16話 役目の朝
短いです、宜しくお願いします。
朝、小鳥の囀りでベッドから上半身を起こして伸びをすると、丁度コンコンとノック音が響いた。「どうぞ」とルーリアが許可をすると、入ってきたのは無論、侍女だ。
「おはようございます、ルーリア様」
「おはよう。今日も一日頑張りましょうね」
「はい!」
もう一人の侍女が持ってきたのは、数多のドレス。可憐なものが殆どで、ルーリアも自分に似合いそうなドレスがたくさんと思っているが……。
「このドレス……私が汚さないかしら……」
「大丈夫ですよ! ルーリア様、毎日お風呂に入っているじゃないですか! 私たち侍女は大浴場にお供出来ませんけれど……見ていても、随分と綺麗になっています」
「あ、ありがとう。あはは……」
(私が言っているのは身体の汚さや体臭じゃない。これらは先輩方に磨いてもらって、自分でも分かるほどに綺麗になった。心配してるのは、瞳や髪で可憐なドレスが浮かないか、だけ……)
だが、そう思っている間にもネグリジェを脱がされローブに着替えていることは、ルーリアは気付いていない。
「お髪を整えますね」
「……え、あ、うん。お願いね」
(いつに間にか、ローブに…………)
声を掛けられて、初めてローブに着替えていると気付いた。
髪型はハーフアップに一輪の漆黒の薔薇を加えたもの。ローブは、汚れ一つない真っ白なロングワンピースに羽織る形になっている。
「終わりましたよ。うん、とても綺麗です!」
「ありがとう」
礼を述べた後に姿見で己の姿を見ると、そこには可憐な美少女がいた。
「ほぉ……」と思わず、ルーリアは感嘆の声を漏らす。
「とても凄いわね……自分じゃないみたい。これ、どんなメイクをしたの?」
「「「…………」」」
ルーリアの興奮した言葉に、侍女の三人はポカンとする。
何か言ってしまったかしらと思い首を傾げると、一人の侍女が。
「ルーリア様、わたくしたちは何もメイクを施しておりませんよ?」
「え………? じゃ、じゃあ、この顔の変わりようは……?」
もう一人の侍女が口を開く。
「それは、ルーリア様の本当のお顔でございますわ」
もう一人の侍女がうんうんと頷く。
ルーリアは胸が温かく、ほわほわとなった。
〜〜***〜〜
「おはようございます、皆様」
「「「………っ⁉︎」」」
まさか来るとは思っていなかったのか、先輩聖女たちはこちらに頭を向けて、泣きそうな表情になった。だがシャーロットだけは、俯いていてびくともしなかった。
「ルーリアちゃん〜! 大丈夫なの?」
「ルーリアちゃん、まだ寝ていて良いのよ?」
「ル、リア……」
「……シャーロット……」
何故こんなにシャーロットが気分が低下しているのか。それはルーリアにある。元はと言えばシャーロットなのだが、ルーリアは自分にも非を感じていた。
「ルーリア、ごめんさい!」
「え⁉︎」
ソファから立ち上がり土下座でもしそうな勢いで頭を下げてきたため、ルーリアは戸惑うが直ぐに冷静になり、口を開く。
「こちらこそ、申し訳ありません、シャーロット」
「え? そんな、ルーリアが謝ることじゃ……!」
「ありがとうございます。ですが、シャーロット。貴女様は私に教えてくれるために、私の自室に来たのですよね。だったら、お礼と謝罪を、私はするべきです」
深呼吸をした後、ルーリアは「頭を上げてください」と優しい声音でシャーロットに言う。シャーロットが頭を上げたことを確認し、言った。
「まずは、ごめんなさい。そして、ありがとうございます」
「……っ! うんっ」
シャーロットは子供のようにわんわん泣き、アレクサンドラとシェリルーライヤはシャーロットの頭を優しく撫でる。その表情は、子を見守る親のように優しかった。
ありがとうございました。




