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紅霧異変・前

前・中・後で終わります。

文字数6000文字以上、ワードでは10ページくらいの規模。

東方異端録のほうがよくね?って言われた


いえーい!三時間後ぐらいに読み直したら脱字と意味不明な日本語を見つけた!

眼下に広がる、鬱蒼と生い茂る木々。

時刻は夜なために広がる木々は月明かりのみに照らされて、夜の海の様に暗く、底が見えない恐怖を感じさせる。

そんな真っ暗な魔法の森上空を、霊夢と魔理沙はパタパタと風を受けて揺れる衣服を軽く押さえながらも、視線は真っ直ぐと広がっている紅い霧をしっかりと見据えながら空を飛んでいた。

待てるだけは待ったのだ、人里への、つまりは作物といった人の利用する自然への悪影響がでる一歩手前まで彼女たちは待っていた。

霊夢の弟弟子であり、魔理沙の幼馴染の少年が、この異変を止めることを。

しかし彼は動かなかった。

いや――動けなかったのであろうというのが、霊夢と魔理沙が考えだった。

『聖』というものは、二人ともよく知っている。

常識人的だが、中々にずれた思考を持っており、何を言われようとも諦めたようにしているが、意志は頑なに曲げようともしない、頑固な少年だ。

だが、そういった性格の分析など霊夢と魔理沙の、聖は動くという確信への理由の一片ですらないが。

彼女たちにある聖への信頼はただ一つ。

聖はマザコンである!

彼の母親の一人は人であり、そしてもう一人は人里の中心ともいえる人物だ!

母親が危険に晒されているのに動かないわけない!

マザコンだし!大切なことなので二度言いました!


「面倒ね」


「それは巫女としてどうなんだ?」


「面倒なものは面倒なのよ」


憮然として言い放つ霊夢に、魔理沙は苦笑いを浮かべて言葉を返し、また同じ言葉が返ってくる。

心底面倒臭そうだ、博麗の巫女は異変解決で生計を立てているって先代様から聞いてたけど――と、考えて、魔理沙は思考を中断した。

彼女の思考を全てぶった切った言葉はただの一言だ。

『まぁ、霊夢だし』


「……何かイラッとしたわ」


「まぁそれは置いといて、だ」


霊夢の直感の鋭さに少し背筋が冷える感覚が起こり、魔理沙は話を急転換させる。


「今からカチコミにいく、紅魔館っていうのは、どんな場所なんだ?」


カチコミってヤクザじゃあるまいし、と霊夢は思ったが、それについても、紅魔館についても何も言わなかった。

内情については聖が一番よく理解しているだろう、私は聞いた話が殆どだし、聖が紅魔館の話をしているのだとしたら、そちらのほうが信憑性が高い。私がそれについて語れば私的なものも入ってきてしまう。

そう考えた霊夢は魔理沙へと逆に問いかける。


「聖に聞いたことは無い?」


「一度聞いたことはあるぜ」


「なんていってたのよ?」


「……運命を操って山一つ軽々しく吹き飛ばすとんでもないヤツと、知識が無茶苦茶デカイ図書館一つ分ある奴と、殴るだけで木を消滅させるやつと、時を止める奴がいるって言ってたな」


主は吸血鬼だ、その程度は予測していた。

魔法使いもいたはずだ、大きな図書館一つ分の知識はあの魔法使いだろう。

殴るだけで木を消滅させる、恐らくはあの門番だろう、肉弾戦が得意だと聞いた。

母さんと殴りあったこともあるらしい、今回は弾幕勝負だ。

肉弾戦は素人ではないが、あの母と殴りあうヤツとは今すぐ戦いたくはない。

あとは時を止める、――恐らくはあの小さな少女だ。

咲夜、といっただろうか。

人であったはずだ、人であるというのに時を操るという、世界そのものを掌握しかねない能力を得ていることに少し驚いたが、対処方法は考えればでてきた。

そういえば聖が『何この魔の巣窟』と今更なことをいっていたことがあったが――説明を聞いて霊夢でさえも、あぁとんでもないやつらがいたもんだなぁと思った。

まぁ負けるつもりなど一切ないが。


「聖の言葉は大よそ正しいと思うわ、母さんから聞いた言葉にも当てはまる」


「――そうか、腕が鳴るな」


口では強がってはいる魔理沙だが、緊張しているということは、その言葉の節々から感じ取れる、声も震えてるし、少し顔もこわばっているようだ。

このスペルカードルールをもってしての初めての異変だ、そして同時に魔理沙の本格的な戦いの初回でもある。

緊張することは当然であるし、霊夢であっても全く緊張していないということはない。


「さっさと異変終わらせて、家に帰って寝ましょうか」


そう霊夢が虚空へとそう言うと、視界の端に金色の何かが見えて、思わずそちらへと視線を向ける。

月明かりに照らされて、キラキラと幻想的に光るその金色は、金色の髪だと理解した。

こちらへとゆっくりと近づいてくるそれには、魔理沙も気が付いたようだ。


「ルーミアだ」


そう魔理沙はそれをみていった。

霊夢はルーミアという名前の既知感を感じ、思い出してみる。

すると、闇を操る妖怪だと、嘗て聖と共に教えられたことを思い出した。


「どんなやつよ?」


「変人だな、一日中空にぷかぷか浮きながらボーっとしてるよ」


「変人ね」


「魔理沙ほどじゃないけどねー」


「そうね」


「そうねってオォイ!何ナチュラルに会話に入ってきてるんだ!?」


「妖怪が会話に入ってきちゃいけないなんて常識はないわよ」


「いや、まぁそうだけどな……巫女がそれを言うか……というか、私はそんなに変人か?」


「将来を約束された商人の一人娘が、魔法を覚えて一歩間違えれば死ぬであろう場所へと突撃してきた――」


「すいません、変人でした」


もう何もいえねぇと魔理沙は心の中で泣きながらそう言った。

しかし変人であろうとも間違ってはいない、私は霊夢や聖と一緒にいたい。

護られているだけじゃ満足できない、彼らの横に立ちたいと願ったからこそ私は今ここにいる。

だから――


「私は変人と言われようとも強くなり続けるぜッ!」


「魔理沙、魔理沙」


「なん――だと」


なんだルーミアと聞こうとしてルーミアのいる方向を見た瞬間、魔理沙は愕然とした。

ルーミアのいる方向、その背後、黒髪の紅白巫女が背中を小さくして言っているではありませんか。

自分の宣言なんぞなんのその、もうなんだこれ、と魔理沙は愚痴を頭の中で吐き出しながら後日絶対に面倒事を引き起こしてやると心に決めた。


「ねぇ魔理沙」


「ん、どうした?先を急ぎたいんだが――」


「弾幕勝負、する?」


そう言われてみて魔理沙は考える。

緊張している現状、相手は力関係からすると格上。

弾幕についてはわからないが、戦闘経験は相手の方が多く積んでいる。

万全の力をだせなければ、勝てないだろう。

だからこのルーミアの提案はちょうどよかった。

時間は遅くなるだろうが、それでも必要なことだ、そう考えられた。

八卦炉を構える。


「それじゃあいくぜ!」


そう魔理沙が宣言した瞬間に、ルーミアは人差し指と中指で挟んだ一枚のカードを顔の前へと持っていき、宣言する。


「月符『ムーンサイドレイ』」


その瞬間、月明かりにより照らされた夜の暗闇よりも黒い、霧のような妖力の奔流がスペルカードを中心に渦巻き、カードへと収束し、一体化する。

そして、光が瞬いたかと思うと、ルーミアの左右へと、光の塊――だろうか、光の球が構成され、魔理沙とは少し離れた場所へと、光の球は太い光線を放ち、その光を途切れることなく、挟み撃ちをするように近づいてくる。

その二本の光を、ルーミアから打ち出される小さな光の球を横にくるり、と一回転しながら捌いて回避、そこから魔理沙はおかえしだとばかりに一枚のスペルカードを取り出し宣言する。


「魔符『スターダストレヴァリエ』」


マスタースパークは霊夢と聖の前に盛大に使ってやるぜ!そう考える魔理沙の口の端は吊り上り、今までの緊張は段々と消えていくのを感じていた。



―――ふぅ、と一息つく。

そこには諦めや疲れと言ったものは乗っておらず、聖は目をすっと閉じた後にゆっくりと開けて、辺りを見回した。

灰色の結界に包まれたこの場所は紅魔館の地下、結界越しに紅い壁が見える。

その空間に扉は有らず、そのかわり上を見れば、はるか頭上に穴が開いていることが見える。

まぁ簡単に説明すると落とし穴にはまったような感じだ。

幾度となく繰り返していたことではあるが、今一度結界の動きを見るために、聖は結界の前へと立ち、能力を発動する。

『常識や概念が通用しない程度の能力』この能力を結界へと適用する。

結界というものは複数の術式によって出来上がっている、どういったものを拒否し、どういった攻撃に強い、そういった属性を合わせて出来上がっている。

そのうちの一つを変化させる、そうすれば一気にエラーが起こり、結界としての機能が消えてしまう。

結界はシステムであり、システムとは相互に影響しあう複数の存在から成り立つものだ。

生前では、まぁ歴史上の出来事を調べるのには図書館へ行くよりは確実に早いために、探し物をするための手段でしか使ってはこなかったが、コンピュータしかり、組織的なものしかりを想像すればわかりやすいだろう。

どれか一つでも起こせば、求められる結果を出すことはできなくなってしまう。

エラーが引き起こった結界へと侵入し破壊する、魔力で作られた結界がまるで灰色のガラスのように辺りに散らばり、地面へと落ちるとすぐに紫の霧――つまり魔力へと変わった。

これで終わり、なわけもない。あのパチュリー師匠の結界だ。

その瞬間に新しい結界が構成されている。

どうやらこの結界は壁に構成されている術式によって造られている。

そしてその術式は結界の破壊を感知すると即座に結界を作り出すわけだ。

うーん、ふざけてるだろこれ、空間転移とか時を停止させるとかしなきゃ出れないぞ。

結界は強固、ただの攻撃じゃビクリともしない。

一枚を破壊する威力なら作り出せるだろうが、破壊した瞬間に第二第三の結界が現れ護ってくる。

壁までの距離は数メートル、最も早い一撃を放ったとしても、これは何枚破壊しなければいけないのやら。

速さに固執すれば威力が低減する、威力に固執すれば大量の結界が待っている。


「どうすればいい」


そう言葉にした時、師匠から言われた言葉が脳裏によぎった。

『最強の力』――そう、それならばこの状況を打破することもできるのではないか。

キッカケさえあれば、たどり着くとパチュリー師匠も美鈴師匠もそういっていた。

――キッカケとはなんなのだ。

己の内に眠ることは理解している、ならばそのキッカケは己の内にあるものだろう。

地面に胡坐をかいて、腕を組んでから目を瞑り、思い出すことにする。

記憶ある中の過去をさかのぼる。

一冊の歴史の本との出会い、歴史に魅了されたこと、そして大学受験。

そこから死に、この幻想郷に来たこと。

努力して、友達や姉弟子を得て。


――そして、暴走して。


「……暴走」


思い出したくはないことだ、しかし逃げてばかりでは何も進展などない。

妖力により思考を奪われ、妖怪へと変貌しかけた。

八雲紫様の能力を力技で行使し、人の形へと戻した。

暴走した自分が繰り出したという一撃の痕は後に見に行った、人里の人々にばれないようにではあるが、その一撃をみたとき愕然とした。

――まるでそこが元々そうなっていたかのようだった、爆発したとかそういうレベルの話ではなかった、丸く抉られていた、大きな箱に入ったアイスクリームをディッシャーにより抉り取ったかのようだった。

破壊ではない、それは消滅と言えた。


「――妖力」


暴走したということは紅魔館の人々もしっている。『知っていて迎え入れた』のだ。

己の中に眠る妖力、暴走、それを受け入れてくれたというのに何を縮こまっているのだろうか。

手のひらを視界の中心へと持っていき、返して手の甲を見る。

浅黒かった、それが妖力による影響だ。

――そう、“これ”が受け入れられている自分だ。

受け入れられているものから、これであることから逃げていた。

逃げることに関して良い感情も悪い感情もない、しかし、目標であるものを達成するには必要なものだった。

目を瞑る、その瞬間聖の体の薄黒さが、一層濃くなっていった。




青い髪と氷のような羽をもつ、この氷の妖精は自らの名前をチルノといった。

霊夢が霧を無くすために、この異変を無くすために行動しているといった瞬間、明確な敵意を感じられたが、その炎はすぐにしぼんでしまった。


「――聖がこない」


「聖を知っているの?」


「紅魔館から帰るときや、時間が開いたときはお菓子を持ってきてくれたり、遊んでくれたりする」


霊夢はその言葉を聞いたとき、ふいに笑みがこぼれそうになった。

己のしらない上白沢聖がいた、料理なんて少ししかできなかった彼が、お菓子を作っているということに心が沸き立つような喜びを感じる。

脳はまだ冷静ではあったために、チルノの言葉から監禁に近い状況になっているという確率が高いことを分析していた、が。


「待っていなさい、聖は弟弟子だから助け出すのは頼りになる姉弟子の役目なのよ」


そう言い放つ霊夢は腕を組んでいた、ぶっきらぼうだが優しさを感じさせるその言葉に、チルノは顔を上げて霊夢の顔を見た。

優しい笑みを浮かべていた、それでいて頼もしかった。


「助け出したら、聖に無理にでも美味しいお菓子を作らせて届けさせるわ」


「――うん」


チルノは嬉しそうにうなずいた後、少し待ってと霊夢に言った後、どこかへと飛んでいき、数分で戻ってくる。

彼女の右腕には白い――半球体の物、霊夢にとってはなじみないものだが、アイスクリームというものを差し出した。


「聖が教えてくれたお菓子よ」


そう言われて、受け取る、備え付けのスプーンですくい取り、口に入れる。

口内の温度で溶け、とろけるような甘みが口に残る。

冷たいのだから、恐らく作る工程には冷やすという方法がある、氷の妖精の得意分野だろう。


「すごいじゃないの」


そう霊夢が言うと、照れながらも誇らしげにチルノは笑う。

チルノは妖精の中でも異様なほどの力の持ち主だ。

下級の妖怪でも倒せる程度の力を持っている、それはある意味恐怖の対象にもなりやすい。

そんな時聖はアイスクリーム作ってあげりゃ親しみ湧くんじゃない?という突発的な思考で、まだ見習いのため、少ない給金を使って材料を買ってきてもらい、彼女へと作り方と共に渡した。

結果的にチルノの周りには、たくさんの妖精がいるようになった。

その話を拙いし、所々抜けているが説明した後にチルノは頭を下げた、霊夢はそれにうなずきを返して、紅魔館へと飛んでいく。

食べ終わり、空になった器を懐にしまいこむ。


「さて、さっさと助けるわよ」


氷の妖精にとって、今の状況は変えたくない状況だろう。

それでも彼女は霊夢を通した、それが何を意味するかは想像に難くない。


「――心配させてんじゃないわよ」


そう言った霊夢は先ほどよりも真剣な表情で、前を見る。

紅魔館の門が見えてくるところまで来たとき、霊夢は視線の先に停止している女性を見る。


「門番!」


「お久しぶりですね、霊夢ちゃん――いえ、霊夢さんですかね」


「霊夢でいいわよ、門番」


「それでは霊夢と、綺麗に成長しました、聖くんもびっくりするのでしょうね」


「御託は良いわ門番、貴方は首謀者側でしょう?」


「そうですね」


そう言い放つと、スペルカードを取り出して――宣言する前に止まる。


「始める前に一つ」


「何よ」


「……私の名前はなんでしょう?」


「……」


「……」


沈黙という弾幕が紅美鈴の心を抉った。


初期『紅美鈴との戦闘シーンいれよう!』

現在『オチができた!紅美鈴の戦闘シーン省略しよう!』


紅霧異変・中の始まり方は。


紅い霧が先ほどよりも赤く見える、恐らくは陽射しが出てきたのだろう。

霊夢は少し息を荒くしながら、目の前で少し焦げた服を気にする紅美鈴を見る。

弾幕勝負は私の勝ちだ、ルール上では確かにそうだ。

しかしこれが殺し合いであれば、こちらが勝っていたと考えられなかった。

弾幕勝負はぎこちなかった、恐らくは得意ではないのだろう。

しかし彼女は戦闘経験の豊富さにより、その不得意を覆い隠せるほどの戦略があった。

息も落ち着いてきた霊夢は、さっさと異変を終わらせようと門を抜けようと動き出すと、背後から風を切るような音が近づいてくるのに気が付いた――。

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