第17話 襲い来る傀儡人形
※ベガッジの容姿の説明を少々変更致しました。
「こっちだ…」
アラン、リサ、エルザの三人は森の草陰に隠れ、ミネラバの様子を伺っていた。
「くそ、さっきまで誰もいなかったのに…。何人か手下が見張ってるみたいだな…」
先程来た時は誰もいなかったミネラバには、タンクトップに長ズボンを履いた男たちがうろうろと見張りをしているようだった。
「どうする?堂々と行くか?それとも隠れながらディオゲインの所に行くか?」
アランの問いに、リサが答える。
「どちらにせよディオゲインと戦うなら騒ぎは避けられないはず…それに堂々と行けばディオゲイン自ら出てきてくれるかもしれないわ」
「…そーだね、こそこそっとするの苦手だし」
「よし、それじゃあ作戦はこうだ。まず、堂々と町に入って見張りの兵を倒す。そしたら、それぞれ町を探してディオゲインを見つける。見つけたら大声で叫んで呼んでくれ!…確かベガッジとか言う手下もいたはずだから、そいつにも気をつけてな。よし、行くぞ!」
三人は気合いを入れ、堂々と町に入っていった。
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「おい!お前たち!!」
アランは見張りの兵に向け大声で呼びかける。
すると、あたりにいた十人ほどの兵士が一斉にアランの方へ顔を向ける。
「なんだ?あのガキ共…どうする?」
「侵入者は排除しろとの命令だ…。ガキとはいえやっちまっていいだろ」
そう言うと、男たちは腰につけた剣を抜きアラン達に近づいてくる。
「さぁ、行くぞ二人とも!」
「うん!」
「えぇ!」
三人は勢いよく走り出す。
見張りの兵士達は動揺しながらも剣を構え攻撃の姿勢を取る。
「行くぜ!」
アランは剣を抜き、先頭の男に斬りかかる。
先頭の男はアランの斬撃を自分の剣で何とか防いだ。
「ちっ、舐めやがって…ガキだからって容赦しねぇぜ!」
「容赦なんていらないぜ!」
アランは男の剣を弾くと、隙を見つけ男を斬りつけた。
「ぐぁぁ!!」
そのままの勢いで、アランは見張りの兵達の斬撃を避けながらどんどんと兵達を斬り倒していく。
「さぁ、わたしも行くわよ!火炎の舞!!」
リサは剣を地面に突き刺さす。
地面に現れた赤い紋章から火が飛び出し、見張りの兵達を包み込んで行く。
「ぐぁぁ!熱い!!」
「炎だと!?ぐぁぁあ!」
炎に包まれた男たちはバタリと倒れ込んだ。
「ちょっと熱めにしてあげたわよ!」
「ひぇー、熱そう…。さ、私たちも行くよ!魔蛇召喚!」
エルザが両手を地面につけると、地面に現れた紋章から二匹のナーガが飛び出した。
「シャァァア!!」
二匹のナーガは長い体で見張りの兵達を吹き飛ばしていく。
「なんだこの蛇!?うわぁ!!」
「いいよいいよ!その調子!」
気がつけば、見張りの兵士達は全員、地面に倒れ込んでいた。
「ふぅ、終わったか…」
「みたいね…」
「さぁ、ディオゲインを探しに行こう!」
そう意気込み、三人が移動しようとした時だった。
目の前から、勢いよく近づいてくる物に気が付き、三人はその場から素早く動いた。
近づいて来た物はそのままの勢いで地面にぶつかり、大きく砂埃を巻き上げた、
「なんだ!?」
「ごぼごほっ…いきなり何なのよ!」
「これは…アラン、リサ!見てよ!」
エルザにそう促され、アランとリサは砂煙の中へ目をやる。
すると、そこには四つん這いになった鉄屑の傀儡人形がじっと下を俯き、動きを止めていた。
「これは…傀儡人形…!?」
「その通りだ!ゲッへッヘ!!」
突然聞こえた聞き覚えのない声に、アラン達は攻撃の姿勢を取り振り返る。
「お前は誰だ!!」
「俺か?いいだろう、教えてやる…。私はその傀儡人形を作り上げた天才芸術家…ベガッジ様だ!!」
そう名乗る男は丸いサングラスかけ、白髪のモヒカンに白衣を身につけていた。
「お前がベガッジか…!おい!町の人を元に戻せ!!」
「はぁ?それは無理な相談だなぁ。なんせ、俺の能力じゃあ無いし。それに、せっかく手に入れた奴隷をそう簡単に手放す訳が無いだろ!!ゲッヘッヘッヘッヘ!!」
「くそ…腹立つ奴だな…。リサ、エルザ!ここは俺に任せてくれ!二人はディオゲインを探すんだ!」
「…分かったわ!気をつけてね!」
「二人もな…さぁ、行ってくれ!」
そう言われ、リサとエルザはサッとベガッジの横を通り抜けていく。
「ふん…ここを抜けたところで無駄だぜ…。奴らはディオゲイン様に生気を抜かれて奴隷コースだな…。お前はここで俺が可愛がってやる!さぁ行くぞ、我が傀儡人形達よ!!」
ベガッジがそう言うと、五体の傀儡人形がベガッジの前に立つ。先程四つん這いになっていた傀儡人形もゆっくりと起き上がり、ベガッジの前に立った。
「さぁ、奴を殺すのだ!ゲッヘッヘ!!」
傀儡人形は背中から鉄の剣を抜き取ると、アランの方へ走り出す。
(くそ、あの中に町の人たちの生気が入ってるって考えると戦いづらいけど…やるしか無いよな…!)
傀儡人形達はアランを取り囲み、ゆっくりと距離を詰めていく。
アランは周囲の様子を伺いながらその場で剣を構える。
(くそ…数が多いな…。それに傀儡人形は鉄…剣の攻撃も通じるか…)
そんなことを考えていると、周りの傀儡人形達が一気にアランの元へ走り出した。
「さぁ、串刺しにしろ!!ゲッヘッヘ!!」
(くそっ、まずい…一か八か!)
傀儡人形達が近づいて来た瞬間、アランはジャンプし一体の傀儡人形の頭を踏みつけた。
突然目標がいなくなった人形達はガシャガシャとお互いにぶつかり合う。
「いくぜ!」
アランは人形達の外側に着地し、ぶつかり合う傀儡人形達を斬りつける。しかし、鉄で作られた人形達を斬り裂くことはできず、剣は弾かれてしまった。
「マジかよ…攻撃が通らない…!」
「無駄無駄!鉄の鎧を纏った傀儡人形に剣など通じないわ!!」
傀儡人形達はくるっと振り返り、アランの方へ走り出す。
「くそっ!」
アランは傀儡人形の攻撃を避け、先頭にいた傀儡人形に蹴りを入れる。すると、傀儡人形は吹き飛び後ろにいた何体かの傀儡人形ごと倒れ込んだ。
(剣がダメなら打撃しかないな…また紋章が光出してくれれば話は別なんだけど、どういう条件で光出すのか分からないし…)
そんなことを考えながら、アランは傀儡人形から距離を取った。
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「ディオゲインはどこにいるのかしら…って言うか、ディオゲインってどんな見た目してるのかもわからなかったわ…」
「確かに…でも、ロマーニさんは大柄の男って言ってたよね!」
そんなことを話しながら、リサとエルザは町の中を走っていた。
「っ!」
町を走っていると、道の隅にボーッと座り込む人の姿が目に入った。座り込む女性はやつれ、一点をボーッと見つめていた。
「…ディオゲイン、ほんと許せないわ!」
「そーだね…早く見つけよう!」
その時だった。
「誰が許せないって?」
二人の目の前に、大きな人影が立ち塞がる。
突然の事に、二人は立ち止まり上を見上げた。
すると、そこには身長二メートル以上はある、大きな斧を背負ったがっしりとした体格の男が立ち尽くしていた。
「!?」
二人は距離を取るため一度後ろに引く。
改めて男をよく見ると、男は襟の立った黒いコートに身を包み、口には葉巻を咥えている。そして、長い黒髪を後ろでまとめ左目には大きな傷があった。
「お前たちか、ベガッジの言っていた侵入者というのは…。わざわざ俺の奴隷にでもなりに来たのか?」
その男は葉巻を手に持ち、口から煙を吐く。
「あなたがディオゲインなの…?」
「いかにも。私がここを仕切っているディオゲインだ」
そう聞いた途端、リサは剣を抜きディオゲインの方へ走り出す。
「町の人を元に戻しなさい!!」
「待って!リサ!」
エルザの制止を無視し、リサはディオゲインに飛びかかった。
「燃えなさい!火炎斬舞!!」
リサは燃える剣を思い切りディオゲインに振る。
剣は勢いよくディオゲインの胸当たりにぶつかった。
しかし、手応えはない。
よく見ると、リサの剣はディオゲインの胸にぶつかり弾かれていた。
「ハッハッハ!無駄無駄!俺の"鋼鉄の体"には傷一つつけられはしねぇさ。お前ら如きじゃな!!」
そう言うと、ディオゲインはリサの首を勢いよく掴み持ち上げる。
「ぐっ…!!」
リサは体を揺らし何とか逃れようとするがあまりの力に抵抗できなかった。
「リサ!!」
「さぁ、ちょうど生気が足りてなかったんだ…。新鮮な若い生気…頂くぜ!」
ディオゲインの手が、リサの方へと近づいていった。
続く。
投稿は不定期で行います。




