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狡猾な美女と巻き込まれる男

文読みにくいし、何もフラグがないために適当に書き直してみました。

歴史関連について多く書こうかと思ったけど、そんな設定も宇宙の彼方へ。

しかし、何故続くんだろうか、おかしい。


大学入学試験というものは、人生の行事のなかでも五本の指に入るほどに重要なイベントだろう。

己の人生を左右するともいっても過言ではないし、それが入りたい大学の入学試験を合格したともなると、天に昇るような気持ちと表現しても問題は無い。

舗装されたアスファルトの道路に、白い線の引かれた歩道側を、ニヤリニヤリとだらしない笑みを浮かべている男が歩いていた。

時節真面目な顔に戻るのだが、堪えきれないのかすぐさまだらしがない笑みを浮かべ始める。


彼にとって入学試験の合格は、天にも昇るというレベルじゃなかった。

小学生からの愛読書、己が歴史に出会うきっかけである書物の著者が教授をしている大学への入学。

小学生から貯めこんだ願い、それが今まさに目の前に受け取れるといわれている。

こうなっても仕方がないといえるだろう。

まぁ他者からみれば不気味なことこの上ないだろうが。


「すみません」


「え?」


だというのに、声をかけてくる女性の声がある。

彼は振り向くと思わずゴクリと喉を鳴らした。

美しい女性がそこにいた。

紫の水晶を思わせる美しい瞳、まつ毛の長さがここからでもよくわかる、風に棚引く金色の髪、極めつけに妖艶な雰囲気さえもある。

――だというのに何故だろうか、奇妙な程に目の前の女性を『まともに受け取ってはいけない』と感じるのは。

そしてさらに、そう考えているというのに目の前の女性を悪く思えないのは。

まるでお嬢様が使うような薄紫のお洒落傘を両手でクルクルと遊びながら、笑みを浮かべる。


「えーっと、どうかしました?」


胸元の大きく開いた服を着ているために視線のやり場にこまり、顔をみたり左右をみたりと、盛大に目を泳がせながら問いかける。


「駅はどちらでしょうか」


「あ、あぁ駅ですか、えぇっとここを真っ直ぐにいって――」


そういって道路の向こうを指さしながら道のりを教えると、優雅な笑みを浮かべ、頭を下げて去っていった。

「またね」という言葉を残して。

近場に済む人だろうか、美人さんだし、母が晩飯の間に興奮して話しそうなものだが。

そう考えながら、止まっていた足を家の方面へと向けた瞬間だった。









――意識が、ブラックアウトした。







腰の右に強い衝撃があった。

でかいハンマーで殴られたような。

視界が戻っていく、片目が見えない。

右目がかろうじて見える。

下に赤い水たまり。

なんだろうかとかろうじて動く右手を動かし、左目を拭う。

ぬるりとした感触。

見ると、真っ赤に染まっていた。


「え……」


何が起こった。

起き上がる、下半身の力が入らない。

――下半身の感覚が無い。

まるで無いかのよう――いや、そんなわけがない。

そんなのあるわけがない。

あるわけがない。

有りえない。

今日の今日だぞ、なんでだ。

そんなわけがない。

俺は死ぬのか。

こんなことあるわけがない。

死にたくない。

全部ウソだ。


意識がぼやける。

精神が途切れる。


――起きるんだ。

起きて、リハビリだろう。

それで大学にいこう。

卒業式にでれないかもしれない。

妹はすごく心配するだろう。

親に負担賭けちゃうなぁ、私立だから授業費高









いのに。

――ん?

風景が変わった、赤い水たまりも見えない。

しかしそのかわりに巨大な男と、御婆さん、あとは――寝ている女性?

何が起こったのだろうか、病院?

いや、それはないだろう、古びた木でできた部屋、これで清潔だと言うのはおかしい。

動きにくいのは事故にあったからだろうか。

無理矢理に動かし、腕をみる。

――そこにあったのは、浅黒い、赤ん坊のような小さな手。

どういうことだよ、説明してくれよ、そう考えて男をみる。

男の顔は恐怖にゆがめられ、こちらを指さし叫ぶ。

――その指は震えていた。


「あ、悪魔っ、悪魔の子だ!」


どういうことだよ、これは。











奇妙な薄暗い空間に、裂け目が見える。

そこにいるのは男と、浅黒い肌をした赤ん坊。

日傘を折り畳み、右手へと持っている。

さきほどの女性が、その光景を眺めていた。

そしてその女性の右斜め後ろに、同じく金髪にして狐のような尾の生えた女性が、納得のいかない表情をしている。


「――そんなにむくれないでよ、藍」


「紫様、わかってはいますが……」


藍と呼ばれた女性は、言葉ではそういうが、表情は納得していない表情だった。

今回の行動を起こす前に、藍は彼を監視していた。

だからこそ、己が彼の夢を踏みにじったことがよくわかる。

他者を犠牲にすること、藍にとっては一度や二度という話しではないほどにやってきた。

それでも、罪悪感が刻まれていく。


「――必要なことよ」


「ッ……はい、紫様」


そういって藍は、亀裂の中へと消えていく。

そんな彼女の気配が消えた後、紫は再び亀裂へと視線を向けた。


「――久しぶりね」


――幻想郷の管理者、妖怪の賢者、八雲紫。

彼女は赤ん坊をみて、

一撃は、全てを飲み込んだ。

視界のすべてを黒へと変えて、放った球体は破壊の化身ごとくその猛威を振るう。

残ったのは、その猛威を振るわなかった範囲のみ、つまりは範囲内は全て消え失せた。

暴走する力、制御できない精神。

狂い続ける少年は、姉と呼ぶ女性と、八雲紫との死闘に末、止められる直前に涙を流し、『ありがとう』といった。

姉である彼女は強く強く手を握りしめる、爪が食い込み、血が滴り落ちてもそれを止めようとはしない。


「なんでよ――なんでアイツばっかり、苦しむのよ」


「乗り越える壁というもので「ふざけるなッ!」――わかってるわよ、声をあらげないで」


「能力さえなければ、ただ笑いながら暮らす一人の男の子だっただけじゃないか――!」


叫びは空へと消えていった。

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