月の風
1.童話
新美南吉「ごんぎつね」 二
お昼が過ぎると、ごんは、村の墓地に行って、六地蔵さんのかげにかくれていました。いいお天気で、遠く向こうには、お城の屋根がわらが光っています。墓地には、ひがん花が、赤いきれのようにさき続いていました。と、村の方から、カーン、カーンと鐘が鳴ってきました。そう式の出る合図です。
やがて、白い着物を着たそう列の者たちがやってくるのがちらちら見え始めました。話し声も近くなりました。そう列は墓地へ入っていきました。人々が通った後には、ひがん花が、ふみ折られていました。
ごんはのび上がって見ました。兵十が、白いかみしもを付けて、位はいをさげています。いつもは赤いさつまいもみたいな元気のいい顔が、今日はなんだかしおれていました。
*本文は、「新美南吉代表作集(半田市教育委員会編集・発行)」に所載のものを、漢字表記等一部変更ししたものです。
2.唱歌
作詞者:三木露風
作曲者:山田耕筰
夕焼小焼の 赤とんぼ
負われて見たのは いつの日か
山の畑の 桑くわの実を
小籠こかごに摘んだは まぼろしか
十五で姐ねえやは 嫁に行き
お里のたよりも 絶えはてた
夕焼小焼の 赤とんぼ
とまっているよ 竿さおの先
3.俳句
蟻の道雲の峰よりつづきけん 小林一茶