表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/24

父がギャンブルを辞めた日に視たもの

 これは幼少期の体験です。


 私の父はギャンブルが大好きで、また、ギャンブルに強い人物でした。父がパチンコ屋から帰った日は必ずお土産があり、その次の休日には必ず買い物へ行き、私たち兄弟の欲しいものを何でも買ってくれました。父が負けるのは人に誘われて断れなかった時くらいです。


「昔麻雀をやってたときは、周りの出す手が最初から終わりまで全部視えることもあった」


 あまり大声では言えませんが、父は若い頃から、勘の冴えているときは必ず何かを賭けて楽しんでいたそうです。


 そんな父親が、ある日突然、ギャンブルを辞めました。


 今思えば、父は私たちが喜ぶ顔を見て嬉しく思っている、という感じで、ギャンブルに勝ったこと自体はそれほど嬉しく思っていない様子でした。


 ある日、父は私たちをゲーム屋へ連れて行ってくれました。買ってくれたのは父と私たち兄弟3人分の携帯ゲーム機が計4台と、好きなゲームソフト計6本。その後、中華料理屋で食事をし、帰りにはデザートを食べるためだけに別のレストランにも行きました。


 それが最後の「買い物」でした。


 少し年月が経った後、それとなく父に聞いたことがあります。父曰く、


「勘が冴えてて、大金を稼いだ日は、必ず変なものを視てた」


 父が以前、友人との賭けに勝った帰り道、深夜にも関わらず3歳くらいの子供が一人でボール遊びをしているところを視た、と、母と話しているのは聞いたことがありました。


 他にも、父が買い物に連れて行ってくれるのは必ず翌日以降であったこと、ギャンブルで得たお金は急ぐように使い果たそうとすること、父が心霊系の話をすることを異常に嫌がることなど、不思議な点はいくつもありました。


 ですが、それでもギャンブルを続けていたということは、少し変なものが視えた程度ではそれほど気にしていなかったということ。


 大好きなギャンブルを辞める決意をしたその日、父は一体何を視たのか。それは今でも聞けないままです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ