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答えと怒り

ペースを落としてしまい申し訳ないです!

できるだけ2日に1投稿は心がけますので、これからもよろしくお願いします

ー境界線ー マーキュリー陣営


「戦況はどうだ?」


「はい、我々の軍の数の方が圧倒的に多く、このまま行けば押し勝てるでしょう」


「フハハハハ!やはり奇襲は良作だったな!」

部下から報告を受け、盛大に笑う


元々冷戦状態だったマーキュリーは幹部が一人増えたという情報をいち早く手に入れ、力がまとまらないうちに奇襲をしかけ、見事に押していた


「このままゴリ押しで潰してやれ!」


「「「はっ!」」」


ーアルタイル陣営ー


「アルタイル様、このままでは…」


「えぇ、でも大丈夫よ。援軍を呼んだから…ほら、来たわよ、」

レッドが25000人を引き連れて援軍として駆けつけてくれた


「状況は?」


「正直厳しい状態よ、向こうの方が圧倒的に数が多いから押されているわ」


「そうか。でもあとは任せろ。ちょうどこいつらの実力も見ておきたかったところだしな」


「…そう。なら後は任せるわ」


そう言うと、アルタイルは下がっていく


「さぁお前ら!俺にお前らの実力を見せてくれ!」


「「「ウォォォォォォォォオオオオ!!!」」」


レッドは内心ではこいつらは死んでもらっても構わないと思っていた


(どうせ代わりはいくらでもいる。それに俺は…もう仲間なんていらない)


「レッド様に敵の首を届けるぞ!」

先陣を切ったヤツらが口々にそう言う


軍を編成して少ししか立っていなかったので

作戦などなく、戦闘が得意な奴らが正面突破するという結果になってしまった


もちろん思い通りに行くはずもなく


「ぐはぁ!」

「うっ!」


次々と部下達が倒れていく

しかしこの光景を心痛く思っている自分もいた


別にこいつらが死んでも懐は痛まないはず


こんな感情はすぐ捨てろ

優しさや信用は不要だ

こんな感情を持っていたから俺は全ても失った


自己暗示をかけ、今の自分を保つ


「レッド様…!早くお逃げに…!」


目の前で魔法に撃たれた部下のひとりが避難させようと寿命僅かなその命を削って俺の前に出る


(こいつは何がしたいんだ…?どうし幹部に就いてして日が浅い俺をそこまで必死になって守ろうとする…?)


俺が疑問に思っていると、隣で戦況を見守っていたミラは悲鳴をあげる


「ひっ…!も、もうやめてください…!」


「レッド様の命が護られるのならこの命…安いものだ!」


その直後、俺を庇った部下の目の前にいた敵が魔法を放ち、部下はその命を絶つ


「い、いや…!そんな…!」


はっきりいって援護に来た今の状況は良くなかった


軍隊に纏まりがなく、個々で攻め入ってしまったため、連携の取れているマーキュリー陣営に為す術なく戦力が削られていき、

軍の中間地点にいた俺とミラの元までも3時間ほどで攻め込んできた


ちなみにアルタイル軍は治療と装備の確保に専念して貰うため、後衛に下げた




このままだと確実に負けてしまう


俺はどこで間違えてしまったのだろうか

俺は何を間違ってしまったのだろうか


自分に問いかけても、答えは出ない


部下の力を過信し過ぎたこと?

相手を舐めていたこと?


違う


だが違うとわかっていても正解が分からない


そうしている間にも、中間地点まで攻め込んできた敵軍は俺の目の前まで来ていた


「お前がこの軍のトップか?」

「お前らちゃんと訓練したのか?」

「マヌケなもんだな!ははははは!」

「雑魚過ぎて話にならねぇ!」


複数の敵に囲まれ煽ってくる

しかし、その言葉は届かない

ミラかが何か言い返しているようだが、それを聞く気にもなれない


初戦でここまでたった3時間で攻め込まれた


しかも後衛は戦闘が不得意なやつや、アルタイル軍の怪我をしたヤツらでいっぱいなためここが最後の砦と言える


アルタイルが、戦えばいいかもしれないが、

自分の部下を守るために氷の障壁を出現させ続け、死人はほとんど出てないが魔力の消失は大きく、あの数をどうにか出来るほど残っていないらしい


それならレッドが出ればいいのだが、

部下の死に際を目の当たりにしどうでも良かったはずのことに胸が締め付けられ、自分が分からなくなっていた


(俺は…一体何がしたいんだ…)


自問を繰り返すも答えが出ずに自分がまた分からなくなる


どうせ信用してもすぐ裏切る

仲間なんて直ぐにいなくなる

1人の方がいい

仲間なんて駒だ


そういった感情があるのは確かだ


しかしもっと別の感情が大きくなっている

人間の時に抱いていて1度は捨てた感情


だがそれを導き出そうとすれば

さっきのような感情が大きくなり、邪魔をする

レッドは自分がもうなんなのか分からなくなっていた



そうしていると、敵軍のひとりが剣を持って近づいてくる


「おいおい、下ばっか向いてんじゃねぇよ雑魚がぁ!」


そう叫び、レッドの腹に蹴りを入れる


「くっ…!」


「レッド様!大丈夫ですか!」


すかさずミラが駆け寄る


「レッド様!しっかりしてください!レッド様!!」


「こいつほんとに情けねぇなあ!ははははは!」


「レッド様を悪くいうのは私が許しません!」


「あ?なんだよてめぇ。お…?よく見りゃ可愛い顔してるじゃねぇか、お前は死ぬ前にたっぷりと遊んでやるよ!」


「っ…!」


「まずはその男を消してからだな!」


男は剣を振り上げレッドに近づく


ーーーー


「雑魚がぁ!」


そう言われた直後、腹に強烈な痛みを感じ地面に倒れ込む


ミラが血相変えて近づいてくるが今はそんなことはどうでもいい


もう自分が分からない


さっきからいろんな感情が出てくるも答えの見つからないままモヤモヤしたものだけが襲う





レッドのメンタルは崩れる直前だった




だが無理もない

いや、正確には今までが無理をしすぎていた


1人の女性のために一生懸命戦って来たのにも関わらずそいつは王子に嫁いでしまい、挙句の果て親友や居場所を…全てを失った


復讐という目標をたて自分を奮い立たせていたが、既に限界だったのだ


そして今日、初戦争を迎え相手軍に為す術なく倒れていく部下達が揃いも揃ってレッドを庇おうとする現状に理解が追いついていかず

いろんな感情が渦を巻き、自分が分からなくなっていた


俺が地面に伏せていると、男が剣を振り上げ近づいてくる


そして男は目の前までくると深い笑みを浮かべる


「哀れなやつだなぁ!部下に守られ続けたのにその命を絶たれるなんて!大丈夫、できるだけ楽に逝かせてやるからよぉ!ーー死ね!」


男が剣を振り下ろす


(ここで死んでしまうのか…未練だらけの人生だった)


ーザシュッー


「え?」


何かが切れた音がしたと同時に何かが顔にとびちったので目を開けると



そこには俺を庇い肩を切られたミラが両手を広げてたっていた


「レッド様…早く…お逃げに……」


言いかけるとミラはその場に崩れ落ちる


「おい、ミラ…ミラ!誰か!誰か医療班を呼べ!今すぐにだ!」


近くにいた部下が慌ただしく駆けて行く


「どうしてこんなことを…」


「簡単なことですよ」


「簡単…?」


「はい、それはあなたが大切だからです。みんなあなたを尊敬し、慕っています。そしてなにより、みんなあなたのことを信頼しています」


「俺は信頼されるようなことなんて…!」


「はい、ですがあなたは私たちの心を動かしてくれました。軍に迎えてくれました。私は…私達は…それが本当に嬉しかった」


肩で息をしながらも、優しい瞳で語りかける


「だから私達もあなたのために闘います」


「でもそれだけで命を張るのはおかしいだろ!」


「そうですね。もう1つ理由がありました」


ミラは優しい瞳を細め、優しく笑いながら


「だって私たち、仲間(・・)じゃないですか」


そう言うとミラは意識を失う


俺はミラを駆けつけた医療班に預けると、先程までとは違い決意のこもった眼差しを相手に向け、立ち上がる


(そうだ…簡単なことだったじゃないか。どうして今まで気づかなかったのか…いや、気づくことを拒否していたのかもしれない)


そう、俺が本当に欲しかったもの。それは…


(仲間…そして信頼…)


まさかあいつに答えを言われるとはな


後でお礼を言っておくか

名前も聞き損ねた部下達…いや、仲間達(・・・)の墓も建てないとな


だがまずは目の前のことをやらなければならない


俺は怒りとどこかすっきりした表情を敵に向けると


「…よくもここまで俺の仲間達に好き勝手してくれたな。お前ら…生きて帰れると思うなよ?」


その声は低く重く、相手の耳に届く


「っ…!ざ、雑魚が何匹ししゃしゃり出て来ようが雑魚なんだよ!返り討ちにしてやるよ!」


俺は腰に刺した剣を右手で構え、左手を敵にかざす


「ーー死ね」


俺は敵陣に飛び込んだ

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