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49話 ロドレームの焦燥

 ロドレームは怖くて堪らない気持ちになっていた。愛しの婚約者が、自分を庇って意識を失ったからだ。これなら己が意識を失った方が良かった。ルーリアは聖魔法を使える。そして彼女は水のローブ以外にも、何か聖魔法を使って出来たはずだ。もっと丈夫な小さな結界を。


(だがそれは、魔導書を読破したからと言って簡単に出来るものじゃない)


 ルーリアも、魔導書に目を通して聖魔法は自分にはまだ早いと思ったのだろう。だからもう一つある水属性を習得することにした。水魔法で一番防御力が高い防御魔法が、水のローブ。そこまで習得したのだ、ルーリアには魔法の才能がある。


「ごめん、ごめん。ルーリア……俺のせいだ」

「ロドレーム様……」

「………皇太子殿下……」


 騎士や侍女そしてサラムがこれはヤバいと駆け寄って来て、気遣うような声を掛けてくれる。だがロドレームにはお礼を言うほどの余裕を持っていなかった。


(どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうし…………)


 混乱するロドレームに、これでは彼が壊れると判断した一人の騎士が「まずは、聖女ルーリア様を皇城に避難させましょう。状況把握はそれからです」と言った。


「あぁ……分かった」


 ロドレームは凍りそうなほど怖くなる心臓に気付かないふりをして、ルーリアを抱き抱えた。氷の傘より防御力は一個下だが、今だけは『結氷(けっぴょう)の雫』を纏っておく。傘は手で持たなければならないが、これは水のローブと同じく周りに纏う形だ。


(直ぐに医師へ()せなければ………聖女お抱えの医師も皇城に避難しているはずだ。そしたら、直ぐに診せよう)


 ロドレームは焦燥に駆られながらも、ルーリアを抱え早歩きで進んでゆき、やっと皇城に辿り着いた。皇城の門にはまだ人が集まっている。皇城もそろそろ空きがないだろう。


「あっ! 殿下! ………え、ルーリア……」


 シェリルーライヤがロドレームを見付け、出来る限り走って駆け寄って来るが、彼が抱えてるルーリアを見て呆然としながら歩みを止めた。


「シェリルーライヤ嬢、彼女を俺の自室へ。来賓室は、もう人が大勢いるだろう?」

「あっ……はい。五部屋の来賓室、そして大広間も人で埋まっています。陛下と王妃様、そして皇太子殿下のお部屋は空けておりますが………許可を得たら、直ぐにそこにも避難させる所存です」


 シェリルーライヤの言葉を聞き、ロドレームは立つのも苦しいがふんばりながら暫し考えた。


「そうか。父上と母上は分からないが、俺はルーリアをそこに連れて行くから無理だ。だが、俺の部屋は怪我人用で良い。他にも怪我人がいたら、連れて来てくれ」

「はい——あっ」

「大丈夫か」

「ありがとうございます。……そろそろ、立てなくなって来たかもしれません」


 ロドレームは「そうだな」と答える。


「そろそろ、城へ入ろう。ルーリアも心配だ。………もう、俺は無茶をしなければならないかもしれない。ここに来る際、城下街の状況を軽く見たが、酷い有様だった」

「………でしょうね」


 ロドレームは騎士にシェリルーライヤを任せ、己の部屋へ向かった。

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