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幸せだった日々①

新作書いてみました

ーあなたが辛い時、これを見て私を思い出してねー


ー分かった、それじゃあ、そろそろ行くよー


ーえぇ、行ってらっしゃい!ー


ーじゃあ、俺が2年後帰ってきたらその時はー



ー結婚しようー


******


ガバッ!


「はぁ…はぁ…またこの夢かよ…クソッ」


俺はベッドから重い体を無理やり起こし、洗面台へ向かう

2年前の()()以来、あの夢をちょくちょく見る


洗面台に着き、顔を洗った後鏡を見て苦笑する

随分目付きが悪くなったな…


最近は復讐する事しか考えてなかったからな、無理もないか

そう、俺、テオ=グランドは王都エルメニスに2年前復讐を誓い、現在は街を出てすぐの山の麓にあった今は誰も住んでいない小屋で旅の準備を整えている


なぜ王都の人間が自分の故郷に復讐をするのかは理解しかねないだろう、しかし、俺はあの街に全てを奪われた


そう、あれは忘れたくても忘れることができない最悪の出来事だった


ー2年前ー


「もー、テオったらまた1人でどっか行っちゃってー、みんな心配してるよ?」


そう言いながらその少女、ネイル=ニースは俺の袖を引っ張りみんなの元へ連れて帰ろうとする


「いててて…!離せって!歩けるから!」

俺はネイルに掴まれた袖を振り払う


ネイルは、俺の幼馴染でみんなからの人気も高いが、規則や約束事には厳しい

ちょーっと昼寝しようと思ってただけなのに。でも…そういう所に俺は……い、いや!魔獣掃討作戦が始まるって言うのにこんなこと考えてちゃダメだ!


俺は自分の頬を思いっきり叩く


「え!?何やってるの!?」

「ちょっと煩悩払った」

「…よく分からないけれど、明日からの掃討作戦頑張ってよね、死んだりしたら許さないからね」

「え、それって…」

「ほら!黙って歩く!」

「っ…!いてぇ!」


バシ!っと背中を思いっきり叩かれ、思わず声を上げる

てゆーかなんでこいつこんなに顔赤くなってんだ?


こんなんだから鈍感クソたらしなどと言われているのだが、当然本人は気づいていない


そして、明日の掃討作戦についてもう一度考える


まず、魔獣掃討作戦とは何年かに1度行われる、王都とは少し離れた森、通称、魔獣の森に大量発生して今にも溢れそうになっている魔獣達を殲滅する重大な任務だ


そして、この任務には15~18歳の男が選ばれ、1~2年の間長い間闘いを続ける

そして、俺は今年15歳になったため、数十名の仲間と共に任務に出るわけだ


当然、魔獣なのでそこら辺の獣とはレベルが段違いで、死者も出る


だが、それでも俺達選ばれし戦士達(プロテクター)は王都を守るために闘う


そして、この任務が終わったらネイルにプロポーズするのだ

そう決意しながら俺は目の前を歩いているネイルを見る……無理!直視できない!ほんとにかわいいまじで!

なにあの腰まであるサラサラの撫でたくなるような聖者みたいな金髪は

やばいよほんとに


俺が勝手に頬を染めながら悶えていると、


「あ、そうそう。テオ、今日の夜街の展望台に来れる?」

「夜?別にいいけど…どして?」

「テオが魔獣の森に行く前に話しておきたいことがあるの」

話しておきたいこと…?なんだろう、と疑問に思いつつも了承する

「分かった」

「ありがとう、ほら!着いたよ!」

そう言いながら、ネイルは講義室から出ていく


「お!やっときたか。おせーぞテオー」

「おぉー悪い悪い、ちょっと昼寝してたわ」

「昼寝ってお前…明日から掃討作戦なのに呑気なやつだな」

と笑いながら俺の肩をポンポンしてくるこの男はアレックスといい、俺と同い年で掃討作戦メンバーに選ばれた俺の大切な友達の1人だ


「全員揃ったか…では、これより明日の掃討作戦の作戦内容を発表する!」


と、大声で教団の上から叫ぶと、説明が始まった


*******


やべぇ…説明が長引いちまった!

ネイルはもう着いてる頃か

俺は駆け足で展望台を駆け上がると、

「遅いじゃない!レディを待たせるのはご法度よ?」

「わ、悪い、説明が長引いて…」

「ふふっ冗談よ」

ネイルは笑みをこぼす


…かわいい…

い、いや、それよりだな


「で、話しておきたいことっていうのは…」


その質問をした途端、ネイルは俯き顔を赤面させる


「お、おい!大丈夫か?」

「だ、大丈夫よ!えっとね話したいことっていうのは…」

「お、おう」

「…わ、私…実はあなたのことが…ずっと…ずっと好きだったの!」


!?


「え、おいそれまじ?」

「こんな状況で嘘つけるわけないじゃない!バカ!」

そう言いながらポカポカと俺を殴ってくる


自分の好きな人が腹を括って伝えてくれたんだ、俺も伝えるしかない


「その…実は、俺もお前のことがずっと好きだったんだ」

「…え!」

「なんだよ、え!って」

「い、いや、テオはてっきり女の子なんか興味ないんだと」


そんなふうに思われてたのか…


「そんなわけないだろ、俺だってお前を意識してて、それを悟られまいと隠すのに毎日神経使ってたんだぜ」

「そうだったんだ…ふふっ、よかった!」

「そうだな、でもなんでこの時期に?」

「だって明日から森に行っちゃうでしょ?そしたら2年くらい会えなくなるじゃない。そんなの絶対嫌だし、離れる前に私のことを忘れられなくしてやろうと思って…」


こいつ…ほんとに可愛いな


「はははっ」

「な、何がおかしいの!?」

「い、いや、別に…ふふ」

「笑ってるじゃい!もう!バカ!」

「ごめんごめん」

「あとこれ!ペンダント!」

「ペンダント?」

「そう、ペンダント。辛い時はこれを見て私を思い出して欲しいな…って」


ブワッ


「わぁぁぁあ!どうしたの!?大丈夫!?」

「だ、だしょぶ…」


俺は涙を拭きながら、真剣な眼差しでネイルを見る


「ど、どうしたの?」

「なぁ、ネイル」

「ん?」

「俺が2年後、帰ってきたら、その時は…俺と、結婚してくれないか」

「うん…うん!」

「ちょ!なんで泣いてるんだよ」

「そんなことも分からないの?もう知らない!」

「え、ちょっと待てってー!」


こうして、俺達は夜の展望台で結婚の約束を交わし


ー翌朝ー


「それじゃあ行ってらっしゃい!ずっと待ってるからね」

「おう、行ってくる!」


俺たちは魔獣の森へ旅に出た


しかし、この時は俺はまだ知らなかった、この幸せが長くは続かないことを…

次回で復讐を誓った理由が明らかになります

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