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人里潜入・終

課題が全くわからないから現実逃避のために書いたら10月中に出来上がっていた。

しかしアホみたいに一か月とか遅れまくってるのに次の日にこれはなぁ。

だからもう続きとか考えておこうと大雑把な流れをテキストに書いていった。

聖がまじめな弾幕勝負をしないということだけはわかった。

なんでこうなるんだよ!ってパソコンの前で一人叫ぶアホができあがった。


見知った人里の道を歩く、二年と言う短い期間だというのに妙に懐かしさが込み上げ、涙が流れそうになるのを堪える。

歩き続け、右に野菜が大量におかれている店があった、八百屋だ。

山田太郎――スティング・アローの家である。

中二病は既にある程度は治っただろうか、男といものは永遠に中二病なものだから、完治することはないだろうが。

とにかく、だ。

母の姿と今の自らの境遇を放した後にスグに人里から離れなければいけない、店を除いて彼の姿を一目でもみたいと欲ができるが、それを抑えながら寺子屋への道のりを急ぐ。


「――着いた」


何事もなく家へと到着する、二年ぶりの寺子屋は何故だか妙に小さいように思える。

そういえば、高校生のころに友達と小学校の前で待ち合わせたことがある。

校門前の階段をみたとき、「あれ?こんなに低い階段だったか?」と疑問に思った。

今考えてみると、これが成長しているという実感なのだろう。

引き戸の玄関の前に行き、こぶしを握る。

ごくりと唾を飲み、逃げ出したい感情が湧き出す。

意識を切り替える、感情へと理由を付けて逃げ出せないように思考を回転する。

『逃げ出したら、次も逃げてしまう、俺は何故、この刀と服を持ってここにきたのか、今までの事が一切無意味になる、それは助けてくれた人に対する裏切りに他ならない』

そう強く念じ、拳を持ち上げて、扉を叩いた。

ガンガン音が鳴り響くと、奥からこちらへと近づいてくる乾いた音が聞こえた。


「はい、どちら様でしょうか……?」


「――えぇっと、気が付いたらげんそーきょー?ってところにいたんですけど」


「あぁ外来人の方でしたか、立ち話も何なので、中へとどうぞ」


バレていない、少しばかりがっかりしたが、バレないほうが正直いいのかもしれない――いや、どうやって俺の近況報告をすればいいのだろうか。

そう考えてみて、門番に『知らない』といってしまったことを悔やんだ。

『そういえば、そんな男の人に助けられました』といってしまえば、それだけで平穏に生きてますよといった証明になっただろうに。

狭くなった通路を抜けて、これまた小さくなった居間に到着する。

ちゃぶ台を前にして、目の前に座った慧音母さんを眺める。


「そ、れで、だ、その、あれだ、とりあえず、な」


顔を下に傾けた母親の声は、震えだしていた。

どうかしたのだろうか、そう思い声を賭けようとしたとき、見えない顔から零れ落ちた涙をみて、驚いた。


「あぁ、良かった、聖だよな」


「――うん、聖だよ、上白沢、聖だ」


「うん、うん、聖、おかえり、おかえり――」


とめどなく流れる涙を拭いながら、慧音母さんは『おかえり』といってくれた、心臓が締め付けられる痛みと共に、大きな喜びが広がっていく、俺の居場所は、まだここにあったのだと証明された。


「――ただいま、母さん」


いつのまにか、視界がぼやけて慧音母さんの顔が良く見えなくなった。

しっかり見るために、涙を拭って前を見るが、鮮明に見えていたのは一瞬だけで、すぐにぼやけしまう。


「俺、がんばったよ」


無理矢理な笑顔を作って母さんへと笑いかけると、慧音母さんは俺を抱き寄せる。

耳元からすすり泣くような声が聞こえて、優しく抱き留める。

いつのまにか、母さんよりも大きくなっていたのだと、そのときはじめて気づいた。







その後、母と共に語り合うことにした。

居間は外から見えないし、母さんは半獣なためにこの刀の影響を受けるかもしれないために腰から外して部屋の隅、とはいえ何があるのかはわからないために体の近くに置いておくことにする。

紅魔館の執事となり、力を我が物にしたことを説明すると、驚きつつも嬉しそうに笑う母がいた。


「妹紅姉さんはどうしてるのさ?」


そう問いかけると、慧音母さんは妹紅姉さんの人里へと訪れる頻度が少ないということを口にした。

何故だろうか、俺がいないから――と考えると正直嬉しいのだが、訪れなくなった理由を考えると『顔を合わせ辛いから』ということも考えられる。

何かあったのか、そう問いかけると、聖がいなくなってからは特に何もと返答される。


「……俺の所為かな」


俺が人里から離れたことによる罪悪感だろうか。

俺にとって馬鹿げているとしか言いようのないことだ、俺は能力の所為とはいえ、勝手に暴走して勝手に人里から離れたのだ。

だが、止められなかったといったことが、慧音母さんに対する罪悪感として顔を合わせ辛いのかもしれない。

――できるだけ早く迷いの竹林へと向かうべきだろう。

そう考えて頷いた。


「あぁ、たぶん大丈夫だと思う、後で会いに行くよ」


「そうしてくれ、妹紅も喜ぶ」


華が咲いたような笑顔でうなずく慧音母さんを見ながら、離れたくないと思う心をはねのけて立ち上がる。


「流石に長くはいられないからもう出るよ」


「え……?」


そう言った途端に空気が悲壮感に一変する。

『また来るから』と次の一言が言えずに言葉に詰まると、泣きそうな慧音母さんが視界に入った。


「……夕食ぐらい食べていくだろう?」


「……えーあー、まぁうーんそうだね」


夕食くらいはいいか。

そう妥協した時点で詰みだった。

あれよあれよと『夜には外に出れない』だとか『菱垣さんのところにもいかないと』とか『外来人としてきたのだから、夜に空を飛んで外にでると不思議がられる』といった言葉で外に出れないことに気づいた。


「――甘かった」


明日には紅魔館で執事の仕事をやらなければだというのに。

朝7時に起きて、母さんに断って出るしかない。

翠母さんには無事なことを簡易ではあるがつたえて、そうだ、何かお土産を買っていくべきだろう。

――何を買っていくべきだろうか。


「聖」


「ん、あぁ、母さん?」


「一緒に寝よう」


――思考が停止した。

口を半開きにして固まったがすぐに起動する、だが思考は「いやいやいやいやいやいや!」とバグった具合になっている。

落ち着け、目の前にいるのは母さんだ!

老けないから十代後半から二十代前半くらいの美女に見えるだけで母さんなのだ!畜生、俺の思考が気色悪い!


「だめ、か……?」


「いや別に」


マザコンがノーと言えるわけがない。

当然のごとく布団を二つ引いて、一緒の部屋で寝ることになる。

光が消えて、真っ暗になった天井を見上げながら、聖はこれまでのことを思い出していた。


「なぁ、聖」


「ん、何?母さん」


「――幸せか?」


「幸せだよ、今までの日常も、今も」


「――そうか」


天井を眺めているだけだというのに、隣にいる慧音母さんが嬉しそうだということは感じられた。

気が付けば寝息が聞こえる、横をみると、規則的な寝息をたてながら、穏やかな笑みを浮かべて慧音母さんが寝ていた。

そういえば、と徐に腰を浮かすと、引っ張られる。

どこか引っかかったのだろうかと引っ張られる先をみると、慧音母さんが衣服を攫んでいた。

優しく手を外そうとするが、無茶苦茶に強い。

母さん半獣だった、そりゃ強いわけだ。

行儀が悪いが足で襖をスライドさせて開く。


「……変わらないな」


部屋の外から見る星々は、変わってはいなかった。









次の朝、朝早くなので迷惑とは思いつつ、菱垣の家へと向かう。

奥へと通されると、ポカンと口を大きく開いた翠母さんがいた。


「いえ、あの、あれです、妖怪とか妖術とか、幻想郷は常識にとらわれてはいいけないとは理解していましたが、二年合わなかった息子の肌の色が変わっていたということは中々に理解しがたいです」


「正直俺もこの原理がよくわからないんですよ」


そう正直に言うと、翠母さんはクスクスと笑う。


「いえ、吸血鬼の館の執事になったというのに、変わらず常識的なことに少し面白くて」


そう言われてみて、思わず噴き出した、

吸血鬼やら妖怪やら、常識なんてものが吹き飛んでいるこの世界だ。

人里ならまだしも、その真っただ中にいて『原理が~』とか『理屈が~』とか考えている。

それがなんだかおかしなことに思えて、思わず母子が笑いあうと、その笑いはすぐに途切れる。


「――生きていて、健康で、良いことです」


優雅な笑みを浮かべる、優しい雰囲気で、最初のころはボサボサな髪で、生気のなかったというのに、目の前の母はとても美しかった。


「心配させました、俺は大丈夫です」


「心配しました、ですが、大丈夫だとは思っていました」


慧音さんも、信じていましたよ、どちらが上だとかは言いません、ですが母親というものは強いんだと、貴方が居なくなって強く感じました。

そう笑って言う母親には、敵わないなと苦笑いを聖は浮かべた。






人里を歩き続ける、外へと向かってさっさと紅魔館へと向かわなければと思っていると、視界の端にとある店が現れて足を止めた。


『団子屋』である。


そういえば紅魔館は洋式なためなのかはよくわからない、主も西洋から来ている、名前からしてそうだろう、食べ物、特に御菓子類は和食というものがなかった。

食欲があふれ出し、思わず駆け寄る。

次の瞬間大量の団子を受け取る聖がいた。

受け取って袋にいれて、さてスグに向かおうかと思い回れ右をして歩き出すと、運が悪いことに丁度そこに通りがかった人物がいた。


「きゃっ!?」


「うわ!?すいません!」


袋を落として零れだした中身をかき集めて、倒れた少女を見る。

――銀髪で黒いリボンを付けた、緑色の服を着た少女。

特徴的なのは腰にさした刀だろうか。周囲に浮いている幽霊っぽい何かは……げ、幻想郷だし。


――まぁそれよりも特徴的なのは、無茶苦茶な量の買い物袋だろうが。


「えぇっと、大丈夫ですか?」


「え、えぇ、大丈夫です」


かき集めた中身を片手で持つように持ち替える、とはいえども、腰に刺した刀を触れるようにしつつではあるが、手を差し出すと少女は素直にそれを握って立ち上がった。


「ありがとうございます」


「いえ、ぶつかってしまったのはこちらなので……そんなに大丈夫ですか?」


「えぇ、慣れてますし、鍛えてますから」


そういって腕を見せられるが、見えるのは引き締まっているが、女性の細腕である。

腰に刀を差しているのだから、嘘はいってないのだろうが。


「とりあえず一緒に持ちますよ?」


「いえ、大丈夫です、行き先は冥界ですし、空も飛びますし」


「冥界……?」


あることは知っているが、行ったことは無い。

幻想入りした外来人の体であるために疑問符をつけて聞き返す。


「冥界は死者の魂が成仏する順番を待つときに住む場所です、待合室のようなものですね」


「へぇ、そうなんですか、幻想郷って本当に色々ありますね!そういえばぶつかったお詫びなので、これどうぞ」


そういって包まれた団子の包装たちのうちの一つを渡す。


「いえ、そんな悪いですよ」


そう言われてみて、これ荷物増えないか?と思い直す。

とはいえどもだ、後でお詫びを渡すというのも、幻想入りしたやつに後々会うわけがない、普通ならさっさと幻想郷から出るだろう。


「うーん、何か、何か――」


「それじゃあその刀見せてもらえますか?」


「握ったままでいいですかね……?」


「はい」


刀を鞘から抜いて、見せてみる。

じっくりと真剣に見つめるまなざしは剣士のそれだ、知らないけどそれっぽい、という程度だが。


「儀式用の剣ですかね、それでも実戦用に造られています。なにかしら悪いものを断ち切る際に使われているようですね」


「あ、わかります?」


「はい」


そんな会話をする、刀談義に華が咲く、といっても一方的なものだが。

その後遅刻寸前になった聖が、魔法の森まで全力疾走して、共鳴解放状態になって音速の壁を乗り越えるスピードで飛ぶのだった。









――それが、彼女に目を付けられることとなる原因となった。




シャッター音が鳴り響く。

黒いスカート半袖のワイシャツ。

黒い翼をもったカラス天狗は聖が去っていった方向を見る。


「――変わった外来人がいると思いましたが、まさか前に住んでいなくなった男の子だとは、ね、いいネタになりそうですね」


二つの光線がぶつかり合う、もう一方は上白沢聖、そしてもう一方は風見幽香。

己の最高の一撃を問答無用に飲み込んでく聖の放った光線に、彼女は狂気を秘めることなく振りまいた笑みを浮かべた。

不利とみると、即座に光線での打ち合いを放棄して近づいてくる。

無理矢理な出力で吹き飛ぶように近づき、聖へと傘の一振りを食らわせる。

それを両手で受け止める――傘が開いた!?


「チィッ!」


下からの蹴りの一撃、回避する。

関節の破壊――無理だ、妖怪にまともな関節破壊が通用するとは思えない。

ずれた傘の隙間から縫うように回転しながら回り込み、相手の後頭部へとひじ打ちをする。

普通の人間なら昏倒する――勿論ケロリとしているが、効いてはいるらしい――





「弾幕バトルしようよ!?」




萃夢想かよ

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