義姉と義母の来世を想って
あの日。義姉と義母が処刑された日でもあり、愛する人に自分から唇にキスをした日でもある。あの日から、一週間が経った。
登りやすい山の頂上は墓場になっていて、そこにメティーチェイアとギュアカーラの埋まっている墓もある。
「ふぅっ………つい、た」
登りやすいと言っても疲れるものは疲れる。ルーリアはゼェハァと出来るだけ息を潜めて肩を控えめに上げ下げした。今日はルーリア一人でこの墓場へ来ていて、ルーリアの右手には道中大切に持っていた色とりどりの花がある。
「お姉ちゃん、お母さん」
そう呼ぶのは、メティーチェイアは許してくれそうだが、ギュアカーラは許してくれないだろう。何せ、義母はルーリアを娘と見ていなかったから。メティーチェイアは和解して妹と思ってくれたが、ギュアカーラとは和解出来ずに彼女の最期を迎えてしまった。
「まだ遅くないですよね………?」
二人はきっと、もう転生しているだろう。記憶はないが、それでも彼女らの生まれ変わりということに変わりはない。肉体は違っても魂は一緒で、それを繰り返している。魂の祠を司る聖女ルーリア。その名を持ち、断言しようと思う。
「貴女たちは絶対に、幸せな未来が待っています」
(断言出来ます。魂の祠を司る聖女の、私が断言するんですから、絶対ですよ)
隣に並ぶ案外豪華な二人の祠を同時に撫でて、ルーリアは言った。抱き締めるように撫でた手は、ずっと触れられなかった二人の手を想像させた。
「お姉ちゃん、お母さん。私は今、幸せです。これまでの罪を許します」
山の頂上、そこに居るのは聖女ルーリア。
自分を虐げていた義姉と義母の墓に行くなんて、誰も思わないだろう。憎んでいると思うのだろう。だが、ルーリアは二人を許した。ルーリアの望みは違うのだ。ルーリアの望みは、二人と家族になりたかった。それだけなのだから。
メティーチェイアとギュアカーラ、それぞれの墓に可愛らしい花を添えて。
「貴女たちの、来世を想って」
(貴女たちは今、どんな姿で、どんな生活をしているのかな)




