17話 あの声の主は…
短めです。宜しくお願いします。
ルーリアを含めた聖女四人は、祠が眠っている場所へと来た。ルーリアは初めての仕事ということもあって、緊張感が半端ない。
だが、そんな緊張も目の前の景色に吹き飛ばされる。
「わぁ……!」
一面に色鮮やかな花々が咲き誇り、その中に一つ一つ離れたところに石板が置かれている。ここは、話に聞く限り祠が眠っているところだろう。
右から、アレクサンドラ、シャーロット、シェリルーライヤ、ルーリアの順番で並び、魔力を流す。改めて、練習しておいて良かったと思う。
(だって、私が魔力を扱えなかったら、皆様に迷惑を掛けちゃうもの)
苦笑しながら言うが、それは自身に対する誇らしさとも感じられた。ルーリアは石板に魔力を流す。他の三人も魔力を流し終わったようで、後ろに下がっている。危ないのだろう。ルーリアも真似して後ろへ下がった。
数秒経ち、風が石板を包み込み、一気に祠が現れる様は、それはそれは不思議な光景だった。何かに操られているみたいな。後で聞くと、これは魔力で操っているのだそう。
「じゃ、ここからは各自で」
「ルーリアちゃん、初めてだけれど、頑張りましょうね〜」
「…………ルーリア、がんば」
「はい! ありがとうございます、皆様。行きましょう!」
ルーリアの言葉を合図に、四人は祠の中へと入って行った。
中に入ると、祠の中は外で見たよりも広かった。だだっ広いと言っても良いくらいだ。ルーリアは中をキョロキョロと見渡しながら、真っ直ぐ迷いなく進んでゆく。
数えきれないほどの魂がそこには群がっているが、どういうことだろうかルーリアが進んでいる石の道には入っていないようだった。
入ってないというよりも、入れないの方が正しいだろうか。
真っ直ぐ進んでいくと、そこには石版があった。文字が書かれているが、昔の文字のようで全然読めない。
「えぇと、ここに、魔力を注げば良いのよね」
魔力を注ぐのは、女神と練習し上達した。
だから、魔力を流す、感じ取ることは容易いこととなった。
ルーリアは目を伏せて、真剣な顔になった後、石版に右手で触れる。右手に魔力を集めて、石版に流し込んでいく。ルーリアは目を閉じているため気付いていないが、石版とルーリアを囲むように大きな光の柱が出来上がっていた。それは、城下街で見た水滴が付いている柱だ。
(よしっ、こんぐらいかな)
ルーリアが目を開けようとすると、スゥッと光の柱は風になり消えた。
「? 風……?」
涼しい風が自分の頬を撫でて、思わず頬を抑える。
「でも……終わったのよね?」
石版が薄ら光っているのは完了の証と、聖女邸にある本に書いてあった。今がその状態のため、もう完了しているのだろう。
(帰ろう)
そう思い踵を返そうとするが、ある声でその足は止まった。
『ぐす……ひっく……』
「え……」
聞き覚えのない声に、ゾッと鳥肌が立つ。人体がない状態で魂が喋るなんて、あり得るのだろうか。ルーリアは(幽霊……?)と考えるが、恐怖よりも好奇心が勝ってしまい何処に声の主がいるのか探すことにした。
まずは、泣き声がどの方角から聞こえるか集中する。闇雲に探しても効率的ではなく、見付かりにくい。ルーリアは母と姉が近くにいるのか分かるように特訓してあるため、そんなことはお安い御用だった。
「…………」
『うぇえ〜ん……! おかっ、さま……』
(お母様……?)
お母様とは、どういうことだろうか。ここは魂の祠。だったら、あの子の母親もそこにいるか、もしくはあの子だけが亡くなってしまったかの二つの可能性がある。『うぇえ〜ん』と泣いているため、その子だけが死んでしまった可能性が大だ。
「でも、方角は掴めた。それを頼りに、探していきましょう」
ルーリアはこの空間全ての魂を見たが、泣いている魂は一つもなかった。
「……………いない。もしかして、本当に、幽霊なんじゃ……!」
先程とは違って、好奇心よりも恐怖が勝ってしまうのは仕方のないことだろう。この空間に一つもいないんじゃ、探しても無駄と思ったルーリアは祠の外に出るのではなく、膝を抱えて座り、もう少し魂の声を聞くことにした。
(これくらいじゃ、私は諦めないわよ……!)
なんせこっちは、鞭打ちも笑顔で耐えれるのだ。こんなの余裕と言っても良いくらいに、ルーリアは芯の強い心を持っていた。
ありがとうございました。




