復讐
遅れてしまって本当に申し訳ないです
「うわぁぁぁぁぁぁあ!!」
「助けてくれぇぇぇぇえ!!」
アルタイルに任せた背中からとてつもない数の悲鳴が聞こえる
少し気になり目の前の敵を倒した後に振り返ってみると
「…嘘だろ」
そこには凍らせた死体の山の上で氷槍を振り回しているアルタイルの姿があった
いくらなんでも圧倒的すぎると思います
同じ幹部なのにここまで差があるのか?
いや、今は目の前の的に集中だ
とは言っても、さっきからずっと戦いっぱなしだったため、もう敵の数も1000人くらいにまで減っていた
それでも手を休めることはせず、ひたすら敵を殺していく
「俺もモタモタしてられねぇな」
前に向き直ると、すっかり逃げ腰になってしまった敵達に右手をかざす
「な、なんで…!なんで魔法を使えるやつが2人も…!」
驚いた
こいつらも聞かされてないのか
まぁ知らなくていいけど
レッドはフッと笑みを浮かべると
「神に選ばれたからだ」
その瞬間敵たちの目が絶望色に染まる
「こ…こんなやつが…神様に選ばれるなんて…!」
「こいつと戦えるのはマルク様だけだ…!退け!!」
周りにいた敵が全員背中を向け走り出す
「だからさ、背中向けたらダメって言ったろ?」
かざしていた右手をさげ、両手で構え直すと
叫ぶ
「連鎖爆破!」
「うわぁぁぁぁぁぁあ!!」
「いやだぁぁぁぁあ!」
さっき使っていて分かったことだが
連鎖爆破は、空気中の酸素に連鎖して爆発するだけでなく、敵で連鎖し他の敵に伝って行くという効果もあるらしい
…いわゆるチートと言うやつだ
目の前にいた10数人の敵を一気に蹴散らすと、背中に冷たい視線をかんじ、振り返る
すると、アルタイルが軽蔑した眼差しでこちらを見ていた
…いや、お前がその目をするのは違うだろ…
とりあえず軽く会釈だけしておく
「おい」
傍で腰を抜かしていた敵の生き残りの胸ぐらをつかみあげ、問う
「そのマルクと言うやつはどこにいる。言わないなら死より辛い目に遭わせてやろう」
敵の顔が青を通り越して紫辺りまで血の気が引いていく
「ひっ…!い、言います!言いますから!」
最初からそうしておけばいいものを…
「マルクさんはこの軍隊の責任者で、司令塔なため、軍の一番後ろに控えて指示を出しています…!」
やはりそうだったか
軍の責任者でここまで前線にでしゃばってくるのは俺とアルタイルくらいなんだな
まぁそろそろ魔力も枯渇しそうだしちょうどいい、頭を潰すか
「おい、今ここで逃げるのなら見逃してやる。だが、そのマルクと言うやつの元へ逃げようとしたやつは殺す。」
じゃあ一体どこへ行けば…などという声が聞こえるが、そんなの関係ない。
逃がしてもらえるだけありがたいと思って欲しいくらいだ
兵士たちがあまりにもモタモタしているので、逃げ一択にさせようと、さらに脅す
「今から3秒以内に逃げる意志を見せなかった者は問答無用で殺す。3…」
「う、うわぁぁぁぁぁぁ!」
いっせいに逃げ出す兵士たちを見て、安堵する
これで魔力何とかなりそうだ
だが…
「お、俺は残るからな!」
「殺してやる!」
「俺も戦うぞ!」
さっきまでいた人数の約1割が残り、戦闘の意思が見える
…ちっ
命知らず共め
だが1割と言っても100名ほどいるため、さすがに少し厳しいので
「アルタイル、こいつらも頼む」
アルタイルに押し付ける
「あら、あなたが自分でやればいいじゃない」
「俺は頭を潰しにいく」
「そう。分かったわ。そういうことなら任せなさい」
「助かる」
それだけ言うと、マルクがいるであろう方向へ向き、飛ぶ
「テレポート!!」
ーシュンー
「ビンゴみたいだな」
「だ、誰だ貴様は!どうやって!」
急に目の前に現れた俺に驚き、後退する
「そんなことはどうでもいい。お前には死んでもらう」
レッドが剣を投げて猛スピードで敵の脳天に剣先が迫る
「ひっ…!光の壁よ、その強固な守りで我を救たまえ!シ、シールド!!」
ーキンッー
「…!」
まさかこいつ…魔法を…!
「お前…なぜ魔法を使える」
「…ふふっ、馬鹿め、貴様魔法は本当は誰にでも使えるという事実を知らないようだな」
いや、知ってる
だがこいつがこれを知ってるってことはまさかこいつ…
「お前は9人の幹部の1人で、自分の兵士たちすらも騙してたってことか」
「正解だ!だが、お前はどうせここで死ぬんだ!知ったところで何も意味は無い!ははははは!」
こいつ、俺も魔法が使えることを知らないのか…?あれだけやられておいておかしいとも思わないのか…
「死ぬのはお前だ。」
お前を俺の記念すべき復讐の1人目にしてやる