第14話 新たなる町、ミネラバへ
「んん…」
少し古びたベッドの上。
アランはゆっくりと目を開き、体を起こした。
「あれ…?さっき俺は…バーガーの毒を浴びて…」
何事もなかったかのように元通りになっている体を不思議に思いながらも、アランはベッドを降り閉じていたカーテンを開ける。
「…もう日が昇ってるな。そういえば、バーガーは?リサとエルザはどうなったんだ?」
アランは少しだるい体を動かし、病室を出る。
すると、ちょうど廊下にいた若い看護師の女性と目が合った。
「あ、アランさん!目が覚めたんですね!お連れのお二方があちらの病室でお待ちですよ!」
看護師の女性は"201"と書かれた病室を指差す。
「ありがとうございます!」
アランは駆け足で201の病室へ向かった。
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「リサ!エルザ!!」
アランは勢いよく病室の扉を開ける。
すると、そこには談笑する二人の姿があった。
「あっ!アラン!」
「起きたんだね!」
二人はベッドから飛び降り、アランの方へ駆け寄ってくる。
「良かったー…二人とも無事だったんだな!」
「それはこっちのセリフよ!あんたバーガーの毒を浴びて死にかけてたのよ!?それに、獣みたいな声あげてたし…」
「獣…?そういえば、バーガー達はどうなったんだ!?」
「どうなったって…あんたが倒したじゃない。リシアと一緒に」
「俺が…?だめだ、全然覚えてない…」
「記憶が無いの?」
「うん…バーガーの毒を浴びたとこまでは覚えてるんだけど…。それで、その後は?」
「さっき診療所の先生に聞いたんだけど、街の人が倒れてるバーガー達を見つけて捕まえたってさ。今街の人達が第四支部に連れてってるって」
「そっか…第四支部の人達がバーガー達をちゃんと逮捕するかは心配だけど…。ま、大丈夫だろ!」
「あと、診療所の先生から、体が動かせるようになったらもう出てって大丈夫だって!先生忙しそうだったからね…」
「そっか!そんじゃあとりあえずマーラさんのところへ行こう!」
「そうね!」
三人は診療所を出て、マーラの安休荘へ向かった。
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「マーラさん!」
三人は安休荘へ入る。
すると、マーラが涙を流しながら駆け寄ってきた。
「三人とも、無事だったんですね!」
マーラは涙を拭きながら、三人の前に立つ。
「えぇ、なんとか!だけど、ダンテはもう他の街に行っちゃったみたいで…。でも代わりにダンテの手下は倒してきました!」
「えぇ、友人に聞きました!おかげでこれからは上納金を納めずにすみます!ほんとにありがとう…!」
マーラは深々と頭を下げる。
「いいんですよ!こっちが好きでやったことだし…」
「そうだよ!」
「皆さん…。お礼になるかは分からないですけど、料理作っておきました!皆さんで食べましょう!」
そう言うと、マーラはテーブルを指さす。
テーブルには、さまざまな料理が並べられていた。
「やったぁ!お腹空いてたんですよ!」
「私も私も!」
「もう…まぁ、食べなきゃ疲れは取れないしね!」
四人はテーブルに座り、テーブルに並べられた料理をたらふく食べたのだった。
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「ふー、腹一杯だぜ…」
膨れたお腹をさするアランを横目に、リサはユリーナから貰った地図を開く。
「マーラさん、ここから近い町ってどこになるんですか?」
「ここから先は森と山岳地帯…。それを越えれば、ブラウンリバーを渡るための船着場があるブラウンハーバーって港町があります。ここから近い町だと…黒耀鉄っていう鉱石が有名なミネラバという町があります!」
「ミネラバ…?」
「ええ、基本鉱山しかないのであまり人は立ち寄らないんですけど…。森と鉱山に囲まれてるここから先は小さな村が点々とあるだけで、ある程度大きな村はここだけなんです。私も結構前に行ったことあるんですけど、なかなかいい所でしたよ!」
「そっか…それならそこに行こう!」
アランはお腹をさすりながらリサの方へ歩いてくる。
「えぇ、そうね。地図を見た感じブラウンハーバーまでは大分距離がありそうだし、ここで一度休んでから行くのがいいわね」
「よし、そうと決まれば早速出発だな!ダンテのことはちょっと気になるけど…とりあえずは保留だ!」
「そうね、もし途中で見つけたらぶっ飛ばしてやりましょう!…そうだ、エルザは?」
「うーん…」
エルザは少し考えてから口を開いた。
「私も行くよ!特に目的はないけど…君たちといるとなんだか楽しそうだし!」
「そっか、それじゃあ一緒に行こう!」
「そうね。さ、それじゃあ行きましょうか!」
「ここからミネラバなら半日…お昼ぐらいには着くと思います!みなさん、本当にありがとうございました!また絶対遊びに来て下さい!その時はまたご飯いっぱい作りますから!」
「やったぁ!また必ず遊びに来ます!それじゃあ!」
こうして、三人は安休荘を後にした。
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「ありがとなぁー!」
「あんたらは英雄よー!!」
「使えない勇者団よりよっぽど勇者だぜー!!」
クロッカスのメインストリートを歩いている時、気づけばアラン達は沢山の人々に囲まれ、まるで英雄の凱旋のようになっていた。
「な、なんだか照れるな…」
「そうね…ちょっと照れくさいかも…」
「いやー、なんだか英雄みたいでいいじゃん!」
三人は歓声を受けながら、クロッカスの街を後にしたのだった。
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「うわぁ、すごい山ね…」
クロッカスの街から少し平原を歩いていくと、雲の上まで伸びる巨大な山々が連なって聳え立っていた。
「こんなでかい山見たの初めてだぜ…」
「私も…自然ってすごいなぁ…」
そんな事を考えながら歩いている時、道に誰かが倒れているのが見えた。
「誰か倒れてるぞ!?」
「どうしたのかしら…」
三人は倒れている人の元へ駆け寄っていく。
倒れていたのは、緑色を基調とし植物のツルのような模様が至る所に描かれた長袖の民族衣装のような服にカーキ色の長いズボンを身につけた若い男だった。
「大丈夫ですか!?」
「しっかりしなよ!大丈夫?」
そうアラン達が声をかけると、男はアランの腕をギュッと握りしめる。
「助けて…くれ…。俺の…村を…。ミネラバ…を!!」
そう言うと、男はコクリと目を閉じた。
「お兄さん、お兄さん!?」
「大丈夫…意識を失ってるだけみたい。でも今の言葉…」
「ミネラバを助けてって…」
「一体全体このあたりの街はどうなってんだ!?とりあえず、この人を手当てしないと…あ、あそこの小屋!」
アランが指さす方には、古びた小さな小屋が立っていた。
小屋は森に面した場所に立っており、ところどころ蜘蛛の巣が張っている。
「とりあえずあそこの小屋を借りるしかなさそうね…行きましょう!」
こうして、アラン達は男を抱え小屋へ向かったのだった。
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「ダンテさん!大変だ!!」
スキンヘッドの男、ペイズは平原を歩きながら通話をかけていた。
『どうした…何を焦ってる』
「バーガー達がやられちまったんだよ!!」
『何!?それは本当か!?』
「あぁ!光の紋章を持ったガキ達に…今バーガー達は第四支部に連れてかれちまった…」
『くそっ!あの雑魚が…!…ちっ、まぁいい。クロッカスからはあらかた搾り取ったからな。バーガー達はクビだ!奴らは牢にぶち込ませるよう第四支部の連中に連絡しとけ!!』
「は、はい…」
『お前はとりあえず戻ってこい。いいな!!』
その声を最後に、通話は途切れた。
「はぁ、やべぇよ…ダンテさんめちゃくちゃ怒ってるよ…」
ペイズは一人、うなだれながら平原を歩いて行った。
続く。
投稿は不定期で行います。




