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48話 皇城へ向かう道中の会話

 地震は大きくなり、そして被害も大きくなって来た。

 ルーリアは魔法書で読んだ『水のローブ』を二つ作り、ロドレームとルーリア別々で纏いながら、皇城へと向かった。侍女二人、騎士二人、そしてサラムはロドレームが作った氷の傘を差し、皇太子とその婚約者の後ろを歩いている。


「私の聖魔法で、被害を少なくした方が良いのではないでしょうか……」

「出来るという保証は?」

「……ないです……」

「そう言うことだ。やるとしても安全なところから。ここは危険すぎだ」


 恐る恐る提案するも、それは却下された。いつもよりロドレームが冷たいが、それは当然のことだ。こんなことで胸が痛むほどに状況を理解しにくい性格ではない。逆に、皇太子として冷静だと、婚約者としてロドレームを誇らしく思う。


(魔法書ってホント凄いわよねェ……)


 魔法書とは、その名の通り魔法の種類、使い方など多くの魔法についての情報が一冊の本に押し込んだように載せられている書物だ。因みにとても高価で貴重。そして、唯一恋愛が入っていない本でもあった。これを見た時、アレクサンドラが真面目に選んだ書物がこれ一つだけだと悟ったのは内緒だ。


(書斎の本、読破しといて良かったわ)


 過去の自分に感激し、ルーリアは今の状況に合わない表情になった。


(あ……いけない。笑顔では貴族たちからの第一印象が最悪よ)


 ここは、過去の自分を思い返すよりも今と向き合う方が聖女として良い。

 そう思ったルーリアは、今の状況について真剣に考え向き合うようにした。


(地震はどんどん大きくなっていっている。倒れそうになっているサラムさんと侍女さんたちは騎士様たちが支えてくれていて……ロドレーム様も私のことを支えてくれてるけれど、それでも歩くことが怪しくなって来た)


 顔を青ざめていると、ロドレームが「大丈夫?」と声をかけて来た。


「えぇ、大丈夫なんですが………そろそろ、歩くのが怪しくなって来ました」

「そうだね。これは俺が経験して来た中でも見たことのない地震の揺れだ」


 思った以上に、今回の地震は大きいのかもしれない。

 津波の可能性もあるほどに、先程から地震が収まらない。立ってるのも怪しくなって来た。ルーリアの水のローブは聖属性も少し混じっているからなのか、これを纏うことで立つことはギリギリ出来る。


「貴女たち、大丈夫?」

「はい。皇太子殿下とルーリア様のお陰で」


 侍女の一人が返事をし、残りの四人も頷く。サラムは顔が青褪めているが、それを心配するのは直ぐ側にいる侍女たちの仕事。少なくとも、聖女と皇太子である二人は、一人ではなく国民が集まっている皇城を心配するべきなのだ。


「あと、皇城に着くまでどのくらいでしょうか………?」

「そうだな……約十分程度だ」

「動物たちの避難場所は何処でしょうか?」

「皇城の一室……使用人たちの部屋に入れるつもりだ。許可はある」


 急いでいるのか、ロドレームが若干早口で説明してくれる。お礼を告げると、彼は優しい声音で「大丈夫だ。ルーリアの役に立てて良かった」と言った。


(本当に優しい)


 心がポカポカと温かくなり、ルーリアもこの『水のローブ』の注意事項を話す。

 やんわり微笑んだ顔が面影もなくなるくらい、ルーリアは真剣に話した。


「ロドレーム様、水のローブは完璧ではありません。小さな瓦礫(がれき)などは防いでくれますが、煉瓦(レンガ)などの重たいものがぶつかれば………水のローブは、簡単に破れます」


 自分で言っていてもゾッとする話だった。

 もしも、地震の影響でこの煉瓦で出来ている家々が破壊すれば、運悪ければそれらは自分たちのローブに当たれば、直ぐ簡単に破れてしまう。そして、ロドレームかルーリアの脳に当たるのだ。


「うん……だがそれは、俺の氷の傘も同じだ。簡単に壊れる」

「……はい………」


 そのことを聞いて、息が上手に出来るほどルーリアは強くない。息がしばらく出来そうにないほど、ルーリアは過呼吸になりかけた。


「ルーリア。大丈夫、大丈夫だよ〜……」

「あ、りがとうございます。落ち着きましたので、もうだいじょ——」


 直ぐに彼女の異変に気付き、背中をさすって安心出来る言葉をかけてくれたロドレームにお礼を言い、ルーリアは無理にでもと微笑んだ。その時だった。


「ロドレーム様‼︎」


 その騎士の声がした後、ルーリアも気付いた。ロドレームの後ろに当たれば絶対に痛い瓦礫が、彼の背中に迫っていた。


「ロドレーム、様ぁ‼︎」


 水のローブは直ぐ破れる。

 だったら、自分が身代わりになれば、愛する人を助けられる。


(お願い、一か八か!)


 そしてロドレームを護るように素早い動きで彼の頭を抱えれば、背中に衝撃的な痛みが走った。あの大きな瓦礫が当たったのだろう。


「グッ———カハッ⁉︎」

「ルーリア……? っ! ルーリア! ルーリア! ルーリア‼︎」


 直ぐ近くにいるはずなのに、遠く感じるロドレームの自分を呼ぶ声。「ルーリア様!」と侍女と騎士、それとサラムも自分のことを心配して駆け寄って来てくれたようだ。

 背中の痛みの方に意識を向けると、肋骨が折れている気がした。多分、当たっているだろう。肋骨の方に激痛が走るのだから。


「ロド、れーむ……様ぁ」

「なんだ! どうしたの⁉︎」

「ご無事で………良かったぁ……」


 ふにゃっと笑いルーリアは彼のポカンとした表情を見て、意識を閉じた。

48話において、突然の急展開! ……と思った方、作者である私も同意します。

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