聖の日常、魔理沙のはじまり
だしたかった、でもね
太郎ものすごく書くのめんどくさい
なんだか最近世界が止まる。
何をいっているのかわからないだろうが、俺もわからない。
「あ、咲夜ちゃん、なんか嬉しそうだね、どうしたの?」
「うん、止められるようになったの!」
「……止められるように?何を?」
「時を!」
「へぇ、時が止められるようになったんだ」
それはすごい、最近世界が止まるのは咲夜ちゃんの所為だったの――
「――時をッ!?」
紅魔館が色々と魔の巣窟になってきた。
朝日が昇り、今日も聖の一日が始まる。
キッチンへと向かうと、慧音母さんが料理をつくっていた。
挨拶を交わして洗面所で顔を洗い、居間へと向かい、料理を運ぶ手伝いをしていると、妹紅姉ちゃんが玄関から居間へと入ってきて合流したためにいっしょにいただきますをして、軽く会話を交わした後に朝食は終わり、寺子屋への準備をしておく。
寺子屋が始まる前のニ十分程度前に着席しておく。
「あぁ、太郎か」
「先日いったばかりであろう、太郎は人間界でのかりそめの名前、我が名はスティング・アロー!この魔王ギルレムの宿りし右腕を解放するとき世界は滅びる」
「おはよう」
「人々に生命という名の希望を与えし神々の光に乾杯」
「というか、今日は早いな、何かあったのか?」
「我に生命を与えし者と戦いの矛を交えたり」
「親父さんと喧嘩しちゃったのかー何が原因なんだ?」
「大地に育まれ生命の糧である血に染まりしウィンディーネを宿らすものを聖痕を得たからと言って地獄の窯へと放り込むのだ」
「傷ついたトマトを捨てちゃったのかー、野菜好きだもんな」
「我が糧にする、一片たりとも腐海に落としたりはさせない」
「無駄にはしたくないよな、傷がついても洗って食べれれば食べたいよな」
「聖と邪を背負うものよ、我が信念と同じものを得るとは光栄に思え」
「俺も無駄なものはなくして食べれるものはおいしく食べてやりたいよなー」
「時は迫れり、決戦時に備えねば」
「ああ、用意して来いよ」
そういうと、太郎は自分の席へと向かっていくと、いつのまにか横に魔理沙がいた。
「すごいね、聖って、私太郎のいっていることほとんどわからないよ」
「あぁ、まぁそりゃ、あんな時期があったからな」
「へーそうなんだー」
聖にも太郎みたいなときがあった――
「えっ!?」
「ちなみに半分以上理解してないけどな」
「えっ!!?」
今日の魔理沙は大忙しだ。
授業が終わり、宿題を渡されて慧音母さんが去って行った。
近くの男子、たしか友則といったか、彼が疲れた表情でこちらへと近づいてくる。
「なぁ「無理だ」早ッ!?まだ何も言ってないよ!」
「たぶん、『慧音先生の授業おもしろくできないのか?』だろ」
「まぁそうだけど」
「言いかけるだけで泣きかけるので言えません」
一度言おうとした時を思い出す。
『な、なぁ母さん、授業のことなんだけど』
『なんだ?わからないところでもあったか?』
『いや、母さん、もう少しジョークとか……あの……』
『……』
『なんていうか……』
『あはっ……そ、そうか、私の授業はおもしろくないか、ご、ごめんなっつまらない授業してっ、お母さんがんばってジョークとか考えてみるからな、あはっ大丈夫だ……大丈夫だよ……』
『慧音母さん今日も授業楽しかったよー!すっげぇ楽しかったー!』
という結果になる。
「でもなぁ、慧音先生に一番近くて言いやすそうだし」
「近いからこそ言いにくいってもんなんだよ」
「でもよー太郎も思うよなー」
そういって友則は少し前に座っている太郎へと声をかける。
太郎は荷物を入れたカバンをもって、こちらへと近づいてくる、やはり少しばかり疲れているようだ。
「聖獣の嘶きは人知程度で理解できる代物ではない」
「だよなー」
「しかし聖獣は自らの力を尽くし人々へと自らの知識の泉を与えんとしている、その思いをくみ取るのも受け取る我らのすべき事柄ではないのか」
「……ごめんな聖、俺もうちょっとがんばって勉強するよ、慧音先生だってがんばってるんだよな」
「然し知識の泉を与えるもの成らば人々に上手く伝えるのもまた責務、聖と邪を背負うものよ、己が魂との戦いを怠ってはならない」
「あぁ、もうすこし遠回しに伝えてみよう」
「お願いするよ」
そういって聖は二人へと別れの挨拶をして母のもとへと向かっていった。
そしてそれを見送った後に太郎と友則も去って行った。
魔理沙は一人、話を聞いていた。
「……わからないよ……」
男の世界である。
その後聖は昼食時に、歴史のおもしろいエピソードを考えられるだけ話して、授業で使うとその人のことが深く刻み込まれて覚えやすいんじゃないの?ということを話し、少しばかり慧音の授業がおもしろくなったと、わかりやすくなったという。
しかし魔理沙の頭の中は混乱するばかりだった、なんなのだあの言語は。
それで終わらせる魔理沙ではない、行動力は高いことは自分でも誇りだ。
昼食を食べた後に、上白沢家へと到着しノックする。
「魔理沙?」
「聖!太郎のいってたことがわかる方法とかあるの!?」
そういわれてみて聖は考える、考えて考えて部屋へと引っ込み、一冊の本を手渡した。
元々は英語で描かれていた魔法書の日本語訳版である。
「たぶんこれをみれば」
それを手渡すと、魔理沙は本を開き――頭から湯気を出し始める。
「わかんない」
だろうなぁ……と思いながらも魔理沙を家に上げて簡易的な講義を開始する。
魔法知識なんぞ一切ないので、身近な現象などの説明を始め、重力や慣性、空気中の成分といった説明を開始する。
かなり噛み砕いて、子供でも分かる内容にと必死で教え続け、気が付けば夕方となっていた。
魔法書の大まかな説明だけはできただろう、のんびりと本を読む計画が全て消えたが、自信のある出来栄えだ。
「おもしろかった!」
「それはよかった」
「魔法使いって空飛べるんだよね!じゃあ空飛べるようになったら聖や霊夢と一緒に空で散歩できるね!」
そういわれてみて、聖は即座にうんとはいえなかった。
魔法に関わるということは危険へと飛び込むことと同意だ、――いや、空を飛ぶぐらいなら大丈夫だろうな。
この瞳を輝かせた魔理沙に注意をして落ち込ませるわけにもいかないし、空を飛ぶぐらいなら妖怪と出会っても逃走手段になるかもしれない。
「そうだな」
「うん、がんばるね!」
教えてくれと言われたら、空を飛ぶ程度だけ教えよう、そう思いつつ返答するが、魔理沙はがんばるといって去っていった。
「……?」
どこかで教えてくれるようなアテがあるのだろうか、そう疑問に思いながら、去っていく魔理沙の背中を見送ったのだった。