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星命  作者: Isel


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第五十四話 理想郷を守る者

豆知識

なんとなく分かってると思いますが、リーフェウス君の未来視&未来改変は常時発動ではありません。しかも未来改変の方は使うと結構疲れます。強い能力には制約もあるもんです。

アルカディアと戦う事になり、武器を構えるリーフェウスとメイ。一方、ラビアは…

「じゃ、頑張れ〜」

その場に腰を下ろしてヒラヒラと手を振っていた。

「戦わないのかよ!アンタなら簡単に勝てるんじゃないのか?」

「僕が本気で戦ったらこの星が無事でいられないんだよ。あの時は世界を滅ぼすつもりで戦ってたけど、今はそうじゃない。それに、君が言ったんだろ?『任せろ』ってさ」

リーフェウスは過去の自分を軽く恨みながら、気を取り直して武器を構え直す。そんなリーフェウスに、ラビアが声をかける。

「心配すんなって。メイは守るし、軽い援護程度ならするからさ」

「メイ『は』?」

依然としてヘラヘラと笑っているラビア。そんな時、アルカディアの横から数人の信者が前に出てきた。

「アルカディア様!我々も共に戦います!」

リーフェウスは戦闘経験が豊富な方である。その為、目の前にいる相手の体格などから大まかな実力を測ることが出来た。張り切って飛び出して来た信者達は、リーフェウスから見るとお世辞にも強そうとは言えない見た目をしていた。

「…武器必要ないな」

数に物を言わせて突撃してくる信者達を、リーフェウスは格闘で捌いていく。

「駄目だ…コイツ強い…」

あちこちに散らばった信者達は口々に呟く。その時、アルカディアの後頭部の法輪が輝きを増した。

そして、アルカディアは両手を胸の前で合わせて詠唱を始める。

「無力なる者に、強壮の祝福を…」

手を解き、右手を高く掲げると、信者達に黄金の光が降り注いだ。

「おお…素晴らしい…!」

「力が溢れてくる…!」

リーフェウスに殴り飛ばされたり蹴り飛ばされたりしてうずくまっていた信者達は、たちまち気力を取り戻して立ち上がった。そして、再びリーフェウスに向かってくる。

「…力が強くなってる」

冷静に分析するリーフェウスを見ながら、アルカディアは再び両手を胸の前で合わせ、詠唱を始める。

「脆弱なる者に、堅牢の祝福を…」

またもや信者達に黄金の光が降り注ぐ。

「今度は攻撃が通りにくくなったな…」

相手が一般人である手前、リーフェウスは武器の使用を躊躇っている。気づけば、戦いに参戦している信者の数が徐々に増えていっている。多対一の戦闘自体は経験があるリーフェウスでも、支援に徹する者がいる戦いは慣れていない。リーフェウスは正直なところ苦戦していた。

「どうしましょうラビアさん…」

「アイツはどうするだろうね?」

そして、メイは杖をリーフェウスと信者達に向けて言う。

「撃っちゃいます?」

「『撃っちゃいます?』じゃねぇよ」

2人はしばらくリーフェウスの様子を見ていたが、『神』の力を使ってなんとか大量の攻撃を避けている。それ以外は何も変化が無かった。

「ハァ…手のかかる後任だよ」

ラビアが指を鳴らすと、突然信者全員が地面に叩きつけられた。その間近にいたリーフェウスは、反射的にラビアの方を振り向く。

「…本当、アンタだけでいいんじゃないか?」

「前向けよ」

ラビアの警告の直後、リーフェウスの周囲に大量の雷が落ちて来た。そして、回避した先には火柱が立ち、巨大な氷柱が落下して来た。リーフェウスは、それが全てアルカディアの力である事が本能的に分かっていた。それと同時に、疑問も浮かび上がってくる。

「どういう事だ…?アルカディアの能力は『願いを現実にする力』じゃないのか?」

「世界のどこかで誰かが願ったのです…『雷を操れるようになりたい』『炎を操れるようになりたい』と」

簡潔な説明をしたアルカディアは、三度(みたび)詠唱を始める。だが、今回のものは今までとは少し様子が違った。

「いざ、安息の楽土へ…!」

今までは右手だけを掲げていたアルカディアだったが、今回は両手を天に向かって広げた。すると、今まで以上に強い黄金の光が降り注ぎ、倒れていた信者達が立ち上がる。

「奪わせない…!俺達の楽園は…!」

「せっかく辿り着いた…理想郷なんだ…!」

その言葉に、リーフェウスは若干迷いを抱く。それを察知したラビアは、背後に『虚無』の文字が刻まれた光輪を出現させ、黒い波動を信者達に浴びせる。すると、信者達はかけられた祝福の効力が消え去り、元の非力な一般人に戻った。

(『軽い援護』でこれか…)

リーフェウスは心の中で呟いた。一方、その様子を見ていたアルカディアは後衛から前衛へ出てくる。

「…これ以上、彼らを苦しめる訳にはいきません」

すると、アルカディア自身が黄金の光に包まれ、アルカディアの姿が変化する。両目を黄金の翼で隠し、背中からは同じく6枚の黄金の翼が生えている。その姿を形容するには『神々しい』という言葉が最適であった。

「…ここからが本番って事か」

戦いは、未だ終わらない。

キャラクタープロフィール

名前 アルカディア

種族 神

所属 夢幻教 赤月の使徒

好きなもの 夢 夢を見る人 ゆで卵(半熟)

嫌いなもの 現実 ゆで卵(固茹で)

権能 夢や願いを司る力

作者コメント

マダンテを取り上げられた代わりにクソバフと安定した火力を手に入れたメイ。基本的にはバッファーの癖に普通に攻撃にも転じる汎用性の高い男。集団とはいえ、一般人が神と殴り合えるほどのバフを複数に撒けるすげぇ奴。某ゲームのとあるキャラに似ているが、発案はアルカディアの方が2年くらい先という事をここに明言しておきます。イメージした言葉は「夢」「絶望」「理想郷」

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