ラスト
ーー ロニアンがノギロに向け乗船した翌日に遡る ーー
ガハハハッ
下品な笑い声。
銃声。
怒鳴る声。
内密な内容の会話。
そこは別名[反旗の都港]
その異名は[鬼の半島]
法持たぬ自由の島にして、ケポポ族排除思想を持つ、俺は[イスカ・ラヨール]。
俺をリーダーに、キングストーン王国出身者から成り立つゴロツキの元軍人たちを数百人を引き連れ、半島に都を築き上げた。
その国の名を[ポート・ロワイヤル]
「ラヨール!次はどこを攻め落とすんだ!?」
1人の[黒いひげのある大男]が肩を組む。
あぁ……
俺は顎を触る。
ふと頭をよぎる。
「次か…ノギロ……ノギロ桜国なんてどうだ?」
俺は、提案した。
「あの国を攻めるのぁ禁忌だろ?ましてや、ノギロと名乗る前に戦争をふっかけた国と赤白の軍隊が、交戦して負けたって語り継がれてるんだろ?」
別のもう1人の[組んだ足を机に乗せる面長の男]が天井を見上げる。
「どうせ、人はこうあるべきだ〜とか屁理屈まがいの哲学を基にした創り話だろ?古代文明の消滅が3回。その度に生き残りは必ず海を漂いノギロにたどり着くなんて、都合良すぎだ!信じられるかよ」
さらに別の男が右の肘を机に突いたまま[眉毛を掻く口髭のある丸顔の男]。
「どこの国もその創り話を信じて攻めようとしない理由だな」
[組んだ足を机に乗せる面長の男]が椅子をギーッギーッと鳴らし揺らす。
まるでオールで水面を不安定に進む小舟。
「ふん!なにが怖くて攻めねぇんだよ」
[眉毛を掻く丸顔の男]が鼻の穴を広げ、蔑む言い方。
「まぁ。行ってみるか…」
俺は小さく呟く
「俺はどっちでもいいがな!」
どん!
[黒いひげのある大男]は、酒を飲み干す。
机に叩きつける。
ドン!
お前ら!戦闘だ!!!
[黒いひげのある大男]が酒場の奴らに叫ぶ。
突如誰もいなくなったのかと錯覚するほど、静まり返る。
「次の場所は……ノギロ桜国だ!!!!」
…………おぉーーーー!!!!
少し遅れて気合の咆哮。
「こいつら……噂。知ってんな〜」
[組んだ足を机に乗せる面長の男]は天井を見ながら歯をむき出しに半笑いで呟く。
「腰抜け…死んだ所で俺達の駒に過ぎん」
[眉毛を掻く丸顔の男]は、天井に真顔の視線を投げて返事をした。
3日後の出発を告げ、寝静まる。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
その日の深夜。
気持ち悪さが蔓延る静けさを破る低い唸り声。
酔いは冷めていない男が1人、音に気付き目が覚める。
んん~なんだよ……うるせぇへぇ………………
目をシパシパと開き、よだれを袖で拭く。
「ん〜?…………なんだドラゴンか……」
ゆっくりと、仰向けに寝転ぶ。
………………!?
「……ドラゴンだ!!!!」
飛び起き、叫び、全員を叩き起こす。
もちろん高台にある城で寝ている、酒場にいた俺を含めた幹部4人も例外ではない。
「何だ!!!…………」
外に出る。
突風の奇襲
顔を咄嗟に腕で守る。
突風の奇襲が弱まったタイミングで月夜に照らされた都を見下ろす。
30mほどの巨体のドラゴン2匹が交互に地面を出入り。
それはさながら海を泳ぐイルカのよう。
何度も掘り返している。
「せっ……戦闘!!!」
[黒いひげのある大男]が叫ぶ。
「ラッ…ラヨール様!!うっ…海にも!!!」
部下が視界に飛び込んできて、海の方角を指さした。
しかし俺の目に飛び込んできたのは、夜の海上を優雅に泳ぐ満月。
その白夜に近い明るさを保ちつつ夜空は異様なまでに青く、夜の海も異様なまでに青く。
……今月に入りたしか...2度目……
ブッ……ブルームーン……
[悪魔の両目]……だと?神話の世界の……
こんなことは……いや……そんなはずは……
……あいつ騙しやがったな
――ポート・ロワイヤル 灯台監視塔――
海洋生物たちが、沖合に集まり始める。
ホー… キュー… ホー……
灯台から望遠鏡を覗く監視担当がその声に恐れおののく。
「この音…いやこれは……クジラのこっ…声。……こんなことって」
地面が絶えず揺れ続ける。
目視でも数えられないだけのドラゴンの群れと、多種多様な海洋生物たちが波を生み出す。
数カ所の水面が濁り始める。
数分前まで地面だったところから水がじんわりとあふれ始める。
巨大なドラゴン12匹が、半島を大陸から切り離すように大地を泳ぎ始めていた。
残り少ない地面は水が支配し海洋生物が地面を泳ぎ始める。
ホー… キュー… ホー……
クジラが一頭、最期の大地に寄り添い咆哮。
この出来事は誰にも知られることなく人知れず。
助けが来ず。間に合わず。
半島およびラヨールを指示した国はことごとく一夜にして……いや地鳴りから16分後。
逃げる予知すら与えず。
海底へと没した。
……
ギーッギーッ ギーッギーッ ギーッギーッ
――――
これは、ノギロ桜国で西の土地が出現し現代の形となった頃。
古代文明【マッドフラット帝国】が2041年間の栄華を極め最期を迎える少し前の物語。
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