいるところまで」
「そうだな…なんだか実感湧かないよ」
「そうね…。アラン、私ね、この旅に着いてきて良かったって思ってる」
「え?」
「最初アランから誘われた時は断ろうかなって思ってたの。私勇者団なんて興味無かったし、村のみんなと離れるのも嫌だったから。でも、何か刺激が欲しいなーって思って着いてきたんだけど、着いてきて正解だったわ!色んな人とも出会えて、色んな戦いをして、色んな仲間も増えて…。私、今すっごく楽しい!」
そう話すリサの顔は、今まで見た事無いほど輝いた笑顔で溢れていた。それを見て、アランも自然と笑顔を浮かべる。
「そうか、それなら良かったよ。俺、リサに無理させてるんじゃ無いかって思ってたからさ。リサはいつも俺に合わせてくれてたから、今回も無理して俺に合わせてついてきてくれたんじゃないかって。…でも、リサが楽しいって思ってくれてるなら安心だ!」
「あら、私の事考えてくれてたのね。意外だわー」
「そりゃあ、まぁ、多少はな…」
「へー、てっきり自分のことしか考えてないのかと思ってたわ」
「酷いな…俺はそこまで自己中じゃないぞ!」
「みたいね、ふふ」
「ったく…」
そんな会話をしていると、アランの後ろから大きな声が聞こえてきた。
「うーーーん…」
後ろを見ると、ベルは体を起こし大きな伸びをしていた。
「ベルが起きたみたいだ。今6時だろ?…朝の7時になったら下に集合しよう」
「おっけー、私はユリーナから貰った地図で次の目的地を決めておくわ」
「よろしく、それじゃ」
二人はそれぞれの部屋へ戻った。
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「ベル、行くぞー」
「あ、ちょっと待ってくれ…」
アランとベルはせかせかと部屋を出て宿の一階へと降りた。
「あ、先に来てたのか…」
「先に来てたのか、じゃ無いわよ!もう7時10分よ!?遅刻よ遅刻!!」
「ご、ごめんって…ベルの寝癖が全然治らなくてさ…」
「寝癖!?そんなものどうでもいいでしょうが!!」
「ど、どうでもは良くないだろ!俺だって見た目は気にするぞ!」
「誰も見ちゃいないわよ!」
「あー!ひでぇ!!」
そんな言い合いをする3人を見て、レオナはにっこりと笑顔を浮かべる。
「本当に面白いですね…皆さん」
「そーだねぇ…朝からあんなに元気で羨ましいよ…」
レオナの横に立つエルザは大きなあくびをしながら目を擦った。
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「それで、次はどこに行くんだ?」
「これを見て」
そう言うと、リサはテーブルに地図を広げた。
「今私たちがいるのはここ、リバーサイドシティ。で、目的地のアルカディアがあるのはこのずっと北。だから、とりあえず北にまっすぐ進みたいんだけど…一番近い村はここね」
リサが指差した場所には、"ガベラ村"と書かれた小さな村が描かれていた。
「ガベラ…村?」
「えぇ、小さな村なんだけど…この辺りは森に囲まれてて他に村が無いのよ。とりあえずここに泊まらせてもらうしか無いわね」
「そっか…それならとりあえずこのガベラ村を目指そう」
「えぇ、そうしましょう。それと…エルザの故郷のジャカはこの森の先にあるのよね?」
「うん、そうだね…」
「なら、とりあえずガベラ村に泊めさせてもらって…その後ジャカに行くって感じだな!」
「ごめんね、私のわがままに付き合わせちゃって…」
「いいんだよ、俺もどんな所だったのか気になるし…。さ、そろそろ行くか!」
「あぁ、行こうぜ!アラン!」
「よーし、ガベラ村に向けて出発だ!!」
こうして、アラン達の新たな旅が始まるのだった…。
続く。
投稿は不定期で行います。




