表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/70

40話 抜け道の

「お揃い、買っちゃいましたね」

「うん、買っちゃったね」


 店員の「ありがとうございました〜!」という元気満々な声を聞きながら、ロドレームとルーリアは服屋を出た。二人は紙袋を一つずつ抱えていた。最終的に、浴衣(ゆかた)甚平(じんべい)も買ったのだ。二人は顔を見合わせ微笑みながら、次行く場所を決めることにした。

 歩きながら話すのがこんなに楽しいなんて、思いもしなかった。


「次は何処に行きましょう?」

「…………そうだ。パン屋に行ってみないかい? リフミさんが居るよ」

「あぁ! そうですね、行きましょ!」


 彼は公務で城下に降りることがあるので、住民の名前は知っている。そして、その皆がルーリアファンということもある。ルーリアと仲良くしているリフミやレンとは、結構関わりがあるのだ。

 ロドレームは紙袋を騎士に渡して、ルーリアもロドレームに促され自分の斜め後ろに歩いている侍女に渡した。

 歩いてる最中にも、ロドレームとルーリアは話していた。


「ロドレーム様は、何かパン屋さんで買いたいパンはあるのですか?」

「ん? あぁ……ないね」


 申し訳なさそうに苦笑するロドレームに、ルーリアは微笑んで「そうですか」と返した。そして、気になることが一個出来たのだ。


「ロドレーム様。一個聞きたいのですけれど」

「何かな?」


 甘い視線を受け止めながら、ルーリアは表情が曇った。思わず立ち止まり、それにつられてロドレームも立ち止まった。


「リフミさんを、好きになったりしないですよね……?」

「は?」


 深呼吸をした後にその不安を打ち明けると、ロドレームは間の抜けた声を出した。ルーリアはロドレームが頑張って理解している間にも、話していく。


「だって……リフミさんは可愛いし、目もクリクリで。旦那様は居そうだけれど、好きになるのは簡単かな、なんて思ってしまって……」

(リフミさんは、黒髪に紫の目の、可愛らしい人だもの)


 仕草も見た目も可愛い、そんな人にロドレームは見合うはずだ。

 だから、ロドレームの『大丈夫だよ』という返事を待っていたのに……。


「…………はぁ……」

「?」


 こめかみを抑えて、ロドレームは深い溜息を吐いた。

 その後、ルーリアの手を引っ張って逆方面に歩いていった。


「こっち来て」

「え、あ、え? パン屋さんは、こっちでは……」

「知ってる」


 騎士と侍女は、空気を読んでいるのか立ち止まっている。

 ルーリアに向けるにしてはいつもより真剣な声色に、『もしかして、本当にリフミさんのことを好きなんじゃ……』という決して小さくない不安が募って来る。


「…………っ———」

「…………」


 来た場所は抜け道と言っても過言ではない、建物と建物の間。ルーリアは顔が赤くなり、そのまま動けないでいた。


(か、壁ドン………!)


 恋愛小説で鍛えていて良かったと、今更思う。ロドレームのこの行動の名前を知ることが出来たからだ。床ドンもあって、ルーリア的には床ドンがときめいた。

 ……が、それは本の中の話で、今は心臓がバクバク言っている。


(それに……結構深い、キスもされてるし……)


 顎を上に向かされて、深いキスもされている。


(こんな口付けっ、……初めて)


 やっと離れたと思うと、次がある。だがその口付けも深く、甘い。

 頭が真っ白になり、それはもう凄いくらいに目がとろんとする。何回もされるキスは、ルーリアの頭を真っ白にさせた。


「…………」

「ふっ、ぅ……」


 もう既に息が苦しくなっていたので、口付けが止まってホッとした自分もいた。けれど、もっとして欲しいという自分も居たのだ。

 そして顎クイをやめて、最後にロドレームはルーリアの額にキスをする。

 顔を上げると、熱の籠った視線で、真剣な表情をしているロドレームがいた。


「俺のこと、疑う気?」

「………もしかして、と思っただけです。すみません」

「はぁ……。俺が好きなのは、ルーリアだけ」


 子供が拗ねたように、ロドレームは視線を外して頬を赤らめた。

 もう一度「ごめんなさい」と謝罪して、ロドレームの頬に撫でるように触れる。

 そして、ちゅっと、音がした。


「………さぁ、行きましょうか」

「……………うん」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ