第21話 ぶつかる闘志
「俺の人生が大きく動いたのはディオゲイン様に会った時だった…」
(どんだけ話続ける気よ…そうだ、今のうちにさっき教わった回復の印で少しでもロマーニさんを…)
リサはコソコソとロマーニの近くに移動し、手をかざす。
(回復の印…!)
ロマーニの体が光に包まれる。
(まだ回復力は弱いはずだから…少しでも長く回復を続けないと…)
ロマーニを回復させているリサを無視し、ベガッジは話を続ける。
「ある日、ケラハ村にディオゲイン様がやってきた。その時俺は恩のあるケラハ村の人々を守るためディオゲイン様に挑んだ。しかし、俺は負けた。あっさりとな。そして、ケラハ村の人々は次々と生気を抜かれていった。その光景を見た時、俺は思ったんだ。美しい…と。この人について行けばこの美しい光景がいつまでも見られる…とな!そして俺はディオゲイン様の手下となり、ディオゲイン様と共にさまざまな村を植民地とし、闇の流通を取り仕切るまでの実力を手にした…。そして、傀儡作りの芸術家としてもな!!」
(まだ話してる…。でも、そこそこ回復は出来てきてる…!)
「これが俺が上り詰めるまでの物語だ…。いやぁ、我ながらハードな人生送ってきたと思うぜ…。ゲッヘッヘ!!…ってお前!!ちゃんと話聞いてたか!?」
「聞いてるわけないでしょ!!どうでもいい!!」
「どうでもいいだと!?せっかく話してやったというのに…!!もう許さんぞ!!黒耀騎士よ!!奴らを潰してしまえ!!」
「グォォォォ!!」
黒耀騎士は大きく腕を振り上げると、リサ達の方へ向け腕を思い切り振り下ろした。
「きゃあ!?」
リサはロマーニを背負うと、ギリギリで腕を回避した。
「はぁ、はぁ、そろそろあのでかいのをなんとかしないとヤバいわね…。ロマーニさんはある程度まで回復できた…。目を覚ますまで時間を稼ぐ!」
リサはロマーニを民家の端に下ろすと、剣を構える。
「さぁ、行くわよ!!」
ーーーーーーーー
「くらえ!!」
アランは剣を抜き、ディオゲインに斬りかかる。
ディオゲインは大きな斧でアランの攻撃を防いだ。
「小さい割にはそこそこ力はあるな…だが!!」
ディオゲインはアランの剣を押しのけると、斧を思い切り横に振り上げる。
「うわぁ!?」
押しのけられたアランはふらっと体勢を崩し、大きく隙が出来る。そこへ、ディオゲインの斧が勢いよく向かってきた。
「やばっ!」
アランはなんとか体勢を立て直し、ジャンプして斧を避ける。
「ほう、やるな…」
アランは一度後ろに引き、体勢を立て直す。
「くっ、あんなデカい斧振れるなんて…どうなってんだ…!」
「ハッハッハ!なかなか動けるようだな、ガキ。お前名前はなんて言う?」
「はぁ?名前?…アランだ!」
「そうか、アランか…。久しぶりに骨のあるやつと戦えそうだ。燃えてきたぜ!!」
そう言うと、ディオゲインは思い切り斧を地面に叩きつける、すると、斧が叩きつけられた場所から地面に沿って斬撃が放たれた。斬撃はアランの方へとてつもないスピードで向かっていく。
「うわぁ!?」
アランはなんとか剣で斬撃を防ぐ。
しかし、あまりの威力にアランは後ろに吹き飛ばされた。
「くっ…!なんて威力だ…!」
アランは剣を地面に刺しフラフラと立ち上がる。
そして、剣を構えた。
「いいぞ…まだまだ俺を楽しませろ!!」
再び、ディオゲインは斬撃を放つ。
アランはその斬撃を避けると、ディオゲインの方へと走り出した。アランは素早く距離を詰め、ディオゲインに向け力を込めた剣を放つ。アランの放った剣はそのままディオゲインの体にぶつかった。しかしその瞬間、まるで金属にあたったかのように剣はガキン!と弾かれてしまった。
「なっ!?硬い…!?」
「ハッハッハ!無駄無駄!俺の体には傷一つつけられねぇよ!!」
ディオゲインの拳がアランの腹に直撃する。
「ぐはぁ!?」
アランは吹き飛ばされ、後ろにあった民家の壁を破り家の中に倒れ込んだ。
「俺の体は特殊でな…暗黒騎士団の"とある科学者"に改造を頼み今では黒耀鉄の鎧を身につけた鋼鉄の体になってるって訳だ…ハッハッハ!!」
「くっ…そんなの…ありかよ…!!」
アランは家の木材をどかし、頭を押さえながら起き上がる。
そんな時、ふと横に人影が見えた。
その人影は女性と五歳程の少年で、暗い家の隅で恐怖に震えていた。
(確かロマーニさんは家族がいるって…)
その時、アランの中で怒りが沸々と燃え上がって来た。
(こんな子供まで生気を抜かれて恐怖に怯えてるなんて…。やっぱり許せねぇ…!!)
そう思った時、紋章の光が手だけでなくアランの体全体に広がり始めた。アランは立ち上がると、ゆっくりとディオゲインの方へ歩いていく。
「ディオゲイン…!苦しんだ人の分、俺がしっかりぶっ飛ばしてやる!!」
「全身が光に…!?また面白くなりそうだ…」
ディオゲインはニヤリと笑いそう言う。
「いくぜっ!!」
そうアランが言った瞬間、アランは先ほどまでとは比べ物にならないスピードでディオゲインの懐に入り込んだ。
「速い…!?」
あまりの速さにディオゲインは驚きの表情を浮かべる。
懐に入ったアランは、渾身の力を込めディオゲインの腹部に拳を放った。
「ぐはぁ!?」
アランの拳は、ディオゲインの鋼鉄の体を破り腹部にめり込む。あまりの苦痛に、ディオゲインはフラフラと数歩後ろに下がった。
「なっ…何…!?俺の鋼鉄体が…!?」
アランはそのままジャンプし、ディオゲインの顔に蹴りを入れる。蹴られたディオゲインは吹き飛び、そのまま倒れ込んだ。
「はぁ、はぁ、急に強さが増した…!一体なんの能力だ…!!」
ディオゲインはアランの手の甲を見る。
(光の紋章…だが、光属性らしい攻撃は無い…。一体…!!)
そんなことを考えていた時、アランが突然視線から消えた。
(奴はどこに…!)
「くらえ!!」
「っ!!」
アランが現れたのはディオゲインの真上だった。
アランはディオゲインの後頭部に力強いかかと落としを放った。
「ぐはぁぁっ…」
かかと落としを受けたディオゲインの顔は地面に叩きつけられる。あまりの衝撃に、地面は地割れのようにひび割れていた。
(くそっ…この俺が一瞬で形勢逆転されただと…!?だが…このままやれっぱなしとは行かないぜ…!)
ディオゲインはゆっくりと起き上がり、辺りを見回す。その時、背後からアランが迫って来ているのに気づいた。
「そこだ!!」
ディオゲインは咄嗟に振り返り、アランの足を掴む。
「何っ!?」
「おらぁ!!」
ディオゲインは腕を思い切り振り下げ、アランは地面に叩きつけられた。
「がはっ…!」
「まだまだっ!!」
そのまま、ディオゲインは何度もアランを地面に叩きつける。そして、そのままアランを投げ飛ばした。
アランは投げられ、ある態度地面を転がってから止まった。
「ハッハッハ…!やはりお前は俺の思った通り骨がある…!!こんなにやられたのは久しぶりだぜ…!!」
「はぁはぁ…」
アランは仰向けのまま息を切らす。
アランの顔面、そしてディオゲインを殴りつけていた拳は赤い血に染まっていた。
「お前は…強い…。めちゃくちゃ…。だけど…俺は負けられない…!!この町のためにも、仲間のためにも…そして俺のためにも!!」
そう言うと、アランは顔の血を拭き取りながらフラフラと起き上がった。
「俺も負けられねぇ…自分の地位と立場を守り抜くためになぁ!!」
二人は鋭い眼光で睨み合った。
続く。
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