第27話 奴隷からの解放
「はー、なんかいい店ないかな…」
アラン、リサ、エルザの三人は食事処を探しブラウンハーバーを歩いていた。
「本当この町はバーが多いわね」
「うんうん、ほとんどがバーか宿屋だもんね」
そんな事を話しながら歩いている時、道の先に人だかりが出来ているのが見えた。
「なんだ?あの人だかり…」
「ちょっと行ってみましょうか」
三人は人だかりの方へ歩いて行く。
「やめて!!」
人だかりの中から女の子の声が聞こえる。
「はっ、奴隷の分際で生意気なんだよ!!」
「そんな汚ねぇ服で町中歩くな!目に毒だ!!」
「勇者団に連絡したほうがいいんじゃねぇか?そしたら金になるぜ!」
三人は罵声を発する人達を掻き分け中に入る。
すると、そこにはボロボロの服を着た黒髪の少女と怪我を負い少女の後ろに座り込む緑髪の少年の姿があった。
「あれって…!」
「多分、さっき言ってた逃げ出した奴隷の子達ね…それにしても酷い怪我…!治療してあげないと!」
リサは少年の近くへ行くと少年に手をかざす。
「あ…あの…君たち…は?」
少年は傷口を押さえながらそうリサに問いかける。
「通りすがりの旅人ってところよ。…あなた達、逃げ出した奴隷の子達よね?こんな所にいて大丈夫なの?」
「あ、あぁ…。さっき、勇者団の…本拠地から来たって人達に…助けてもらって…」
「勇者団の?」
「あぁ…イテテ…」
「無理しなくていいわ。少し時間がかかるけど、動かないでね」
「あ、ありがとう…」
「おいおい、お前ら奴隷の治療なんかしてどうなるんだ!?」
「ははは!どうせまた主人のとこで拷問漬けの毎日になるだけなのによ!!」
その言葉を聞き、アランは人だかりの前に立つ。
「うるさい!俺たちがどうしようと勝手だろ!!」
突然大声を上げたアランに驚き、人々はポカンとした表情を浮かべる。
「なっはっは!まぁそりゃそうだな!」
「まぁどうでもいいが、治したら道からどかしておけよ、邪魔だからな!ははは!」
そう言い、集まっていた人達はその場を離れて行った。
「くそっ、胸糞悪いな…」
そんな時、黒髪の少女がアランの前に立ち頭を下げた。
「ありがとうございます!」
アランは少し照れながらも、笑顔を浮かべる。
「いいんだよ、困ってる人を見たら助けたくなる性格なんだ」
その時、少女の頬が赤くなる。
(…カッコいい)
少女はアランを見て心の中でそう思っていた。
「さ、これで大丈夫!」
リサは少年にかざしていた手をどかす。
「…すごい、怪我が治ってる!一体何したんだ!?」
「これは印術って言うの。私も覚えたばかりなんだけど…」
「印術か…この紋章とは違うの?」
そう言って少年がリサに見せたのは、緑色の紋章だった。
「緑色の紋章…ってことはあなたも能力者なの?」
「うん…でも、武器を持ってないと発動できないみたいなんだけどさ。ちなみに、"武器を植物に変えられる"って能力だよ」
「武器を植物に…モクバの武器バージョンって所だな」
「そうね…紋章とはまた別物みたいよ。さ、とりあえずここを離れましょう。またさっきの奴らみたいなのに絡まれても面倒だし。あなた達、この後行く当てはあるの?」
リサの質問に、少年は少し考えてから答える。
「最初はとりあえずこの町から出ようって思ってたけど…当ては無いな…」
「そっか、なら俺たちとご飯食べに行かないか?」
「ご飯?」
「あぁ、俺たち今からご飯食べようって思ってたんだ」
「でも…お金とかないし…」
「いいって!そんなの!奢るよ!」
「えっ!?でも…勇者団達が…」
そんな事を話している時、町に鐘の音が響き渡る。
『勇者団より連絡する!先程の逃げ出した奴隷達の捜査は打ち切りとする!発見した場合も報告は無用。繰り返す!先程の逃げ出した奴隷達の捜査は打ち切りとする!発見した場合も報告は無用。以上!』
「どうなってんだ?さっきまでと言ってる事がまるっきり違うぞ」
「…多分、さっき来てた勇者団本拠地の人達が手を回してくれたんだと思う。なんだか勇者団同士揉めあってたみたいだったし」
「勇者団本拠地の人?」
「あぁ、"白い髪の男"と"茶色い髪の男"だったかな…」
「うーん…隊長クラスの人にはそんな人いなかったから…。調査隊とかの人なのかな…」
「詳しいんだね、勇者団に」
「まぁな、俺たち勇者団目指して旅してるんだ!そりゃあ隊長くらい把握してないと!」
「へー、勇者団を…。ここの連中はクズばっかだけど、本拠地からきた二人はカッコよかったな…」
「いいなぁ…俺も見たかったぜ…」
そんな会話をしている時、二人の間にリサが割って入った。
「さ、雑談はおしまい!二人とも、どうする?一緒にご飯食べに行く?」
そう聞かれ、ベルは少し悩んでからレオナに問いかける。
「…どうする?レオナ」
「…私、お腹すいちゃった」
レオナは少し恥ずかしそうにお腹をさすった。
「よし、決まりだな!…そうだ、自己紹介してなかったな。俺はアラン。それで、こっちの赤い髪がリサで、青い髪がエルザ!」
「俺はベル。で、こっちが義理の妹のレオナ。よろしく!」
そう言うと、ベルは手を差し出す。
アランはその手を握り、二人は笑顔で握手を交わした。
「とりあえず、二人の服を買いにいきましょうか。その格好だと変な目で見られちゃうかもしれないし…。それに、勇者団が追ってくるかもしれないしね」
「いいの?服まで…」
「いいのよ!さ、早速二人の服選びに出発よ!!」
「おー!!」
そう言うと、五人は服屋を探し歩き出した。
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「似合ってるわよ、二人とも!」
ベルとレオナは先程までのボロボロの服を脱ぎ捨て、新しい服に着替えていた。
ベルは濃い緑色の長袖に黒い長ズボン身を、そしてレオナは茶色いロングワンピースに身を包んでいた。
「うんうん、これでもう奴隷なんてもんから解放だ!」
「おしゃれだねー、二人共!」
「みんな…ありがとう、新しい服まで…」
「ありがとうございます…!」
ベルとレオナは頭を下げる。
「いいってば!さ、早くご飯を食べれるお店を探しましょ!」
「そーしよ!私もうお腹すいちゃったよ…」
「そーだな!今度こそ店を探すぞ!」
こうして、ベルとレオナを含めた五人は今度こそ食事処を探し歩き出したのだった。
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「くそっ…さっきの二人組のせいで計画が無茶苦茶だ!!」
ナックルは思い切りコンクリートの壁を殴りつける。
「これだから勇者団本拠地の連中は許せねぇ…!奴等には必ず痛い目見てもらうぜ…!!」
そう言うと、ナックルはニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
続く。
投稿は不定期で行います。




