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年月が立ち……

YOYOMU!KOMAよりは断然EASYと聞いてPLAYしてみたYO!

TASHIKANI断然EASY!FIRST PLAYなのにYUYUKOを倒したよ!

私ってGENIUS!?もう残機ZEROだけどね!


WHAT!?いきなり何だ、こr(ピチューン

そして時は経ち、5年以上の歳月が流れる。

彼は聖という名前を与えられ『上白沢 聖』と名乗るようになっていた。

決して悪魔の子ではないという意味を込めて慧音はその名を授け、すくすくと育っていった。

何もできなかった赤ん坊は歩き回れるようになり、薄暗い書庫の中で歴史書を読み漁るようになっていた。

書庫を見つけた時の喜びが天にも昇る、というよりこいつは歴史書を読めればどこでも生きていけるだろう。


「まぁたこんなところで読み漁ってるの?」


書庫に声が響き渡り、浅黒い肌をした少年は振り向くと、そこには紅白のリボンをした銀髪の女性が右手を腰に当てて、左手から火を放ちながら呆れたようにそう言った。


「あぁ、妹紅姉ちゃん」


「『あぁ』じゃない、目が悪くなるぞ?」


「残念、暗いところでの読書自体はそのまま目が悪くなるという結果にはつながらないんだ!」


その瞬間書庫にスパァンッと景気の良い音が響き渡り、聖は涙目で頭を押さえていた。

腕を組んで妹紅は一息つくと、外を指さす。


「慧音が呼んでるんだよ」


「母さんが?」


「あぁ、だからさっさといくぞ」


「うん」


そういって聖は妹紅に手をひかれて外に出る。

妹紅は手を引かれて歩いている聖へと視線を向けると、少しうれしくなって笑みを浮かべる。


「どうしたの?」


気が付けば怪訝な表情を浮かべた聖がいて、妹紅は首を横に振る。


「いーや、なんでもない」


妹紅はそういって過去のことを思い出す。

慧音の家に行ったときに出会った浅黒い肌と銀髪の赤ん坊。

――警戒しないはずもない、慧音は理解者だ、何かあったら護ろうと思い、慧音のそばにいることが多くなり既に五年の日付が立っていた。

妹紅自身、言われても絶対に認めようとしないが、聖に『お姉ちゃん』とよばれたときの顔は緩み切っていた、それほどまでに彼女の警戒は既にほとんどない。

いまだ警戒があるとしたら、慧音が頑なに話さない彼の出生だろうか。


居間へと到着し、中へと入ると、慧音は真剣な面持ちで正座していた。

なんだなんだと思いながら妹紅は座り、聖もすぐに座る。


「聖、いつか言わなければいけないと思ってはいたが、決心は早い方がいいと思ってな、言わなければいけないことがある」


そんな慧音に妹紅と聖は同時に唾をのみ、次の言葉を待つ。


「私と聖は血のつながりがない」


「……あ、うん」


「なんだそりゃ」


シリアスな雰囲気はどこにいったのだろうか、拍子抜けしたように彼らはそう言い放ち、正座した足を投げ出した。

困惑するのは慧音ばかりである。


「いやいや、知らないと思ってたのは慧音だけだって」


「い、いやでもな、銀髪とか一緒だし」


「いやいやいや……そういうんでもない」


「うん、わかりきっていた」


そう聖が締めくくると、慧音は机へと突っ伏して息を思いっきり吐いた。


「わ、私の、私の決心はどこへいったんだ」


小声で泣きそうになりながらそう言い放つ慧音に聖は苦笑しつつも、言葉を続ける。


「といっても、慧音母さんは血のつながりがなくても大切な母さんだけどね」


その瞬間、カチンと慧音が固まった後聖へと顔を向けずに背を向ける。


「……ちょっと、待っててくれ」


そういって顔を下に向けたまま外へと出ていく。

ふすまをキチンを占めたというのに、ふすまの向こうからすすり泣く様な声が聞こえるのを聞いて、妹紅は苦笑いをする。


「慧音のやつ、そんなにうれしかったのかね」


「いや慧音母さんも妹紅お姉ちゃんも大切な家族であることは当然でしょ?」


慧音には家族の上に命の恩人であることがプラスされるために、愛情や大切にしたいという気持ちはそこらの家族の数段上に位置されるであろう、反抗期はおそらく一生来ないだろう。

『大切な家族』そう平然と言い放つ聖にカチンと妹紅は固まった。

まさしく先ほどの慧音とのデジャヴを感じるが、妹紅は赤面して考える。


「お、おう」


考えて考えて、やっと出てきた言葉がその一言だった。

頑張って考えたのに、その一言だけだった。

頭をひねって考えてみるが――それ以上出てこない。

ダメだ……そう妹紅が考えていると、泣いていた慧音が戻ってくる。

眼は真っ赤で、目の周りが赤くなっている。


「涙はちゃんと拭けよ」


「な、泣いてなんかいない!」


分かりやすい嘘だ、ここまでくると足掻きみたいなものだ。


「それで母さん、これで終わりなの?」


「い、いや、まだだ……聖はもうすぐ6歳になるよな?」


「うん、二週間後だね」


「寺子屋で授業を受けてみないか?」


「嫌」


沈黙が訪れる、聖は沈黙する慧音を余所に言葉を続けることにする。


「だってたまに除くと物凄い詰まらなそうというか――」


そう言葉を続けて止めた、……目の前の母さんが物凄い悲しそうな顔をしているのだ。

そして無理やりな笑顔と、こぼれ出る涙と共に


「あはっ、そ、そうかぁっ私の授業はあははっいやかぁ、そうかぁ……あははっ」


「わ、わぁい!慧音母さんの授業楽しみだなー!超受けたい!」


「い……いやいいんだぞ?ひぐっ無理しなくて……」


「何言ってんだよぉ!母さんの授業なんて最高じゃないかァ!」


「そ、そうか……?」


泣きそうだったのに次の瞬間嬉しそうに笑みを浮かべる慧音と、必死で体で喜びを表現する聖。

そこに第三者である妹紅はこの二人を評する。


「どっちが親だかわからん」


この一言に付きる。

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