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二人の母親

圧倒的人生経験の無さ故に……主人公の言っていることがよくわからないまま書き進める有様……!

主人公が無責任すぎて笑える始末……!責任感ある行動の末無責任な主張……!

日が昇る、覚醒しているのに、どこかぼんやりとした思考で今日が休みだということを理解する。

ままならないものだ、決心したはずなのにどこか逃げ道を探そうとしている自分がいる。

産みの母と出会う日、己の罪を告白する日。


「……よし、いこう」


自分に言い聞かせるようにつぶやき、腕に力をいれて起き上る。

冷たい廊下を歩き続けて居間へとはいる。


「おはよう、聖」


「おはよう、母さん」


いつも通りの朝の挨拶だが、それに続く言葉は無く、静かに朝食を始める。

カチャカチャと箸がぶつかり合う音だけが響き渡り、いつもより早くご馳走様となる。

そして母さんと共に、産みの母親である女性の家へと向かった。

門は大きく、敷地は広く。

まるで時代劇で出てくるような名門と呼ばる家系の屋敷のようなたたずまいだった。

菱垣翠――それが産みの母の名前だ。

中へと入ると侍女に奥へと通され、広間へと到着した。

心臓の音が響く、ドクンドクンと歩くにつれ大きくなっていく。

広間へと到着すると、少し疲れたような様子をみせる老夫婦がいて、――そしてそこには豪華そうな着物を着ている、ボロボロ、という表現が最適だと思えるほどの女性がそこにいた。

髪はボサボサで目は虚ろ、どこかわからぬ虚空を映している、やせ細った姿をみて、これが自分の罪だと理解して、心臓がキュッとしまるような痛みを感じる、涙がでてきそうだ――泣くわけにはいかない、泣くべきなのは俺ではない。


「それで、慧音先生、今回はどういった要件なのでしょうか、娘に用があるとのことでしたが」


老父は慧音母さんへと問いかける。


「……今回は、この子がお話があります」


そういわれて、一歩踏み出した、踏み出したときに自らの足が、体が震えていることを理解した。

自分の、産みの母――翠母さんへと、視線を向けると、何を映しているかもわからない、虚ろな瞳がふと俺を映し出し、――表情を変えた。

ボロボロになったとしても、聖が父親を見間違うことがなかったように、母は子のことを見間違えることはないようだった。

まさかそんな、そんなわけがない、そういった期待と不安の入り混じる感情に振り回され、表情を変えつづけ、ふらふらと体に力を入れて、彼女は前のめりとなり左手を地について、聖へと問いかける。


「……坊や、坊やの名前はなぁに?」


「聖、……上白沢、聖」


優しげに、儚げに、そう問いかける言葉に自己紹介をする。

不思議な力が、聖を産みの母の遠くへ遠くへと動かそうとする、逃げてはならない、体を前に倒して、両手を前に付く。


「……わた、しは、……私はッ!貴方の子供のッ上白沢聖と申します!本日は貴方に問いただしたいことがあり、このような機会をいただきました!」


言い切った瞬間にどっと疲れが押し寄せる。

勢いに乗らなければ何も言えない自分に嫌気がさす。

それでも、とどまるわけにはいかない。

まっすぐと翠母さんをみる。

その瞳には、大粒の涙が浮かんでいた。


「本当に……?本当なの……?」


やはり、という感情があるのだろう、しかしそれでも不安は残り、藁をもすがる気持ちで問いただしてくる。

止まってはならない、ここで止まったら、勇気を出した意味がない。


「産まれた日、私は異常な能力を発現し、この浅黒い肌を持って生まれ、悪魔と呼ばれて捨てられかけた時、慧音母さんに拾われ、ここまで育ってきました!わ、たしはッ!あな、貴方を不幸にしました!」


思考が上手く回らない、しかしそれのほうが考えずに用意してきた言葉を話していけるようだ。

いままでのこと、能力のこと、洗いざらい話し続ける……さすがに前世は話せはしなかったが。

そして最後に一番言いたかったことを叫ぶように、聖は言い放った。


「私は、俺はっ……死ねと言われようと、死にたくはありません!、慧音母さんの恩に報い、……俺は、大切なものを護るために!、ここまでがんばってきました!、それを水の泡にしたくはありません!、最初は……貴方に、生きていいのか許しをいただこうと考えました、……しかし死ねません!、だから!」


『許してください』そういって土下座した。

何を許してくれなどとはいわない、ただ一言、聖は許してくれ、そう言う。

慧音はその言葉を聞いて、自らのことを考えてくれる聖に、嬉しくもあり悲しくもあった。

子が母へと生きることに対し許しを請おうとしていたことも、今目の前で許しを請うことも、聖を思い切り引っぱたきたかった。

そんな必要はないと、思い切り抱いてやりたかった。

父親の闇は聖を大きく蝕んでいる、それを取り除けるのは張本人である父と――同じ境遇、いや、それよりも大きく被害を受けたであろう母だった。


――パァンと、音が耳へと入り、思考の海へと沈んでいた慧音は驚き、視線を音の方へと向ける。

音源は聖で、音を作り出したのは彼の母親だった。

翠は聖の肩を抱く。


「――どれだけ私を不幸にさせようと、私は貴方の母であり、子は母に迷惑をかけるのは当然です……そして貴方は、今まであなたを育てるどころか一つの愛も与えることもなく、死んだように空虚に生きてきた母へとこうして勇気を振り絞りあいに来てくれた、それだけで、貴方が謝る必要などどこにあるでしょうか」


彼女の頬は涙でぬれていた。

そして、顔は母親の顔だった。


「だから、生きていいかなどと考えないで、許してくれなどと言わないで、貴方は、私の子供です」


その瞬間だった、母親に子供だと認められた聖は、許された聖は、ずっと大人びていて、泣く私を慰めるような子供である聖が子供の用に泣いたのは。

それをみて、静かに立ち上がる。

そして出口へとゆっくりと、しかし急いで自らの家へと歩いていく。

菱垣家をでてから、少しずつ少しずつ足は速くなり、頬を濡らすものも気が付かず。

いつのまにか家へと到着し、居間へと入り、力が抜けたように座り込む。

昼間だというのに、その場所は何故か薄暗く。

何故か、さびしい。


「……昼食を、つくらなければならないな」


いつも通り力をいれているというのに、立ち上がれない。


「う、あ、あぁぁ、あ……あぁ……」


とめどなく涙が流れる、涙が止まらない。

泣き続けて、泣き続けて、もう涙が流れなくなると、少し落ち着いてきた。


「……これで、いいんだ」


虚空に向けられた言葉は、自分に向かっていった言葉だった。

自分に言い聞かせようとしている言葉だった。

しかし、足りない。


「これで、「いいと思ってるのかしら」……妹紅か」


もう一度、言葉を出そうとしたとき、声がかけられる、妹紅の視線は自らを射抜くような視線で、攻めるような諭すような視線だった。


「本当に、それでいいと思ってるのかしら」


「……本当の母親のもとのほうが、聖は幸せだ」


「……もう一度言うわ、貴方は、心の奥底で、聖を本当の母親のもとに向かわせて、それでいいと思っているのかしら、言い訳は良いわ、自己犠牲は時には必要だけど、今はそんなものは投げ捨てなさい、胸に問いただしなさい」


「……」


「慧音!」


「……嫌だ」


「何故?」


「私は、聖は、私の……息子だから」


「だから?」


「聖と、話し合いたい」


「……ええ、そうね、貴方は自分の意見を押し付けて帰ってきたにすぎないもの、最期に決めるのは聖だけどね……さ、いきま「ただいまー」行く必要はなくなったみたいね、慧音ッていねぇ!はええ!」






無茶苦茶話倒された。

翠母さんはとんでもないくらいにここまでやってきたことを話、爺ちゃん婆ちゃんも元気に問いかけてきたために答えるのに必死だった。


「……はぁ」


でもこれ以上ないほどに満足だった。

上白沢家の扉を開ける。


「ただいまー」


昼は食べていかないのか、翠母さんに言われたが、突然いなくなった母さんのことが気がかりなので、足早に家へと帰り、玄関から家へと上がると、奥からドタドタと騒がしい足音が近づいてくる。


「母さん?」


慧音母さんはキキキィーッという車のブレーキ音みたいな音をたてて目の前で停止する。


「聖……あちらの家にいなくても大丈夫か?」


「……いや、俺の家ここだけど、いないほうがよかった……?」


「そんなわけない……聖、おかえり」


「うん、ただいま」


――この一日によって大きく生活が変わるということはなかった。

ただ聖の休暇がほとんど消えるだけだ。

そして休暇は翠母さんの家で魔理沙や友達をよんで遊ぶのが固定化された。

歴史書が読めねぇと聖はたいそう嘆いたという。

なんだよこれぇ、東方要素どこいったんだよぉ!

よし、次何しよう……イベントならまだあるけど、次に一気に進めていいものか、何かしらはさんだほうがいいか。

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