35話 あの人たちの今後と楽しい約束
(お義姉様とお義母様の今後について、決まったらしい)
判断を下したのはロドレーム。今日、屋敷にロドレームの使いの者が来た。
ロドレームの使いが渡してくれた手紙を持って、ルーリアは真っ先に自室に向かい、ソファでそれを読んだ。
国家の印が押されている封筒を開けると、そこには二枚の紙が入っていた。
『聖女・ルーリアへ。
先日、君の母親と姉の今後について、決まったよ。
貴女は悲しんでしまうかもしれないけど、今から告げる内容はもう決定事項だ。
まず、メティーチェイア嬢は聖女でも俺の婚約者でもあるルーリアに暴言・暴力を振るったとして、死刑を行われることになった』
そこまで読んで、ルーリアは表情が曇ったが、直ぐに読むことを再開する。
『そして、母親だが……』
母親、と書かれているのに、クスッと笑う。
『セロライハラ侯爵夫人は、まだルーリアが聖女になっていない際に暴言・暴力を振るっていたため、ほんの少しだけ罪が軽くなった。
だが、先日の出来事なんだが……、
わざわざ皇城に来てまで俺に暴言を吐いたため、彼女も死罪だ』
「…………そう、なのね……」
一枚目の紙はこの文章でおしまいだ。
死んで欲しいと思っていたクセに、こうして二人の死罪が決まった時には酷く落ち込んで、悲しくなるのは何故だろうか。
ロドレームはそれすらも察して、最初に悲しむかもしれないの書いたのだ。
ルーリアは、二枚目の紙を封筒から取り出した。
『さて! もう暗い話はおしまいだ。俺のルーリア』
無理矢理明るくするために『さて!』と書いたのがダダ漏れで、ルーリアはクスクスと口元を抑えながら微笑む。
『今週中の執務と公務を終わらせたんだ! だから、今週中のどれか予定がなかったら、空いている日に一緒に城下へ降りないかい? ルーリアが親しくしていたリフミさんがやっているパン屋にも、行こう』
「えぇ、勿論!」
手紙越しだけれど、ルーリアは幸せそうに微笑んで返事をする。
城下街にいるリフミやレンにも会えるため、答えはそれしかなかった。
(それに……ロドレームでん……いいえ、ロドレーム様にも、会えるし)
殿下から様に変わったのは、まだ慣れない。癖でロドレーム殿下と呼んでしまうことだってあるが、それをロドレームの前で言ったら直ぐ、優しく呼ばれた本人が訂正してくれるのだ。
呼んだら呼んだで頬にキスをおとされるため、恥ずかしい。
『俺も城下街の皆に公務で関わらさせてもらったけれど、みんな、ルーリアの話ばかりだったよ。今はどんな風に過ごしているのかとか、聖女になったルーリアに興味があるみたいだ。勿論、ルーリアが好きというのもあるね』
「恥ずかしい……でも、嬉しいな」
ロドレームが城下街の人々に声を掛けて回ったということだろう。
恥ずかしいと同時に、嬉しくもあった。
『そうだな……一週間分の公務も執務も終わらせて、一週間ずっと暇だから、空いている時間があったら手紙でも皇城に行くでも良いから、俺に伝えてくれ。
俺としては、ルーリアが皇城に来てくれる方が、良いけど』
ルーリアは、公務も執務も終わっているのに、なんで聖女邸に来ないのかしらと不安に思ったが、その答えは手紙の下辺りに書いてあった。
一言。
『父上がさ、母上と喧嘩したとかで離してくれないんだ。まったくだ』
「………ぷっ……」
陛下は、そんなに愛妻家だったのね。しかも、喧嘩して息子に縋るって……結構可愛い。そう思い、ルーリアはクスクス笑い始める。薄ら染まった頬は、一分後におやつとしてアイスを持ってきた侍女長のノゾミによって、かき消された。
一点、修正を行いました!
最初の方に書いてあった『そこには、三枚の手紙が——』の『三枚』という文字を、
『二枚』に修正しました。申し訳ありません。




