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10話 聖女邸の皆様

宜しくお願いします。

 謁見の間をロドレームとルーリアは後にして、今は応接室に戻って来たところだ。隅と扉前に護衛の騎士がいるのはルーリアにとって新鮮だった。ロドレームはルーリアの向かい側の長椅子に座って、ルーリアに微笑んでいる。


「殿下、聖女にしてくださりありがとうございます。お陰であの家から出られる」

「いいや、聖女という立場を掴み取ったとはルーリア嬢自身だ」

「ふふ。ありがとうございます。ですが皇太子殿下が関わっているのも事実。私、立派な聖女になっていつか、絶対に殿下に御恩を返します」

「あぁ、楽しみにしている」

「はい。なので、婚約者は作りません!」

「え?」


 目を丸くするロドレームにくすっと笑いながら、ルーリアは言葉を紡ぐ。


「だって、そうしたら婚約者という責務を果たすために社交場に出そうじゃないですか……私は立派な聖女になるまで、婚約者は作りません。宣言いたします」

「……」


 目を丸くしたまま固まってしまったロドレームは我に返り、「うん。……立派な聖女になった貴女が早く見たいな」と言った。

 そして二人で暫く話した後、ルーリアは応接室を後にした。

 ルーリアは皇城を出て、約十五分歩いた場所にある聖女邸に向かう。その間に思うのは聖女邸にいる三人の聖女のことだ。仲良く出来るだろうか。鞭で打たれないだろうか。親友になれるだろうか。そんなことを考えているうちに聖女邸に着いた。

 ごくりと喉を鳴らして、大門の前に居る門番に「新しく皇帝陛下より聖女の立場に立つことになりました、ルーリア・コキリ・セロライハラと申します」と告げると、優しい笑みを向けてもらい「お伺いしております。どうぞこれから、宜しくお願いします」と告げて来た。ルーリアはそんな優しい言葉を投げられたことは今日が初めてなので、何故だか薄らと頬が染まった。


「はい」

「三人の聖女様は屋敷におられます。荷物を預けて……申し訳ありません。なかったですね。では、開きます」


 門番はそう言うと、門を開けてくれた。門番にお礼を言って中に入ると、そこには緑が綺麗な庭、そして門を潜って正面には噴水。その噴水には小さな魚が泳いでいる。よく見ると、噴水の底には小さな穴がありそこを通して魚たちはこの噴水に来てるそうだ。

 噴水を熱心に見詰めていると、タタタタッという走る音が聞こえて来た。その足音はルーリアの方へ向かって来ている。


「?」


 屋敷の方を向くと、女の子走りをしてこちらへ向かって来ている、桃色の髪と淡い黄緑色の瞳の聖女と思われる女性がいた。


「え? ……わふっ⁉︎」

「まぁ、可愛いわぁ。陛下、とても良い子を連れて来たわね! そう思わない? シェリルーライヤちゃん!」


 女性はルーリアを抱き締めて、思わずルーリアの口から変な声が出てしまった。

 いつの間にか居たシェリルーライヤと呼ばれた人は、その女性の頭を軽くチョップしながら「コラ」と冗談を含んだ声色で言葉を紡ぐ。


「アレクサンドラ、駄目でしょう。ルーリアちゃんが怖がってるわ。……あ、初めまして。アタシはシェリルーライヤ・ベルレーク。十四歳よ。宜しくね」

「は、はい……」

「あ! わたくしも自己紹介しないと!」


 そう言ってアレクサンドラと呼ばれた女性はルーリアから体を離し、胸元に片手を置いて自己紹介をする。


「わたくしはアレクサンドラ・ヴィビアステールよ。十五歳で貴女の二歳上。宜しくね」

「る、ルーリア・コキリ・セロライハラです。十三歳、宜しくお願いします、お二人とも」

「「えぇ」」


 軽く挨拶を済ませた後は屋敷の中へ案内される。


(ここが、聖女邸……! これからここで、聖女様と私の四人で過ごすんだ……。ってあれ? 聖女様は私を合わせて四人。もう一人いるはずだけど……)


 ルーリアの考えを読み取ったのか、シェリルーライヤは苦笑をする。そして直ぐに「ごめんなさいね」と謝るのだ。


「なんででしょうか?」

「もう一人いるんだけど、あの子日光が苦手で。シャーロットって言うの。リビングにいるはずだから、行きましょ」

「は、はい!」


 ルーリアは二人に手を引っ張られながらリビングへと向かう。

 手を引っ張られながら向かうと、豪華なリビングに着いた。リビングの真ん中には、ふかふかそうな長椅子と椅子が二個、置いてあって、その前には硝子で出来た机。その机の下には丸く白いカーペットが敷かれている。そして壁には神々しい女神の絵が、金色の額縁に入れられて飾られてある。そしてそれらの上……天井にはシャンデリア。

 そして何故か……カーテンが全て閉められている。カーテンの隙間から日光が覗いているためそんなに暗くはないが、暗い方だとは思う。

 シャーロットと言う人は、長椅子に座って女神の絵を見ながら黄昏てる人だろう。

 そんな女性に、アレクサンドラは声を掛ける。


「シャシャちゃ〜ん! ルーリアちゃんを連れて来たわよ〜」


 「え……」と呟きながら、扉付近に立っているルーリアたちを見るために、シャーロットは振り向く。振り向いたためシャーロットの顔がよく見えた。水色の瞳が僅かにつり目の美女。濃い黄色の髪はふわふわの癖毛で、それは上品ではなく可憐な印象を持っている。


「わー! え、その、え⁉︎ ルーリア、ちゃん? あ、その、えっと、えとえと。え? あ、新しい聖女? よ、宜しく。私、そのえと……シャーロット・ヘクターシレク。え⁉︎ あ、その。ご、ごめんなさい! ……十三歳」

「………」


 ルーリアが目を見開いて驚いていると、ルーリアの後ろに控えていたシェリルーライヤが「はぁ〜……」と溜息をつく。


「ごめんなさいね。あの子人と関わりが滅多にない聖女なのよね。学園も十三歳っていうさ、入学した方が良い年齢なのに。まぁ、所謂(いわゆる)陰キャラってやつ?」


 シェリルーライヤの呆れたような言葉に、シャーロットは気力を失ったように僅かに猫背になって呟く。


「あんたは“陽”だからね」

「まぁね」

「シャシャちゃんは陰キャラなのね〜」

「アレクサンドラ、あんた、知ってるでしょ」


 「あんた」と言っているのは全てシャーロット。陰キャラと二人が発しているので、少し毒舌で陰キャラな人なのかもしれない。

 ルーリアは気まずいとでも言いたそうに「あの〜……」と口を開く。

 そして三人の視線がこちらへ向くので、びくっと肩が跳ねた。


「改めて、自己紹介をしませんか……?」

「………」

「……………」

「そうね! やりましょう。シェシェちゃん、シャシャちゃん」

「そのシャシャちゃんって言うのやめてくんない? 自己紹介か。うん、大丈夫」

「私もやりたいわね!」

「じゃあ決まりね〜〜」


 良かった、とルーリアは思う。自分の誘いが断られなかったのだから、喜ぶべきだ。机を挟んで長椅子にシャーロットとアレクサンドラ。椅子にはシェリルーライヤ。もう一個の椅子にはルーリアが座った。自己紹介は言い出しっぺのルーリアからだ。

 立ち上がり自己紹介をする。


「では……セロライハラ侯爵家が次女、ルーリア・コキリ・セロライハラと申します。十三歳です。皆様は私の境遇について知っていると思います。なので、こうして家を出られて嬉しく思います。勿論、聖女の仕事も頑張るし、聖女の立場も理解しております。が、この生活を思い存分楽しみたいと思います。ええと……宜しくお願いします」


 聖女の三人は一瞬悲しい顔をしたが、直ぐに元の笑顔に戻る。………尤も、シャーロットだけは真顔なのだが。


「宜しくね〜」

「宜しく」

「あ、……宜しく……」


 次はシェリルーライヤだ。立ち上がり片手を胸に当てる。


「アタシはシェリルーライヤ・ベルレークよ。十四歳で、亜麻色(あまいろ)の髪と紅色の瞳が特徴的。盾で守ったりの防御系が得意なの。宜しくね」

「宜しくお願いします」


 その次はシャーロット。座ったまま自己紹介をする。


「ええと……私は、シャーロットヘクターシレク、です……。十三歳。……得意なことは鑑定魔法。……その……宜しくお願いします」

「宜しくお願いします」


 最後はアレクサンドラだ。立ち上がり自分の手を胸元で絡める。


「わたくしはアレクサンドラ・ヴィビアステールよ〜。十五歳で、得意なことは情報収集。動物と話せるから直ぐに情報が掴めるのよね。桃色の髪と黄緑の瞳が特徴的なのよ〜。宜しくね?」

「宜しくお願いします」

「情報収集じゃなくて諜報(ちょうほう)でしょ、ちょ・う・ほ・う」


 呆れたように言うのはシャーロットだ。やはり突っ込み役兼毒舌かもしれない。

 四人全員自己紹介を済ました後は、聖女の仕事について話が移る。

ありがとうございました。

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