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星命  作者: Isel


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第七十二話 破壊神、就職する

萬屋の部屋割り(セイリア加入後)

リーフェウス&ヴァルザ

ラビア&アルカディア

灰蘭&硝光

メイ&セイリア

空き部屋が2つあります

セイリアが萬屋に加入してから数日。萬屋の面々に自己紹介や事の経緯を伝え、いよいよセイリアの初仕事の日がやってきた。

「セイリア、今日はメイと組んで数件の依頼に当たってもらいたい」

「ああ、問題ない」

セイリアがチラリと横を見ると、ニッコニコのメイが立っていた。また後輩が増えて嬉しいのだろうか。

「1つ目はシンプルな魔物退治だな」

リーフェウスが依頼の確認をしていると、横のラビアが呟く。

「そういや魔物とかいう概念あったよね」

「概念…?何を言っているんだ?」

「とにかく、初めは魔物退治だな」

「そうですね!行きましょう、セイリアさん!」

こうして、メイとセイリアの2人は依頼人の元へ向かった。

「ああ、来てくれましたか」

依頼人は、農家を営んでいるという男性だった。

「討伐の対象は何だ?」

「近頃、猪の姿をした魔物が増加していて、うちの畑を荒らしていくのです…貴方達には、それの討伐を頼みたい」

「理解した。数はどれくらいだ?」

「ざっと十数匹ほどです」

「なるほど…まぁ、数が多かろうが少なかろうが関係ない。我が解決してやろう」

「助かります…!萬屋の方々…!」

そして、2人は件の魔物の巣へと向かった。セイリアの以前の家よりも少し大きな洞穴に、12匹ほどの猪のような魔物がいる。

「あれですね…私が援護しますので、セイリアさんは…」

メイが大まかな作戦を口にしているのを遮って、セイリアが叫ぶ。

「来い!アジダハーカ!」

その瞬間、セイリアの背後の空間にヒビが入り、そのヒビを突き破りながら巨大な竜が姿を見せた。

「!!!!!!!!!!!」

アジダハーカは洞穴に向かって超高温の黒炎を吐き出す。当然ながら、魔物は洞穴ごと消し飛んだ。

「………えぇ…」

「ふぅ…すまない、驚かせてしまったか?」

「いや…その…」

「案ずるな、ちゃんと畑に被害は及ばないよう手加減させた」

「…容赦が…無いんですね」

「?…情けをかける必要がどこにある?討伐対象なのだから当然じゃないか」

(やっぱり神様は…人とは少し考え方が違うのでしょうか)

それから、2人は次の依頼人の元へ向かった。依頼人はどうやら商人のようで、2人が頼まれたのは俗に言う『護送』だった。木製の荷車の側を、それぞれの武器を持ちながら歩いていく。

「…この辺りから人気の無い場所になって来るので、よく賊が出没するんですよ」

「ほう…」

その時、近くの草むらからナイフを持った男3人組が飛び出して来た。

「おい!命が惜しけりゃ荷物を置いていきな!」

「護衛も女が2人だけか。楽勝だな」

至極典型的な台詞を吐く男達に向かって、セイリアが言う。

「我々は戦う事を望んではいない。お前達がこのまま退くというのならば、我々も何もしない。どうか退いてくれないだろうか」

「何で指図されなきゃいけねぇんだ!」

3人は一斉にセイリアに襲いかかる。セイリアの近くにいたメイは思わず目を閉じる…が、ちょうど3回の打撃音が聞こえたので、メイはゆっくりと目を開ける。

「ふぅ…一件落着だな」

そこには、綺麗にうつ伏せになっている3人の男の姿があった。

「あの…殺しては…ないですよね?」

「ああ……多分」

セイリアは、自分の力を上手く活用出来ない事を嘆いていた。魔物退治も、荷物の護送も、セイリアである必要はない。彼女は、それを憂いていた。

「これは…まずいですね…」

しばらく歩いた時、新たな問題が発生した。目的地に通じる森の中の唯一の通り道が、倒木で通れなくなっているのだ。

「迂回出来なくもないですが…それだと約束の時間に間に合わなくなってしまいます」

その時、セイリアが些か高揚したような様子で言い放った。

「これだ…!我に任せてくれ!」

セイリアは手袋を外し、巨大な倒木に手を触れる。すると、その巨木は音を立てて粉々に崩れ去った。

「おお…素晴らしい…!この御恩は忘れません!」

商人を見送った後、2人は帰路に着いた。

「…今日はすまなかった。迷惑をかけただろう」

突然、セイリアが呟いた。

「え…?どうしたんですか?」

「我は…この力を他人の為に使った事が無かった。この力はどう足掻いても、『破壊』しか出来ないのだから……いや、すまない。言い訳になってしまうか」

「…私は神様じゃないですし、セイリアさんの気持ちが分かるなんて言えません。でも…」

「なんだ?」

「セイリアさんにしか出来ない事は、絶対あります!さっきだって、あの人すごく助かったと思いますよ!あんな綺麗に解体が出来るのなんてセイリアさんくらいです!」

「メイ…」

正直なところ、セイリアも『それは励ましとしてどうなのか』とは思ったが、自分を励まそうとしてくれるその思いが、セイリアはただ嬉しかった。

「…ありがとう。我も…ここに居て良いんだな」

「当たり前ですよ!さぁ、帰りましょう!」

メイは、夜空の下を元気良く走り出す。

「転ばないように気をつけるんだぞ」

セイリアとメイの間に、絆が生まれた1日だった。

友人に聞かれたので現在登場済みの人外キャラの戦い方をまとめます

カロス→氷魔法と次元、空間移動を駆使する。たまに権能

セツ→淵気によるデバフと純粋な身体能力

ラビア→即死技を乱発。やばくなったら「存在抹消」という奥の手(理不尽)を使う

アルカディア→大量のバフとまあまあな範囲攻撃

セイリア→アジダハーカと連携。セイリアの攻撃は基本当たればワンパン

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