霧雨父と、真っ白な嘘
一日に三回目の更新。
三回目となるとテンションが続かなくて、めんどくさくなる。
文字数が2000文字以下。
前書きのテンションも心なしか低い。
霧雨店と看板を掲げた、大きめの店が立っている。
ここが魔理沙の家かそう思いながら、店の中をチラ見する、魔理沙の父を警戒しているのだが、父親らしき人物はいな
「何やってんだ、魔理沙と……誰だ?」
「お父さん」
……後ろにいた。
最悪なタイミングできたものだと思いながら、ゆっくりと後ろを振り向く。
後ろからひしひしと感じる存在感、どんなやつだと視界に納める。
そこにいたのは巨大な男だった。
服の上からわかるほどに盛り上がる筋肉、丸太のような腕。
そして何故かポージングをきめて、いい笑顔で男はポージングを辞めずに近づいてくる、なんだこいつ。
「魔理沙の新しい男友達ってやつかァ、ヒョロッチィじゃねぇのぉ!」
「お父さん!」
最初の一言がこれである、ある意味予想通りだ。
このおっさん、フレンドリーかつ無礼である。
魔理沙はこちらをチラチラと気にしながら父を戒めるが、父は止まらない。
止まらなくていいからそのポージングをやめてほしい。
「おっちゃんみたくムッキムッキになったら魔理沙を婿にやろう!」
「お父さん!?」
「いいかぁ!極めるなら派手に!そして全力で!すべての力を極めろ!」
「お、お父さん……」
今の気持ちを一言で集約しよう、ここで何回言うのかわからないが『何言ってんだこいつ』だ。
そして魔理沙がさっきから『お父さん』しかいっていない。
魔理沙の父はこちらの様子を見た後に、ポージングをやめてくれた。
「中々に肝が据わってんな坊主、大体の子供は俺を見た後に泣きながら逃げるんだけどな」
「いや、すごい逃げたい」
「おめぇも筋肉の良さがわかるか……」
言ってない、感慨深そうに言ったかのように言うんじゃない。
この人と一緒にいると何が起こっても動じない人間になりそうだ。
「魔理沙の婿になる第一の関門をクリアしたやつは初めてだぜ!つまり商人になりたいんだな!商人になるには筋肉をつけることから始めるんだ!」
何を言っているんだこいつは。
「商人の強みってもんはな、押しの強さが重要だ、仕入れにも販売にもどう安く仕入れ、そしてどう満足して買っていただけるか、それが必要……つまり筋肉!」
最初は理にかなっているような気がしたけど、そんなことはなかった。
というか話が進まないし家で遊ぶこともままならないぞこれ。
「さぁ君もいっしょにィ!レッツ鍛れグホォッ!」
「あ、お母さん」
気が付けばにこやかな笑顔を向けた長髪の金髪美女が立っていた。
血に塗れた金槌を持っていること以外は優しげな魔理沙の母親はこちらへ視線を向ける。
「あら、魔理沙のお友達?楽しんで行ってね?」
至極普通のことを言った後に、巨漢の頭を掴むを持ち上げて運んで行った。
……もう何も驚かない、パワー夫婦として認識するだけだ。
魔理沙をチラッと見る。
「あぁなるのか……」
「ならないよ!?パワーなんて極めないよ!?」
何故か今、真顔で『弾幕はパワーだよ』と言い放つ魔理沙が見えた。
少し成長した彼女は、母親に近い容姿をしていた――。
空が橙に染まる時間になり、魔理沙に別れを告げる。
玄関付近で別れると、外には魔理沙の父親が立っていた。
「おう、さっきはすまんな、聖……だったな?」
「はい」
そういって笑顔を向けてくる、この人はめんどくさい人なだけでいい人なのだろうな、と思いながら笑顔を返す。
「魔理沙と仲良くしてやってくれよ?婿入り第一関門は突破したやつはお前が初めてだ」
――なんていやな試練だ、筋肉から逃げ出さないか、否かだなんて。
「ちなみに第二関門はムキムキになることだ、レッツ・鍛錬」
断る。
帰宅し、三人で集まり食事をとる。
たまに妹紅姉ちゃんがいなくなるが、大体この風景がいつものものだ。
「なぁ聖、私の授業はどうだった?」
カチンと聖が固まった。
……どういえばいいものか、助け舟を姉へと懇願するが、姉は
「ハハ」
苦笑いしか与えてくれなかった。
「ん?どうした聖」
「い、いやなんでもない、えっと授業だよね?」
「うむ」
つまらないです、なんて言えるわけもない。
冷や汗をかき、ものすごい作り笑顔で聖は
「お、おもしろかったよ」
そういった。
欠けた月を、庭で眺める聖の横に妹紅が近づく。
ポンと彼女は聖の肩に手を乗っけると、聖は泣き始める。
「俺、母さんに嘘ついた……!」
「いいんだ、いいんだよ聖……」
天然で酷いやつらである。