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人里潜入・前

初期。

ハーレムにしよう

主人公最強にしよう!どっかーんでぼっこーんだ!


現在

ハーレムかー、できそうな気がしてきた!

主人公最強?最強だけど、最強の力使うことないなー。

この主人公、主人公しないし


おおむね良好(震え声

「お、終わった……」


ため息をついて、掴んでいたスコップをその場へと突き刺すと、花壇へと腰かける。

空を見上げると、大きな満月――とはいかないが、巨大な月が紅魔館の前にある庭園を照らしていた。

自らの妖力を探る――、影響は受けて入る、しかし最初のころのように倒れるものではない、微々たるものだと言える。

暴走することもない、遂にここまで来たのだと拳をつくり強く握り締め、そしてそれを月へと突き出した。


「……?」


その時だった、ふと気配を感じて視線を門へと向けると、いつのまにか見知った顔があった。

狐耳と、九本の尾、こちらが気づいたことに気が付くと、ゆっくりと礼をしてきたので、思わず礼を返す。


「久しぶりだ」


「えぇ、お久しぶりです、藍さん――そういえば橙ちゃんは?」


「今日は連れてきてないんだ、無事力を得られたようなので、おめでとうと言いにくる用事だったからね、――おめでとう」


「ありがとうございます」


耳が速いと驚きながらも、祝福の言葉に礼を返す。

――そして沈黙が訪れる、夏の虫の音色だけが響きわたる。


「そ、その、よかったな、これで人里に行くことは許可されるだろう」


そんな沈黙にいたたまれなくなったのか、藍さんは思いついた言葉をそのままにする。

祝福なわけなのだが、苦笑いを浮かべるしかなかった。


「その、微妙なんですよね、やってしまった後の話しなので」


その言葉を聞いて、少し考えた後にスグに気が付いた。

――何をいっているんだ、私は。

そう自ら言った言葉を後悔する。

人里は妖怪の出入りは自由だ、それは人を無暗に傷つけないこと、傷つけた場合に聖の母である慧音、博麗の巫女、最悪八雲紫又は八雲藍が問答無用で退治されるからこその自由だ。

力をもつということは、拒否される理由にはならない。

――しかし上白沢聖は、既に人里へと被害を与えた加害者、入れはすれども良い眼ではみられない。

そして彼の母である二人は、一人は里の代表、もう一人は人だ。

人の目を気にせずに突入することは、彼の性分からしてもできないだろう。

そもそも落ち着いた人里をさらに不安定にしたくはない。


「……変装」


「え?」


「変装は、どうだろう」


それでも少しでも叶える方法はないだろうか考えて、一つの単語が生まれた。

変装して潜入する、主である八雲紫が読んでいた本にそんなものがあったはずだ。


「魔術や妖術だと探知される恐れがある、しかし聖の肌はかなり特徴的だ、生半可なものではバレてしまう恐れがある」


特徴的な肌、銀色の髪、髪は染めてしまうこともできる。

彼の肌は、人の体なのに妖怪の力を持ってしまったことによる影響だ。

つまりは妖怪の力をどうにかすれば肌は普通の人間くらいになる。


「妖力の封印、もしくは影響が出る前に無効化するものを手に入れるのはどうだろうか、幻想郷は妖怪がいるのが常識だ、当然妖怪に対する道具を持つのも珍しくは無い、聖くんの肌はかなり特徴的だし、通常の色になるだけでも誰だか判別しにくい――」


そう言い放ち、聖をみる。

目を丸くしていた、……自分がヒートアップしていたことに気が付き、少し気恥ずかしさを感じる。


「……その、すまない」


頬を掻きながら謝ると、ハッとしたように聖は顔を左右に振る。


「いえ、考えてもらってありがたいです――そうですね、そうなると香霖堂、だったかな、明日にでもいってみます」


魔理沙が確か、「こーりんがお店始めたんだ!」といっていたのを思い出す、やりたいといっていたのは記憶に有るので、後で何か持っていかなければと考えていた、この機会に利用させてもらおう。

そう聖は考えた後に、自分の能力が反応するか否かが微妙であろうことに気づく、……かなり微妙なところだ。


「……あの、ありがとうございます、異変前も気にかけてくれて」


「――あぁ」


「その、何でも言ってください、お礼したいので」


「いや」


必要はないと言おうとして止まる。

一つ、思いついた。


「握手してくれないか?」


「……へ?」


意外な要望に素っ頓狂な声を上げて藍をみるのだが、視線は冗談を言っているようには見えなかった。

疑問符を浮かべながら聖は右手を差し出すと、両手で包み込むようにぎゅっと握り締められる。

ドキリと、聖の思春期ボディがその柔らかさに反応するが、それを振り払う、お礼だというのに何を考えているんだ俺は、頭を壁にぶつけたくなるのを抑えながら、聖は藍を真っ直ぐと見た。

撫でるようにして手を触れる、――握手なのか、これは。


「――あぁ」


思わず藍は感嘆するような声を上げた。

触りながら感じる、この手の持ち主がどれだけ努力してきたのかを。

ペンだこのようなものは勉強をしてきた印、手の甲や手のひらもまんべんなくボロボロで、皮が厚く硬い。

火傷のあと、料理や紅茶をいれたときだろうか、手を切っている、これは料理だろう。


「……どうかしました?」


ペタペタと触れ続ける藍へと怪訝そうに問いかけるが反応は無い。

――腕は太く、強い弾力をもつ、筋肉で構成され、脂肪が少ない。

力強さを思わせてくる、二の腕へと触れると、二の腕も軽く触っただけで筋肉が盛り上がっているのがわかる。

肩の筋肉も分厚い、通常そこまで使う筋肉ではないからこそ、鍛える努力がうかがえる。


「おーい、藍さーん?」


――気づけば、いつだっただろうか。

彼を見る理由が罪悪感だけではなくなっていったのは。


「――執事にセクハラは辞めていただけますか」


ピクリと藍の耳が動き、顔を声がしたほうへと向ける。

咲夜が軽い軽食を載せた銀のトレイを持って佇んでいた。


「なんだ人聞きの悪い」


素の一言だった。

聖の腰に手を当てている女性の言うことではない。

呆れたように咲夜はため息をついた。


「何をやっているのか、わかってます?」


「え?」


前を向いて、このときはじめて自分がやっていたことを理解した。

セクハラである、完全にセクハラである。

見上げると苦笑いを浮かべる聖がいた。

顔が面白いほどに真っ赤に染まっていくのを聖はみた。

次の瞬間、八雲藍は夜空に消えていった。


「……聖も拒否しなさい」


ジト目で睨む咲夜の視線には気づかず、聖は顎に折り曲げた人差し指を当てて何かを考える仕草をする。

そして答えが出たのか、空を指さし


「……筋肉フェチ?」


「次に会っても言わないほうがいいと思うわ」


たぶん、泣くと思うわ。

額に手を当てながら呆れたように言い放つその言葉に、聖は「フェチなんて知られたくないですものね」とズレた回答をした。








「あ、これお祝いの品です」


「これはどうもありがとう――しかし大きくなったね、聖君」


「まだ伸びますよ!」


久しぶりの男同士の会話をする、ここは香霖堂。

森近霖之助の開いたお店である、出店場所は魔法の森近く。

店内店外ともによくわからないものが置かれている。

剣が置いてあったり、時計が置いてあったり、ティーカップが置いてあったり、パソコンがおいてあったり、誰か持ち主が倉庫において、忘れてしまったのだろうか。


「おや、美味しそうなケーキだね」


「野郎の作ったケーキで申し訳ないですけどね」


「ははは、いいお茶があるんだ、入れてこよう」


「それじゃあ切り分けておきましょう」


魔理沙が良く来るらしいし、あとは魔理沙に食べてもらおうか、と思いながら包丁でケーキを切り分け、皿へと盛り付ける。

すぐに霖之助がお盆にお茶をのせて持ってくる。


「それで今日は他に何か用事があるんだろう?」


ケーキを食べながら霖之助は聖へと問いかける。

聖はケーキを切りながら言葉を返す。


「わかりますか?」


「周辺をキョロキョロしてるからね、好奇心というよりは何かを探しているといった感じだったからね」


「えっと、妖力を無効化するようなものってありますか?」


ダメでもともと、といった感じで聞いてみる。


「あるよ」


しかし返答は軽い感じであると告げられた。

驚いて顔を上げると、霖之助は店の奥に消えると一本の刀を取り出す。


「儀式用の刀で、邪気を払う剣だ、儀式用とはいっても、普通の刀より少し脆いくらいで、切れ味は十分につかえる」


差し出された剣を攫む。

能力的には通用しない程度の能力なので、侵さない限りは影響はない。

能力を抑えながら感覚を研ぎ澄ます――。


「……変化がわからないんですが」


「腕をみればいいんじゃないかな、というかおもしろいね、肌が普通の人間くらいになってるよ」


「うおっ本当だ!」


剣を握る腕が肌色へと変貌する。

俺の能力の影響は受けないのだろうか、


「恐らく妖力のみを遮断しているから、かな」


「それはどういう……?」


「妖力そのものは外付け扱いになっているんだと思う、このパソコンでいうなら本体が君で、妖力はプリンターみたいな感じかな」


パンッと分厚いかなり昔のパソコンを叩く音が響いた。

「結局のところ能力によって生み出したものを体に入れているだけなのだから」と続けて、プリンターとパソコンが繋がっているコードを引っこ抜く。


「剣はそれを邪魔するように差し込めばいいのさ」


「妖力は体の一部では……?」


いや、違うか。

即座に言ったことをそのまま否定する。

俺の肉体は人の肉体に妖力があるから変貌しているのだ。

つまりは俺は人ではない力を持つ人。

妖力云々は能力により発生している。

――とにかく、良いものが手に入った。

財布を取り出してみる、たぶん払える……はず。

執事としての給料はもらっている、咲夜さんはすでに家族みたいなものなので、言えばもらえるようになっているが、俺は結局は外から来てるので渡されている。

使うことと言ったらたまに何かを作りたいと思った時に咲夜さんに、屋敷での料理と追加で注文するくらいだ。

それでも迷惑だろうからほとんどやらないために、給料はほぼ残っている。


「そうだね、お得意様になりそうだからお安くさせていただこう」


そういって金額を提示する。

おぉ――やす、いのか?

前世でノートパソコン一台分ぐらいの価値だろうか。

財布から取り出して支払う、いや、ひと月の給料より安いのだから、良心的な価格だろう――な?

剣と共に鞘をおまけとして渡され、それを腰へとさす。


「……霊夢や魔理沙もちゃんと支払ってくれると嬉しいんだけど」


「払ってないんですか?」


「ツケだね、ツケ、払わせるつもりだけど、言うとふてぶてしく「ないわ」やら「いつ払うかはいってないぜ!」だ」


「はは、ははは……」


苦笑いしか浮かんでこない。


「僕としては聖くんが肩代わ「染髪するやつありますか?」……あるけど」


やばいやばい、言い切る前に差し込めた。

霊夢と魔理沙のツケを払うために給料が吹っ飛ぶのだけは阻止せねば。


「染髪して、洗えばすぐに落ちればいいのだけど」


要望をいってみるが反応は思わしくない、さすがに無理なのだろうか。


「黒髪のままじゃダメ……だろうね」


黒髪

浅黒い肌

黒い執事服

黒い靴。

びっくりするほど真っ黒だ。

剣を常時持つわけにもいかない、妖力を無効化できるということは、レミリア様にも有効だ、こちらが何をするつもりはないということは知っているだろうが、いい気分はしないだろう。


「魔法でどうにかならないのかい?見た目だけでも黒くみせる魔法とか」


「うぅん、パチュリー師匠に聞いてみます」


「うん、それがいい」


「あ、もうすぐレミリア様が起きる時間ですね、今日はありがとうございます」


咲夜さんが時を止めるのを二回したのを感じ、まもなく時間だと理解し礼を言って去っていくことにする。

霖之助は去っていった聖の背中が消えるまで見送り、「霊夢と魔理沙も彼位ちゃんと客として来てほしいなぁ」と願望を口ずさむ。

そんな未来はやってこないことは、彼自身が良く知っていた。


パチュリー師匠が一日でやってくれました。

剣を握り締めて、髪を黒に染め、鏡を通して自分の姿をみる。


「誰だこいつ」


切れ長の瞳、執事服、そして刀。

なんだろうか、執事服と刀のミスマッチ具合。

しかし、俺はわからないがバレないものなのだろうか。

みんなにみてもらってわからなければ確実だろう。

それでわかるとわからないが別れた場合霊夢と魔理沙にみてもらおうか。

そう考えながら、執事としての業務を終わらせようと外に出た。

出会った瞬間に咲夜さんにナイフを投げられた。


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