ノギロ桜国
僕が出国した日は、雨。
同日夕暮れ、船の甲板に出て柵に寄り掛かり景色を眺める頃には雲こそ残るが天候は回復。
腕の肌に空からの大粒の涙が落ちてきて空を見上げる。
ん?また雨……?
空に目を向ける。
ドラゴンの大群が西の方角へ向かう、空を翔ける後ろ姿を目にした。
ーー 1ヶ月後 ーー
いらっしゃい!
安いよ安いよ!
「旅の疲れ」と「終わりへの焦り」から少しだけ離れたいと無意識に感じたのか、
目的地の道中にある、活気ある小さな村に到着した僕は鼻孔を広げて周りを見渡す。
美味そうなにおいだ
「お兄さん!お兄さん!みたらし団子!うまいよ!」
中年の女性が手招きして笑顔で迎え入れてくれた。
「1本いただいても?」
「はい!」
女性は笑顔で頷き
1本を笹の葉に乗せて渡してくれた。
明るい青い色で染められた財布から
硬貨を取り出す
お代を渡す
「まいどあり!」
「ありがとうございました。いただきます」
微笑みながら会釈
まぁ先を急ぎたいのはやまやまだけど、休むことも大切だよね
近くにある桜の木の下で腰をおろす。
白く丸い団子が4個刺さった串を一本
1個頬張る
うん…うまい
やはり本当に美味いものは余計な言葉が出ない。
ニャー
唐突に話しかけられ、ふと右側にぬくもりを感じる。
一匹の三毛猫だ。隣で一周回ってから、丸くなりこちらを見上げる。
「どうしたの?」優しく声をかけ頭をなでる。
その猫は、頭を前足の上に乗せると尻尾の先だけ上下に泳がせながら目を閉じる。
周囲の景色と隣に座る小さなぬくもりに心を癒された。
さてと
目指すべき道を着実に進む。
―― 3日後 ――
ここか
花楠村
木の看板が案内してくれている。
近くを通り過ぎる若そうな男性の村人へ声を掛ける
「すみません……」
「……はい?」
「ケポポ族のペテンをしております……」
※ペテン:ケポポ族における役職名。「祈祷師」を意味する
「あっ!ご案内しますね」
その男性は、何かを知っている様子。手のひらで案内をしてくれた。
「この村に入る前。港の村へはお立ち寄りを?」
男性はこちらに穏やかな笑顔で声をかけてきた。
「えっ……あっ……ええ。みたらし団子をいただきました」
俺は頭の中は、青く澄んで見える月のことを早く伝えたくなっていて会話を聞き逃すところだった。
「左様でしたか。そこはご存知かと思いますが梅桃村と言います。梅と桃の花が有名なのでこの名が付きました」
「私の暮らすケポポ族では、”アーモンドの村”とも呼ばれています」
丁寧に答えた。
「そうですね。"アーモンドの家紋"を持つとある一族が、その地を終の棲家として選んてくださりその墓の横にアーモンドの木を植えられました」
男性は西側を手のひらで指し示す。
「ゆえにその名としても有名です」
男性は続ける
「この国の起源は、生まれただけで虐殺・暴力・差別が起きるほど迫害された民族が、のちに漂流し海洋民族へと変化しその後この地に到達し築き上げた国です。未来、迫害を受ける者たちの言わば"方舟"」
「ケポポ族に限らずペテンと……えっとシャーマンの間では、有名なお話ですね」
「ええ」男性の説明はもう少しだけ続く。
「この国の言語がその名残。追手から会話の内容を悟られぬために日常会話ですら暗号の様な言語に変え、生き延びる手段を得た。文字持たぬ時期もありましたが、それは良くも悪くも、恨むことをやめた証。迫害した側の名を残さぬ為の知恵です」
「そう……でしたか」
初耳のことを聞き思わず何をしにここへ到達したのか錯覚するほど。
八紘一宇
人々の共存とは他者へ理解を示すこと、愛を持つこと。そこから永遠の安寧をもたらす。
「さっ、ご足労いただき誠にありがとうございます。あと少しで到着致します」
男性は、ノギロの諺と意味を話しこちらを向き、笑顔で会釈。
右手を横に振り、配慮された言葉への感謝の意を示す。
最後までお読み頂き、本当にありがとうございます。
次回は、【2026年1月14日 9時00分】 に投稿いたします。
まだまだ魅力に欠けていると思っております。
読者様の正直な、お気持ちで結構です。
下にある☆で作品への応援や評価を宜しくお願い致します。
ブックマークして頂けたらとても励みになります。
今後の作品への参考に致します。




