第33話 新たなる地へ
「うーん…」
アランは大きく伸びをし、目を開く。
気がつくと、外は紅く夕日に染まり始めていた。
「ベル達と話してて…そのあとすぐ寝ちゃったのか…」
アランはベッドを降り壁にかけてあった時計を見る。
すると、時計の針は6時手前を指していた。
「やべっ!もう6時だ!」
アランはそう言うと、ベッドの横に立てかけてあった剣を背中にかけ、駆け足で病室を後にした。
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「あの…治療費は?」
アランは受付の女性に声をかける。
「えーっと…あなたは確かアランさんですね。アランさんとそのお仲間さん達の分は勇者団のイリヤさんが全て払って行って下さいましたよ!」
「え?イリヤさんが?」
「えぇ、それと"勇者団本拠地で待ってる"と伝えろとも言われています」
「そーですか…ありがとうございます!それじゃあ!」
「お大事に!」
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病院を飛び出すと、そこには全員の姿があった。
「もー!アラン!遅いわよ!!」
「ご、ごめんごめん…寝坊しちゃって…」
「まぁまぁ、まだ時間も間に合うし早速港へ行こうよ」
「そーだな!よし、港へ出発だ!」
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5人はゆっくりと町を歩き、港へやってきた。
すると、港には巨大な帆船が停泊していた。
「はー、これがブラウンリバーを渡る船なんだ…なかなかでかいな…!」
「大きいね、お兄ちゃん…」
ベルとレオナはあまりの船の大きさにポカンと口を開けたまま上を見続けている。
「えーっと…受付はあそこだな。いくぞ!二人とも!」
「あ、あぁ!行くぞ、レオナ!」
「う、うん!」
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「えーっと…5人分乗船券を下さい」
「はいはい…ん?君、その手の紋章…」
「え?これがどうか…」
「君がイリヤさんの言ってた少年か!いやー、イリヤさんから光の紋章を持った少年達が来たら無料でチケットを渡してくれって言われたのさ。光の紋章持ちはなかなか見れるもんじゃないからな、君で間違いない!さ、人数分のチケットだ。もう船には乗れるから行っていいぞ!」
「い、いいんですか!?」
「あぁ、あげないと後で口うるさく怒られるからね…さ、行きな行きな!」
「ありがとうございます!」
アラン達は頭を下げると、船の乗務員にチケットを渡し船に乗り込んだ。
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「結構デカい船だな…」
アラン達は船の甲板から改めて船体を見渡した。
「あぁ、そうだな…俺、船なんて乗るの初めてだからワクワクするぜ!」
そう言うと、アランは嬉しそうににっこりと笑みを浮かべる。
「私も初めてだわ。エルザは?」
「私の故郷は湖の近くにあったから小さい船ならよく乗ってたよ…そうだ!あのさ…私の故郷…ジャカの村はブラウンリバーを渡った先にあるんだ。だから…久しぶりにジャカのあった場所に戻ってみても良いかな?」
「そうなのか。あぁ、旅のついでだ!見に行こう!」
「そうね、どうせ急いでる旅ってわけじゃないし」
「いいね、賛成!」
「私も賛成です!」
「みんな…ありがとう!アルカディアに行くまでの道にあるから、そんなに時間は取らないと思うよ」
「そうか、分かった!」
そんな会話をしている時だった。
「ブォォォォオ!!!」
大きく野太い笛の音があたりに響き渡る。
「出港しまーす!!船から落下しないようご注意くださーい!!!」
乗務員の声と同時に、船は帆を貼りゆっくりと動き出す。
「ブラウンハーバーともお別れか…さぁ、新しい冒険の始まりだ!!」
アランはそう声をあげると、一面広がるブラウンリバーを見ながら大きく伸びをした。
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「はぁーふ…今船が出てからどれくらい経った…?」
アラン達は船の中の小さな個室でゴロゴロと寝転がっていた。
「えーっと…大体5時間くらいかしら…」
「ってことは…夜中の12時くらいってことか」
「そうね…」
「この船はどれくらいで着くんだ?」
「確か半日くらいかかるって話だったから…早くても明日の午前中くらいかしら」
「ひぇー…そんなかかるんだな…」
「私、なんだか気持ち悪くなってきたよ‥」
エルザは青ざめた顔をしながら横たわっている。
「…完全に船酔いしてるな」
「みたいね…レオナちゃんは平気?」
「はい!私は平気です!」
「そう、それなら良かったわ!まぁまだまだ時間もあるししっかり体を休めましょう!…エルザは早く寝なさい」
「はぁ〜い…」
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「…ラン!アラン!」
どこからか声が聞こえてくる。
どうやら、リサの声らしい。
「アラン!起きなさい!向こう側が見えてきたわよ!」
「向こう側…?」
アランは大きな欠伸をしながら体を起こす。
「みんなは…?」
「みんなは甲板にいるわ。さ、私たちも行きましょう」
「あぁ…」
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「見て、アラン!」
アランは目を擦り、甲板に出る。
すると、目の前にはブラウンハーバーと似たような景色の港町が川沿いに広がっていた。
「おぉ…!あれが新しい街か!!」
「みたいね!この先に私たちの目標の勇者団本拠地があるのよ!!」
「うはー!!なんだかめちゃくちゃワクワクしてきたぜ!!」
そう言うと、アランは甲板の先端に走っていく。
そして、大きく声を上げた。
「待ってろよ!!必ず勇者になってやるからなぁー!!!」
そう言ったアランの顔は、キラキラとした希望に満ち溢れていた。
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「ブォォォォオ!!!」
船員が着港の合図の笛を吹き鳴らす。
「まもなく着港しまーす!!落下しないよう注意して下さーい!!!」
船はゆっくりと方向転換し、港へ着港した。
「お待たせしましたー!!目的地のリバーサイドタウンに到着しましたー!!乗務員の指示に従ってゆっくりと下船下さーい!!」
「ついに来たんだな…大陸の北側に!!」
「まさかこんな所に来れるなんて思っても見なかったな…ほんと、アラン達には感謝しかないよ!」
「いいってことよ!さぁ、行こうぜ!新しい町へ!!」
こうして、アラン達は新たな町リバーサイドタウンに辿り着いたのだった。
続く。
投稿は不定期で行います。




