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59話 皇太子の決意を聞いて

 ロドレームと共に大広間へ向かったルーリアは、彼が父親である皇帝と何を話していたのか聞いてみた。ロドレームは話して良いのか迷っていたが、「振り回して良いんですよね?」とニコニコ笑いながら言えばロドレームが折れてくれた。

 後になり、重大なことで話しづらかったのかもしれないと思いオロオロしたのも束の間で、ロドレームはしっかりと話してくれた。


「父上には、俺が迷っていたことを相談して来たんだ」

「相談? ………そう、なんですね」


 深くは聞いてはロドレームの皇太子としてのプライドがアレかもしれないため、ルーリアは尋ねないでおいた。だが、それを察したのかロドレームは何を相談したのか話してくれた。


「大切で愛しい人……ルーリアを守るべきか、国を復興して早く民を安心させるべきか。………一言で言うと、優先すべきものを迷っていたんだ」

「そんなっ! 私のことなんて、お気になさらずに………」


 己が彼の悩みになっていたとは知らず、ルーリアは慌てながらそう言う。だが、ロドレームは「うん。そうだね。でもね」と言葉を紡いだ。寂しそうな瞳はいつの間にか決意に変わっていた。


「俺にとっては、愛しい人は国よりも大切なものなんだよ」

「…………………っ」


 少年らしい笑顔を浮かべた彼に、ルーリアは何も言えずにただ抱き締めた。ロドレームも「ふふ。ありがとう」と笑いながら抱き締め返してくれた。


「ただ、国の復興も行いたい。だったら両方やろうと父上が俺の緩んだ覚悟を固めてくれた。俺は父上の期待に応えたい」

「良いじゃないですか、それ。聖女として、国の復興を手伝わせてください」

「もちろん」


 ザワザワとした大広間の中、二人は笑い合った。

 国の復興は数ヶ月掛かるだろう。そのため、姉と母の処刑も日がズレる。二人の罪は世の中に渡ってしまっている。だが、国民たちには二人の陰口を言わないようお願いしているとロドレームが言っていた。ルーリアの頼みだ。


「では、まずは国の復興の計画を立てねばならないですね」

「うん。じゃあ、行こうか」

「はい!」


 そう手を繋いで大広間を抜け出そうとした途端———。


「あら〜、私たちにも手伝わせて頂戴」

「聞き耳立ててごめんなさいね。アタシたちもやるからねっ!」

「私、も………国の復興なら、手伝わせて」


 先輩の聖女たち三人が、ロドレームのルーリアの背後から喋り掛けてきた。少し驚いて二人は振り返ったが、すぐに微笑みロドレームとルーリアは「ありがとう」と礼を言ったのだった。

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