第23話 決着と解放
「いくぞ!!」
ディオゲインは斧を思い切り地面に振り下ろす。
すると、斧からは衝撃波が放たれ勢いよくアランの方へ向かっていく。
「またそれかよ!」
アランは横に回避し、衝撃波を避けた。
「ハッハッハ!!これもくれてやるぜ!!」
そう言うと、ディオゲインはアランに向けて持っていた斧を投げ飛ばした。
「なに!?」
アランはなんとか踏ん張り、斧を避ける。
斧はアランの頬を掠め、後ろの民家に勢いよくぶつかった。
「危なかった…あんなのくらったら簡単に首が飛んじゃうわ…」
「あの巨大な斧をいとも簡単に投げ飛ばせるなんて…。恐ろしい力だ…」
リサとロマーニはハラハラとしながらアランとディオゲインの戦いをじっと見つめていた。
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「ちっ、外したか…」
ディオゲインは小さく舌打ちをする。
「今度はこっちから行くぜ!!」
そう言うと、アランは素早くディオゲインの懐に入り込む。
「くっ…!!」
「くらえ!!」
アランの拳が、ディオゲインの腹に突き刺さる。
「ぐはぁ!!」
ディオゲインは苦痛の表情を浮かべ後ずさる。
「はぁ、はぁ…まだまだ!!まだこの町の人たちの恨みは晴れてねぇぞ!!」
アランはさらにディオゲインの顔面に拳を放つ。
拳は見事にディオゲインの顔面を捉え、ディオゲインはそのまま吹き飛ばされ、後ろの木に直撃しその場に倒れた。
「はぁ、はぁ、どうだ!!」
アランは息を切らしながらディオゲインの方を見る。
倒れていたディオゲインは手を動かし、ゆっくりと立ち上がる。
「まだ立つの!?」
「なんてタフなんだ…ディオゲインも、アランくんも…」
ロマーニは固唾を飲んで2人を見つめる。
「はぁはぁ…まだまだ…そんなんじゃ俺は…倒せない…ぜ…!!」
「はぁ、はぁ…なら、まだまだ行くぞ!!」
アランは改めてディオゲインの懐に入る。
その時、動きを読まれていたのかアランの現れた場所に、ディオゲインの拳が向かってきていた。
「やば…!」
ディオゲインの拳がアランの顔面に直撃する。
アランは吹き飛ばされ、リサ達の前に倒れた。
「アラン!!」
リサはアランの方へ行こうと立ち上がる。
それをロマーニは静かに止めた。
「でも、ロマーニさん…」
「彼らは今男同士の"決闘"をしてるんだ。どっちが正義か悪かなんてどうでもいい。彼らの中には今、勝つか負けるかしか無いんだ。さっきからディオゲインも能力を使おうとはしていないだろう?」
「た、確かに…でも…!」
「リサ…!」
倒れていたアランはゆっくりと起き上がりながら口を開いた。
「アラン!」
「リサは…そこで見ててくれ…。あいつは必ず…俺が倒してくるから…」
「アラン…」
そう言うと、アランは口から流れる血を拭き取った。
「…分かったわ!でも約束!絶対負けんじゃないわよ!!」
「当たり前だ、必ずこの町を…救ってみせる!!」
アランは勢いよく走り出す。
「さぁ、アランよ!!そろそろ終わらせようぜ!!」
「あぁ、これで決着だぁ!!!」
アランとディオゲインの拳が交差する。
お互いの拳は、お互いの顔面に直撃していた。
「ぐはぁ…」
アランは着地し、しゃがみ込む。
「アラン!!」
決着がついたと思われたその時だった。
「俺の…負け…だ…」
そう言い、後ろに倒れたのはディオゲインだった。
ディオゲインはどこか満足気な表情を浮かべると、そのまま目を閉じ気絶した。
すると、ディオゲインの周りにあった生気達が一斉に散り始める。この村に散っていくものもあれば、はるか彼方の方角へと向かっていくものもあった。
「やった…やったのね!!」
リサはしゃがみ込むアランの元へ駆け寄っていく。
「は、はは…。すごい少年に出会ったもんだ…」
そう言うと、ロマーニもアランの方へ駆け出した。
「んん…」
大きな伸びをして起き上がったのはエルザだった。
「あれ?一体どうなったんだっけ?あと…私何してたんだっけ…」
エルザはボッーとする頭をさすりながら立ち上がる。
「あっ!エルザ起きたのね!」
そう言い走ってきたのはリサだった。
「リサ!…ってうわぁ!?」
リサは思い切りエルザに抱きつき、2人はそのまま倒れ込んだ。
「いてて…いきなりどうしたの、リサ…」
「つい嬉しくて…そうだ!ディオゲインはアランが倒してくれたわよ!!」
「えっ!?本当!?さすがアランだね…!!ってことは、この町の人たちも元通りに?」
「うん、多分!」
「おーい、リサちゃん、エルザちゃん!!早く来てくれ!!」
「ロマーニさん…?」
「そうだ、アランが大怪我を…早くローズさんのところへ連れて行かないと…!!」
「アランくんをローズさんのところへ運ぶ。手伝ってくれ!」
「ロマーニさん、アランは私とエルザで連れて行きますから、ロマーニさんは町の人たちの安否を確認して下さい!アランを送り届けたら私達も戻ってきますから!」
「そうか…ならよろしく頼んだ!俺は村の人たちを探してくるよ!」
こうして、リサとエルザはローズの元へ、ロマーニは村人の安否確認に向かったのだった。
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「ローズさん!!」
リサは勢いよく小屋の扉を開ける。
「おぉ!リサ、エルザ!無事じゃったか…!」
「はい!ディオゲインもアランが倒してくれました!でもアランが…!」
「本当か!?…っ!酷い怪我じゃ!!早くベッドに寝かせるんじゃ!」
ローズに言われ、リサは背負っていたアランをベッドに下ろした。
「大量の出血に拳はボロボロ…それに所々骨が折れておる…!早急な治療をしなければ…!!」
そう言うと、ローズはテーブルの引き出しから注射器を取り出しアランの腕に刺した。
「ローズさん、それは?」
エルザが心配そうに聞く。
「これは痛み止めじゃ。気持ち程度じゃがな…。基本的な治療は印術で行うのじゃが、怪我の具合によっては時間がかかる。その時は痛み止めを使う時なんかもあるのじゃよ」
「なるほど…」
リサはその話を聞き、手帳にメモを取った。
「さぁ、癒の印を使う。離れるのじゃ」
「はい」
ローズが手をかざすと、アランは光に包まれていく。
「今回は相当怪我が酷い…恐らく治療には30分ほどかかるじゃろう。その間2人はどうする?」
「私たちはミネラバに戻ります!ロマーニさんと一緒に町の人たちの安否確認をしたいので!」
「そうか…分かった!アランはわしに任せて行ってきなさい」
「ありがとうございます!それじゃあ行きましょう、エルザ」
「はいはーい」
2人はせかせかと小屋を出て行った。
「全く、無茶をしおる…。しかし、まさか本当にディオゲインを倒してしまうとはな…」
ローズはまるで母親のような優しい笑顔を浮かべ、アランを見つめていた。
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「おーい!誰かいるかー!?」
ロマーニは崩壊したミネラバの町を大声を出しながら走っていた。
「俺の家はもう少し…っ!!」
ロマーニは自分の家の前に立つ。
家には大きな穴が空き、ボロボロになってしまっていた。
「レイラ、アイサ!!」
ロマーニは慌てて家の中に入る。
すると、薄暗い部屋の中でうずくまる二つの人影が目に入った。そこにいたのは、黒いポニーテールの女性と、同じく黒い髪の少年だった。
「あなた…あなたなの!?」
「レイラ、アイサ!俺だ!ロマーニだ!!」
ロマーニは二人のほうへ駆け寄っていく。
「あなた…良かった、無事だったのね…。心配したんだから!」
そう言うと、レイラはロマーニに抱きつき涙を流す。
「おとうさん!良かった!!」
それに続き、アイサもロマーニに抱きついた。
「こっちのセリフだよ…。無事で…無事で良かった…!本当に…!!」
ロマーニは涙を流しながら、二人をギュッと抱きしめた。
続く。
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