幕間 彼にだって悩みはある
メイによる勇気の告白が行われた日、夜明けまで話し込んだ後にメイは眠りについた。そしてラビアは居間の椅子に座って考え事をしていた。やがて、仕事を片付ける為に早起きしてきたリーフェウスが、机を挟んだラビアの向かいに座った。
「あ"〜…」
ラビアが珍しく項垂れているのを見て、リーフェウスはまだ眠そうな声で話しかける。
「どうした?アンタが悩むなんて珍しいな」
「いや…メイに告られた時の答え…ハァ……あれでちゃんと伝わってたのかなぁ…」
「アンタなら分かるんじゃないのか」
「僕の力で知れるものは全部自動で分かるわけじゃないんだよ…知ろうとしなきゃ知れないものもあるの。そりゃやろうと思えば出来るけど…流石に怖えよ。僕だって元は人間だし」
「そうか……まぁでも、心配いらないんじゃないか?」
「どうして?」
「アンタの気持ちが伝わってないなら、あんな幸せそうな顔で寝てないだろう?」
「……そう…だね。でも…」
「なんだ?」
「知ってるだろ?僕にとって『人を愛する』って事がどういう事なのか」
「…ああ」
「正直今でも分からないよ…僕の選択は正しかったのか…メイの幸せと僕の幸せ、どちらを優先すべきだったのか…」
それに、リーフェウスは少し笑いながら答える。
「…そろそろ認めたらどうなんだ?」
「はぁ?何を?」
「アンタだって…メイと居るのは楽しいんだろ?アンタの事だから演技なのかもしれないが…少なくともメイと居る時のアンタはいつも笑ってた」
「…ハッ。何を言い出すかと思えば…」
発した言葉に反して、ラビアの表情や声音はとても穏やかだった。
「……ハァ…また『呪い』が1つ増えた…」
それが『のろい』なのか『まじない』なのか。それはラビアにしか分からない。




