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捨てるものと拾うもの

日常編→修行編→日常編→異変編→日常崩壊→少女の決意→日常構築→異変編→日常編

明治時代らへんの雰囲気を持つ街並みに雪がちらつく。

突き刺さるような寒さに、裸の生まれたばかりの彼を乱暴に掴み、男は暗い夜道を走っていた。

こ、これは明治時代らへんかっ、これはもしかしてタイムスリップ!?いやタイムリープ?いやどっちでもいいかすげぇ!と、通常ならば彼は考えるのだが、それすら考えられないほどに彼は焦っていた。

自身がもうすぐ捨てられることはわかっていた、言葉こそないが、状況からしてそうなるだろう。

抵抗は既にした、赤ん坊の力では男を引きはがすことなどできなかった。

いや――引きはがしたとしても、この体でどういきればいいというのだ。


「……何をしているんだ」


しかし、そんな彼に一点の光明を指すように、声が聞こえた。

声の方向へと視線を向けると、そこにいたのは銀髪の女性だった。

睨みつけるように父であろう男性へと視線を向けている。

父から唾を飲む音が聞こえる、父を見ると冬の、それも雪が降っているというのに大量の汗をかいていた。


「けっ……慧音、先生」


慧音と呼ばれた女性と明治時代の町の風景。

日本だということが良くわかるが、何故目の前の人物は銀髪なのだろうか。

髪染めの歴史は古代エジプトへとさかのぼり、日本では髪染めの原型は確かに明治時代にはあった。

おかしなことをみると、すぐにその歴史について遡ってしまう悪い癖が発揮され、思考が横道にそれている彼を余所に、話は広がって行った。


「その子を、どうするつもりなんだ」


質問ではなかった、言えという命令だった。

その言葉で水風船が割れるように、父から言葉が吐き出されていく。

自分の親も妻の親もこんな肌の色をした男性もいない、そもそもこの街にこんな容姿をしたものはいない。

だというのに何故こんな化け物が生まれたのか――この子は妖怪なのだと叫ぶ。


「だから捨ててしまえ、そういっているのか?」


「こんな子供が産まれたと知られたらッ立場が危うくなってしまう!仕方ないじゃありませんか!」


されど声が低く、尋問のように言葉を発する慧音さんに、父は何故わかってくれないんだと言わんばかりにまくしたてる、しかし視線は厳しくなる一方だ――となったとき、慧音さんは静かに目を閉じ、一息を付く。


「知られなければいいのか?」


「え、あ――そういっちゃ、そうなんですが――」


声を駆けながら、一歩、また一歩と父へと近づいてくる。

父は問いかけに必死に思考を回しているせいか、近づいてきていることに気付いておらず、気が付けば――慧音さんの腕の中に抱かれていた。


「な、なにをしているんですか!」


「ならば、私が育てる」


「悪魔を育てると!?それは化け物だ!今すぐ殺してしまわなければいけない!」


父が叫んでいる、しかし慧音さんはその言葉に返答はしなかった。

父に背を向けて歩き出す、包み込むように抱き寄せて、刺すような寒さはかなり和らいでいた。

ゆっくりと歩きながら、時節こちらへと視線を向けて微笑み、頬を軽く押す。

思わずそれを掃ってしまったが、慧音さんは嬉しそうに笑った。


「これで大丈夫だろう、君について言葉にすれば何故知っているのかと墓穴を掘りかねないから、しつこくまとわりつくこともない、もう安全だ」


家へと到着したのだろう、玄関のドアをあけて、家へと入る。

囲炉裏へと火種を入れて、慧音さんは静かに俺を下へと下した。


「これで――」


……沈黙が訪れる。

父がかいていた量の冷や汗が慧音さんから流れていた。


「……赤ん坊何てどうやって育てればいいんだ!?」


頭を抱えて慌てたように立ち上がり、周りを右往左往している。

……あぁこの人ダメな人だな。

そう思いながら、眠気が訪れていく、安心して疲れが押し寄せてきたのだろう。


「そ、そうだ妹紅に聞こう!アイツなら――いやわからないか……どうすればいいんだ……そうだ、お隣の奥さんに聞いてみよう!」


その後、奥さんに聞いた後に、その奥さんの旦那さんが、「おうおう、慧音さんの父親になる資格があるか、このおれっちが見極めてやるよォ!」といいながら部屋に突撃してくるのは、今から一時間もしない未来の話である――。


何を目標にこの物語を書いているかなんてわかりきっている。

上白沢慧音さんを可愛く書くためだよ!

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