第22話 崩れ去る黒耀騎士
「グォォオ!!!」
黒耀騎士は腕を振り上げ、リサに向け思い切り振り下ろす。
リサは黒耀騎士の腕を避け、そのまま黒耀騎士の腕を登っていく。
「くらいなさい!!火炎斬舞!!」
リサはロマーニが作った傷に向け、何度も燃え盛る剣を当てていく。
「グォォォ…!!」
黒耀騎士はまるで小蝿を払うかのように手を振り、リサを振り払おうとする。
リサは手を避け、一度地面に降りた。
「くっ…何で硬さなの…!あんなに斬りつけてもまだ砕けないなんて…!!」
「無駄無駄!お前のその貧弱な剣じゃあいくら経っても黒耀騎士の装甲は破れやしないぜ!ゲッヘッヘ!!」
「…それなら!」
リサは目を瞑り剣に力を集中させる。
すると、先ほどより激しくリサの剣は炎を纏い始めた。
「なんだ…?」
「いくわよ!!火炎竜の舞!!」
リサがそう言って剣を振ると、巨大な炎の塊が放たれる。
炎の塊は徐々に形を変え、まるで巨大なワイバーンのように変化した。
「なんだ!?あれは!!」
「グォォォォ!!」
黒耀騎士は巨大なワイバーンに向け拳を放つ。しかし、ワイバーンは拳をすり抜け黒耀騎士の傷に直撃した。
「グォォォォ!!!!」
攻撃が効いたのか、黒耀騎士はふらりとよろつき膝をついた。
「何!?黒耀騎士が膝をついただと!?」
「はぁ、はぁ、はぁ…攻撃は…通ったみたいね…」
リサは息を切らしながらそう呟く。
黒耀騎士の傷は大きく広がり、もう少しで砕けそうなほどヒビが入っていた。
「くそ…何やってる黒耀騎士!!お前は秘密兵器なんだぞ!?もっと本気を出せ!!」
ベガッジがそう言うと、黒耀騎士はゆっくりと立ち上がる。
(なかなかのしぶとさね…さっきの火炎竜の舞は1日に一回しか使えないし、体力も持ってかれた…。このままじゃやられちゃう…!)
そんなことを考えている時、また、地面が揺れ始める。
揺れに耐えながら黒耀騎士の方を見ると、黒耀騎士の手には再び大きな岩が掴まれていた。
「まずい…あの技は…!!」
「さぁ、やれ!!この町も奴等も…すべて潰してしまえ!!ゲッヘッヘ!!」
黒耀騎士は岩を上に投げようとする。
それを見て、リサは急いで物陰に隠れようと動き出した。
その時だった。
「神風斬!!」
その声と同時に放たれた斬撃は、竜巻を纏い黒耀騎士の体に直撃する。
「グォォォォ!?」
神風斬を受けた黒耀騎士はふらりとバランスを崩す。そして、そのまま持っていた岩の下敷きになった。
「おい!!何したんだお前は!!」
あまりの不甲斐なさに、ベガッジは大きな声を上げる。
「ロマーニさん!目が覚めたんですね!!」
「あぁ、遅くなってごめん!君が治療してくれたんだろ?ありがとう!!」
ロマーニはニコッと笑ってみせる。
あまりに爽やかな笑顔に、リサは少し顔が赤くなる。
「グォォォォ!!!!」
黒耀騎士は岩を押し上げ、勢いよく立ち上がる。
「しぶといな…。よし、リサちゃん、ここは力を合わせよう!」
「力を…?」
「あぁ、君の火炎の舞と俺の神風斬を同時に放つんだ。君が広げてくれたあの傷に向けて。そうすれば、きっと鎧は砕ける。そこへ、二人でトドメを刺す。どう?」
「やりましょう!それしか奴を出せる方法は無さそうですし…!」
「よし行こう!!」
「はい!」
「グォォォォ!!!」
黒耀騎士は二人に向け拳を放つ。
それを二人はひらりとかわす。
「今だ!!」
「はい!!」
「火炎の舞!!」
「神風斬!!」
二人の放った技は空中で混ざり合い炎を纏った竜巻が出来上がった。
「二つ合わせて…火炎神風!!」
炎のを纏った竜巻は黒耀騎士の傷に直撃する。すると、傷口はボロボロと崩れ始め黒耀騎士の左胸に大きな穴が空いた。
「なんだと!?黒耀騎士の鎧が…!!」
「よし、トドメだ!!」
「はい、行きましょう!!」
しゃがみ込む黒耀騎士の左胸に向け二人は思い切りジャンプする。
「トドメだ!!」
「これで終わりよ!!」
二人は左胸の穴に同時に剣を突き刺す。
「グォォォォ!!!グォォォォ!!!」
すると、黒耀騎士は苦しそうに声を上げその場に倒れ込んだ。
「お、俺の…俺の最高傑作が…!!」
ベガッジは膝を突き、ただ茫然と倒れ込む黒耀騎士を見つめる。
すると、黒耀騎士の体から大量の生気が飛び出していく。
飛び出した生気は全て、ディオゲインの周りに戻って行った。
「やった…!」
「やったみたいだね…リサちゃん!」
二人は笑顔を浮かべハイタッチする。
そして、ロマーニは膝をつくベガッジの元へ近づいていく。
「どうする?お前も俺たちと戦うか、降伏するか…」
ロマーニがそう聞くと、ベガッジはニヤリと笑みを浮かべる。
「…バカめ!俺がお前らに降伏などするわけがないだろ!!ゲッヘッヘ!!」
そう言った瞬間、ベガッジは思い切り地面に玉を投げつけた。すると、あたりに白い煙が巻き上がる。
「なっ!?煙玉…!!」
ロマーニは煙の中で剣を振るが、手応えはない。
しばらく経って煙が消える。
ロマーニは当たりを見渡すが、そこにベガッジの姿はなかった。
「くそっ!逃したか…!!」
「あいつ、あんなにディオゲインのこと話してたのにいざとなったら先に逃げるのね…」
リサは呆れた顔でそう呟いた。
「…まぁ仕方ないか。とりあえず、今は二人の戦いを見守ろう。ベガッジだけでそんなに悪事が働けるとは思えないしね…」
「そうですね…」
そう言うと、二人は座込みアランの方へ顔を向けた。
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「ちっ…黒耀騎士がやられるとはなぁ…」
「へっ…俺の仲間だって…強いんだぜ…!それよりいいのか…?ベガッジは逃げちまったみたいだけど…」
「ふん、どちらにせよ奴はもう用済みで切り捨てる予定だったからな…自分からいなくなってくれて良かったぜ…」
「そうかよ…」
2人はお互い見つめ合う。
数秒後、2人は同時に動き始めた。
アランとディオゲインの拳は交差し、お互いの顔面にぶつかり合う。
拳を受けたアランは空中で体勢を整え地面に着地した。
ディオゲインは口から出た血を拭き取ると、再びアランの方を見つめる。
「さぁ、そろそろ決着をつけようぜ…!!」
「あぁ、そうだな…!」
2人は見つめ合い、ニヤリと笑った。
続く。
投稿は不定期で行います。




