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契約精霊は見た

 ルーリアの契約精霊・ネオは、基本『豊穣の女神・ステラエラー』の元に居る。

 魂の存在からルーリアの契約で精霊になった自分は、ルーリアを命の恩人として、御主人様として慕っている。ネオは魂として先に行ってしまった母親に想いを馳せているところで、ルーリアに救われた。彼女の慰めはその頃のネオにとって大切で、ルーリアに契約しようと言われても嫌悪感はなかった。

 そして、女神の元で『夢見』という魔法を与えられた。


 ネオは女神の元で何日か魔法を練習していたけれど、息抜きにフィンシーカ帝国に降りて来たこともある。だが、ネオは御主人様には会わないで、ルーリアをそっと見守るだけにしていたのだ。


 ルーリアはその日、この国の皇太子に倒木の上で告白していた。皇太子のロドレームに向かって、気持ちが爆発したように。ルーリアにとって、一回目の告白だ。

 ロドレームが彼女の唇に己のそれを重ねた時は、ネオも頬が真っ赤になった。

 だが、彼はルーリアの告白に返事もせずに唇を重ねたようで、「ご、ごめん!」という言葉が遠くから見守っているネオでも聞き取れたのだ。

 だから、上に戻ってステラエラーに相談してみた。

 因みに女神にはルーリアが皇太子に告白したとしか言っていない。そのため、キスのことは知らないのだ。


『そうね……、貴女の魔法はあと一歩でルーリアにも試せるから………』

『じゃっ、じゃあ! そしたらルーリア様のお役に………っ⁉︎』

『えぇ。貴女の魔法で完璧に人を夢へ招くことが出来たらね』


 それまでは、ルーリアとロドレーム以外の他人で試してみると良いと、ステラエラーからは言われた。この時、本当に顔も名前も知らない他人で練習して良いのかと思ったが、夢に招くだけだ。大丈夫だろう。

 そんな練習を重ね、翌日の夜にルーリアを夢の空間へ招くことが出来た。


———ルーリアの二度目の告白は、実は女神と見ていた。


『次は、私が貴方を救いたい』

『貴方のことを慕っている……と』

『お………おそっちゃ、だめ、ですよ? ……めっ、です』


 なんて、可愛らしい言葉も。ステラエラーは、『我が娘に襲うなどまだ許せるはずないでしょう』と笑顔で怖い雰囲気を放っていた。そんなことも、見ていたのだ。ネオは。もちろん、最後の二人の、誓いのキスも。


『ハッピーエンド、ですかね』

『えぇ、そうね。でも、まだやるべきことが残ってるわ』

『………ルーリアの義理のお姉様とお母様でしょうか』


 ネオが言った言葉に、ルーリアの母親は静かに頷くだけだった。

 でも、暫し経った後に口を開く。


『義母はともかく、義姉は心残りがあると思うの』

『え………?』

『ねぇネオ。お願いがあるの。貴女しか出来ないことよ』


 ルーリアとロドレームの口付けを見守りながら、女神はネオにお願いした。

 どうか、夢でメティーチェイアとルーリアを会わせて欲しいと。

 女神の言葉に、ネオは暫し考え、頷いた。


 〜〜*〜〜*〜〜


 ネオはまた、女神と共に見守っていた。

 ルーリアの言葉、悲しみに満ちるメティーチェイアの言葉。

 でも、自分の御主人の優しさで、義姉はルーリアと仲直り出来た。


『メティーチェイアは……あの子たちは、哀れね』

『…………はい』

『だって、もうこの夢が覚めたら……、次会うのは処刑台の上なのだから』

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